今回は、英国「Top Gear」によるブラバス・B63S 700 6x6の試乗レポートを紹介します。


6x6

G63 AMG 6x6という車を覚えているだろうか。今回紹介するのはそのブラバス版だ。ブラバス版はAMG版よりもなおのこと頭のおかしいモデルに仕上がっている。

ベースとなっているAMG版のモデルには最高出力543PS、最大トルク77.4kgf·mの5.5LツインターボV8エンジンが搭載される。しかし、これでは不十分だと考えたブラバスは、ターボチャージャーを大型化し、ECUに変更を施し、冷却性能向上のためにインテーク周辺を金でコーティングし、エグゾーストを低音の響くものに交換した。

この結果、最高出力が157PS向上して700PSとなり、最大トルクは20kgf·m向上して97.9kgf·mとなっている。この差はおおよそゴルフ1台分に相当する。結果、3トンちょっとあるこの車が0-100km/hを4.4秒でこなす。ただし、タイヤの高速性能に限界があるため、最高速度は160km/hに制限されている。

0-100km/h加速はマセラティ・MCストラダーレよりも速い。それどころか、ポルシェ・911カレラよりも、ロータス・エヴォーラよりも、ジャガー・F-TYPEよりも、ベントレー・コンチネンタルGT V8よりも速い。

この車を批評する上で最も厄介なのは、比較する車が存在しないという点だ。しかし、少なくともロンドンを走った感想としては、非常に落ち着いた走りを見せてくれた。3,775kgという車重や5.9mという全長(ロングホイールベースのレンジローバーよりも70cm長い)は感じさせず、また普通の車の1.5倍の数のタイヤを履いているのだが、運転していて違和感を覚えることもなかった。

インテリアも優秀だ。もっとも、ブラバスのモデルらしく、少し派手なところもある。あちこちにダイヤモンドステッチやレザーやカーボンファイバーが使われている。とはいえ、メルセデスらしいしっかり感はちゃんとある。インテリア表面の素材やパドルシフト、青LED照明付キッキングプレートはブラバス独自のものだが、それ以外はベース車と共通だ。

実際にこの車の運転席に座っていると、まるでC63 AMGに乗っているかのような気分になる。アクセルを踏めば低音が響き、圧倒的な力が解放される。見た目とのギャップは凄まじい。

interior

とはいえ、何の問題もなく運転できるというわけではない。車幅は2.11mもあるため、ロンドンの道幅にはあまり適さない。しかし、この車にはデフロックが5つ付いていて出力配分が前から3:4:3となっており、また車内からタイヤの空気圧を調節することもできる(オーバーヘッドパネルで操作を行う)。つまり、多少縁石に乗り上げても何の問題もない。

ただし、曲がり角は苦手だ。ロンドン、ソーホーの曲がり角の4割では切り返しが必要だった。それに、切り返しの必要ないコーナーを曲がらせた場合には、コーナリング中に車体がかなり傾いてしまう。とはいえ、専用スプリングおよびオーリンズ製ダンパーのおかげで、予想よりはずっと安定した走りを実現していた。

この車の目玉はコーナリングではなく加速だ。この車を加速させると奇妙な感覚に襲われる。アクセルを踏み込むと静電気が走るかのごとく振動が起こる。続いて、パワーがすべてのタイヤに伝わると、すべてのタイヤがしっかりと地面を掴み、そのまま強力に加速していく。0-100km/h加速4.4秒のうち、最初の4秒間はまだぎこちなく、最後の0.4秒間のみ、すべてのタイヤがしっかりと協調して加速している。

3.7トンもする車がこれほど速く走れるのは奇跡と言ってもいいくらいだ。ステアリングはあまり正確ではなく、加速していくこの車を律するのは決して簡単ではない。

ブラバスはパークレーンのディーラーを6x6のプロモーションの場としており、この車はこのあと、中東まで輸送されて別のプロモーション活動に使われる予定だ。最終的にはこの車が販売され、購入者のもとまで届けられることになっているそうだ。

この車を手に入れるためには47万ポンドが必要となる。ちなみに、今回街中を走り回った際の燃費は3.9km/Lだった。


First drive: the Brabus 6x6 takes on London