今回は、英国「Auto Express」によるレクサス LS460 F SPORTの試乗レポートを紹介します。


LS460

ハイブリッドカーのレクサス・LS600hは約10万ポンドとかなり高価だし走りは退屈だ。では、LS460 F SPORTはどうだろうか。LS600hにあった欠点を同じように持っているのだろうか。

価格はLS600hよりもおよそ25,000ポンドも安く、455PSのBMW 750i M Sportと比べても2,135ポンド安い。それに、LS600hが苛立たしいCVTを採用している一方で、LS460は一般的な8速ATを使っている。

しかし、他の車とLSを比較するのは筋違いだ。LSは最高の快適性を目標に設計されている。遮音性は最大限高められており、アルミホイールにも騒音を削減する効果のあるものが採用されている。

V8エンジンは非常に静かで、アイドリング時はほとんど何も聞こえない。アクセルを踏み込んだとしても、遠くのほうからかすかなエンジン音が聞こえてくるだけだ。風切り音やタイヤノイズもほとんどなく、緩やかにアクセルを踏む限りではLSの車内はかなり静かだ。トルクは莫大だし、変速感もほとんどない。

ドライブモードセレクトを使ってコンフォートモードにすると(他にはエコ、ノーマル、スポーツ、スポーツ+がある)アダプティブダンパーの設定が変わり、まるで魔法の絨毯のような乗り心地になる。かなりの段差を乗り越えない限り、衝撃は伝わってこない。

interior

モードを変えればスロットルをはっきりとシャープに変えることも、ステアリングを重くすることも、サスペンションを硬くすることもできるのだが、そんなものは無用の長物だ。この車は穏やかに、滑らかに走るのがお似合いだ。

そう考えると、変更が施されたブレーキシステムは意味不明だ。レクサスいわく、応答性を改善したそうなのだが、低速域でブレーキをかけるとやたら強力に働いてしまうため、スムーズに運転することができなくなってしまう。今回試乗したF SPORTにはブレンボの6ピストンフロントブレーキが標準で付いていたのだが、このせいで快適性はさらに損なわれていた。

2,500ポンドのオプションであるF SPORTパッケージを選択すると、他にも車高が10mm低くなり、外装パーツも一部変更され、パドルシフトやLSDも装備される。しかし、LS460の快適志向なキャラクターを考慮すると、そんな装備はまったくもって不必要だ。


Lexus LS 460 F Sport