Amazonプライム・ビデオで配信中の自動車番組「The Grand Tour」でおなじみのリチャード・ハモンドが英「Mirror」に寄稿した試乗レポートを日本語で紹介します。

今回紹介するのは、2015年に書かれたスマート・フォーフォーのレビューです。


ForFour

数年間販売が中断されていたスマート・フォーフォーが個性的な車になって復活した。

三菱・コルトをベースとしていた旧型フォーフォーとは違い、新型ではエンジンの搭載位置がフロントからリアに移っている。これはリアエンジンのルノー・トゥインゴとプラットフォームを共有しているからだ。

フォーツー同様、エンジンは2種類選択できる。最高出力71PSの999cc 3気筒エンジンと、最高出力90PSの899cc 3気筒ターボエンジンの2種類だ。フォーツーに試乗した際はノンターボのほうが良いと感じたのだが、ノンターボだと高速道路では不足を感じる。フォーフォーはフォーツーよりさらに重く、乗車定員も多いため、今回は90PSのターボモデルに試乗した。

フォーツーにはトヨタ・iQくらいしかライバルがいないのだが、その兄貴分に当たるこの車には、フォルクスワーゲン・up!およびシュコダやセアトから出ているup!の姉妹車をはじめとして、数多くの競合車がいる。

up!はフォーフォーよりも35mm幅広で45mm長いが、ボディサイズはほとんど変わらない。しかし、フォーフォーのほうがずっと取り回しがしやすい。フォーツー同様に最小回転半径は驚くほど小さい。up!が4.9mであるのに対して、フォーフォーは4.3mだ。この差は街中を走らせるとはっきりと実感する。

ところで、トゥインゴとフォーフォーは基本的には同じ車なのだが、どちらを選ぶべきだろうか。スマートのファンならフォーフォーを選ぶだろうし、インテリアがトゥインゴよりも豪華なので、それを理由にフォーフォーを選ぶ人もいるだろう。特に計器類はメルセデスの上級モデルのそれにも似ているし、装備内容もスマートのほうが豊富だ。

rear

しかし当然ながらスマートのほうが高い。しかも価格差はかなりある。最も安い90PSのトゥインゴが11,695ポンドであるのに対して、最も安い90PSのフォーフォーは12,160ポンドとなる。ノンターボエンジンを積む最安グレードで比較した場合、価格差はさらに大きくなる。もちろん、装備内容の差はあるのだが、安くてシンプルな車を求めているならルノーのほうが魅力的に映るだろう。

今回試乗したのは「edition 1」というモデルで、その名の通り最上級グレードだ。価格は14,315ポンドとなる。デザインに関しては好みもあるだろうが、個人的にはルノーのほうが可愛らしいと思うし、外装のカスタマイズを行えば恰好良さでもルノーが勝つと思う。

荷物や人をたくさん乗せるのであれば、90PSモデルを選ぶべきだろう。トランスミッションは最初は5速MTしか設定されないのだが、セミオートマチックモデルも後に追加される。

トゥインゴ同様、後輪駆動車らしい操作性を求めると落胆することになるだろう。とはいえ、他の車とは違った運転感覚はあるし、俊敏な走りを見せてくれる。

サスペンションのセッティングはトゥインゴからわずかに変更されており、エンジンやステアリングも微調整されている。しかし、実際に乗り比べなければ分からないくらいの違いしかない。

初代フォーフォーは存在意義が理解できなかったし、実際もまったく売れなかった。しかし、新型フォーフォーは初代とはまったく違う個性的な車になっている。


Smart ForFour Edition 1 review by Richard Hammond: Engine in rear is a Smart idea