今回は、カナダ「Driving」による日産・セントラNISMOの試乗レポートを紹介します。


Sentra NISMO

日産のモータースポーツ部門「NISMO」は1984年に2つのモータスポーツ部門が統合して設立された。現在NISMOはGT-Rやジューク、370Z(日本名: フェアレディZ)のチューニングカーも手掛けており、そのラインアップにセントラ(日本名: シルフィ)が新たに追加された。NISMOによるチューニングは車全体にわたる本格的なものだ。

一つ目の変更点は外観パーツだ。専用パーツを使うことで、見た目がアグレッシヴになっただけでなく空力性能も向上し、高速域でのリフトは30%低減している。具体的には、フロントバンパー、サイドシル、リアバンパーが変更され、リアスポイラーも装備される。全体的に赤のアクセントが追加されており、平凡なセントラとは一目で見分けられる。また、下級モデルとの差別化のためにNISMOのロゴがたくさん付いている。実際に数えてみたところ、8個も付いていた。

インテリアはドライバーオリエンテッドな設計となっている。ステアリングはしっかりしており、赤いアクセントが入っていて、また3時と9時の位置はアルカンターラで覆われている。シートにもアルカンターラが使われており、サポート性も高い。ほかにも、計器類は専用品だし、カーボンファイバー風のパネルも使われており、エクステリア同様あちこちに赤いアクセントが入っている。

しかし、NISMO最大の特徴は内外装ではなく車の中身だ。搭載されるのは1.6Lの4気筒インタークーラーターボエンジンで、吸気側と排気側の両方に可変バルブタイミング機構を持っている。最高出力は190PSで、1,600-5,200rpmのどの回転域でも最大トルク24.5kgf·mを発揮する。トランスミッションには6速MTとエクストロニックCVTが設定される。

rear

ハイパフォーマンスカーにCVTを求める人はあまりいない。CVTはアクセルを踏み込むと回転数だけ上がってダイレクトに加速してくれないのが常だ。この問題に対処するため、日産はステップ変速システムを取り入れている。簡単に言うと、このCVTは一般的なATの変速パターンを模した変速を行う。ただし、今回私が試乗したのはMTモデルだ。ギアレシオが近く、シフトストロークが短く、軽い力で変速でき、またクラッチも繋がりやすかったため、混雑したロサンゼルスの街中でも運転しやすかった。

NISMOはハンドリング向上のための変更も行っている。フロントファイアーウォールが厚くなり、フロアとパーセルシェルフが補強されたことで、ボディ剛性が向上している。剛性が高くなれば車体のねじれが減り、車から伝わるフィードバックが改善する。NISMO専用サスペンションはスプリングが改良され、フロントストラットやリアの単筒式ショックアブソーバーも強化されている。この結果、サスペンションの応答性が改善し、タイヤの接地性が高くなっているそうだ。

スタビライザーは大型化し、フロントが22mm、リアが24.6mmとなっている。また、車速感応式パワーステアリングのセッティングも変更され、セルフセンタリング性が高まり、入力に対する応答性も向上している。ほかにも、フロントブレーキローターは大型化しているし、タイヤはP215/45ZR18 ミシュラン Pilot Sportが装着される。すべての変更が見事に調和しており、車としての完成度は高い。

今回はごく短時間しか試乗できなかったのだが、最初に感じたのは安定性の高さだ。急加速時にテールダイブが起こることも、急制動時にノーズダイブが起こることもなかった。そのため、かなり俊敏な走りを見せてくれる。ただし、前後重量配分は61:39で、フロントタイヤにかかる負担が大きいため、コーナーで飛ばそうとするとアンダーステアが起こることもある。とはいえ、大半のFF車よりも走りは落ち着いている。

interior

セントラはNISMOのラインアップに加わるようなタイプの車には思えないかもしれない。しかし、NISMOに手が加えられたことでセントラは大きく変貌している。セントラNISMOは手軽な値段でそれなりのパフォーマンスや存在感を持つ車を求めている人にはぴったりな車だ。

発売は2017年はじめごろになる予定で、価格も未発表なのだが、おそらくは2万5,000ドルほどになると予想される。


First Drive: 2017 Nissan Sentra NISMO