今回は、英国「Auto Express」によるインフィニティ Q60 レッドスポーツ400の試乗レポートを紹介します。


Q60

インフィニティはつい最近までイギリスでは厳しい状況にあった。しかし、Q30とQX30の登場により、インフィニティのラインアップに華が添えられた。それに引き続いて登場したのがQ60クーペだ。今回はアメリカで新型Q60 レッドスポーツ400に試乗し、ヨーロッパで通用する実力を持っているのか試した。

Q60は車高が低く、滑らかなデザインで、昔ながらの4シータ—クーペらしいプロポーションを持つ。しかし、派手なCピラーや巨大なグリル、そして彫刻的なボディサイドなど、細部を見るとかなり個性的だ。このおかげで、メルセデスのCクラスクーペを超えるような魅力を有している。

一見すると、インテリアに関してはややごちゃごちゃしているように見える。タッチスクリーンディスプレイが2つあるにもかかわらず、ボタンも多く配置されているし、ナビ操作用のダイヤルはセンターコンソールに配されている。とはいえ、どこをとっても質感は高く、シートもサポート性が高くて快適だ。シートやステアリングの位置調節もしっかりできるため、自分にぴったりなドライビングポジションを簡単に設定できる。

レッドスポーツ400に搭載される3.0LツインターボV6エンジンは最高出力406PSを発揮する。367PSのメルセデスAMG C43や354PSのアウディ・S5、それに326PSのBMW 440i とも十分に太刀打ちできる。ただし、Q60はパフォーマンスの割に穏やかだ。0-100km/h加速は5.0秒ながら、排気音は大人しいし、急加速時にもやたらエンジン音が聞こえてくるわけではない。エンジンは滑らかに美しく回るし、エンジン音も澄んだ綺麗な音だ。

Q60 レッドスポーツ400のカタログ燃費は11.0km/Lと至って平凡な値なのだが、パフォーマンスを考えれば十分だろう。CO2排出量も208g/kmとそれなりに多い。経済性を求めるのであれば、2.0Lの4気筒ターボモデルなら約9,000ポンド安く購入することができる。こちらのカタログ燃費は14.7km/Lだ。

アウディやBMWやメルセデスのライバル車同様、Q60も従来的なトルコンATを採用している。しかし、ドイツ勢のクーペとは違い、Q60のATは応答がやや遅く、変速も緩慢なため、あまり気持ちよくはない。ギアレシオは低いのだが、トランスミッションのキャラクター自体がのんびりなのできびきびした印象はまったく受けない。とはいえ、スポーティーさこそ欠けているものの、粗さがあるわけではない。

Side

エンジンが静かなだけでなく、風切り音やタイヤノイズも少ないため、室内は非常に静かだ。そのため、乗っていてもあまり速いとは感じられない。しかしながら、実際は速い車なので、スピードメーターを見るとその数字に驚くことだろう。

それに、速く走るための装備も充実している。アダプティブダンパーによりロールは抑えられ、同時に快適性も高められる。ただ、残念なことに実際の乗り心地はそれほど良くない。かなり滑らかな道路を走らない限りそれほど快適ではない。

Q60には四輪駆動モデルも設定される。この4WDシステムは基本的に後輪のみを駆動し、必要に応じてセンターディファレンシャルが作動して前輪にトルクを配分する。また、ブレーキ制御によるトルクベクタリングシステムも付いているため、非常に俊敏な走りを見せてくれる。

残念ながら、バイワイヤ式のステアリングシステムは路面情報を十分には伝えてくれず、直感的にコーナーへの進入速度を判断することができない。とはいえ、ステアリングの入力に対しては敏感で、狙った通りのラインをトレースしてくれる。SPORT+モードにするとスタビリティコントロールの介入が弱くなるのだが、そのモードにしてもあまり遊ぶような走りはできない。


New Infiniti Q60 coupe 2016 review