今回は、米国「Car and Driver」によるビュイック・ラクロスの試乗レポートを紹介します。
GMのV6前輪駆動セダンには長い歴史がある。つまり、GMにはそれだけのノウハウがあるということだ。実際、新型ビュイック・ラクロスは非常に出来が良く、歴史に裏打ちされた実力を持っていると言える。
ラクロスはシボレー・インパラと共通のイプシロンIIプラットフォームを採用している。実際、ボディサイドを見るとインパラと似ているのだが、全体的にデザインが差別化されているため、シボレーよりもずっと上品な印象に仕上がっている。また、新型ラクロスにはアヴニールコンセプトの面影もある。アヴニールコンセプトと違って後輪駆動風のプロポーションではないのだが、それでもうまくバランスのとれたデザインに仕上がっている。試乗車は上級グレードの「Essence」だったので、外装にメッキアクセントが追加されており、上品さが引き立っていた。
インテリアはそれほど魅力的ではなかった。材質に関しては、プラスチックもレザーも上質で何の問題もなかったのだが、ダッシュボードのデザインのせいで車内が実際よりも狭く感じられた。センターコンソールはなだらかな斜面を形作ってダッシュボードと一体化しているのだが、位置が高すぎるのでまるでバスタブのようだ。
インパネの配列も巧くない。エアコンの操作スイッチは小さすぎるし、スイッチとスイッチの間が狭すぎる。電子シフトが採用されているにもかかわらず、シフトレバーは従来と同じくらいのスペースを取ってしまっているし、リバースギアの入れかたは非常に分かりづらいし、センターコンソール内の収納スペースはアクセスしづらい。とはいえ、リアシートは開放的で快適だし、Apple CarPlayおよびAndroid Auto対応のIntelliLinkインフォテインメントシステムはシンプルで使いやすい。
旧型ラクロスに設定されていたマイルドハイブリッドモデル「eAssist」は廃止されたため、3.6L V6のGM ハイフィーチャーエンジンと8速ATの組み合わせしか選べない。このパワートレインは強力で、車重1,692kgであるにもかかわらず、0-100km/h加速を5.9秒でこなす。普段使いでは静かで落ち着いたエンジンなのだが、必要とあらばパワーピークの6,800rpmまで元気よく回ってくれる。アクセルを踏み込めばすぐさまシフトダウンしてくれるし、エンジン音も心地良い。
アイドリングストップシステムは全車標準装備となる。GMのアイドリングストップシステムはかなり優秀だ。エンジンが止まる瞬間もエンジンが再始動する瞬間もほとんど分からない。ただし、アイドリングストップをオフにする機能は付いておらず、その点は残念だ。ほかに気筒休止システムも付いており、EPA基準でシティ燃費8.9km/L、ハイウェイ燃費13.2km/Lを実現している。パフォーマンスを考えれば優秀な値だ。
シャシの素性は良い。剛性感もあるし、舗装の悪い道でも乗り心地は安定している。衝撃はうまく吸収されるし、スポーツセダンでないとはいえロールも抑えられている。ブレーキも剛性感があってフィールも良かったのだが、110km/hからの制動距離は52mという平凡な値だった。ただし、試乗車は1,625ドルのセットオプションとして、20インチホイールとアダプティブダンパー、HiPer Strut フロントサスペンション（トルクステアを抑える効果がある）が装備されていた。この効果ははっきりと現れており、スポーツモードにすると予想以上に応答性が高くなる。一方で、18インチホイールを履くモデルは昔ながらのソフトな走りだ。
試乗車にはほかに1,550ドルのパノラミックサンルーフ+リアサンシェードや1,145ドルのBOSEオーディオ付ナビゲーションシステム、445ドルのブラインドスポットモニタリング+クロストラフィックアラートが装備されていた。ここにラクロスの問題点が潜んでいる。試乗車の価格はオプション込みで44,850ドルとかなり高価だったのだが、「Essence」のさらに上には最上級グレードの「Premium」もある。標準価格41,990ドルの「Premium」に2,200ドルのオプションである4WDシステムと1,690ドルのオプションであるアダプティブクルーズコントロールを装備した場合、価格は5万ドルに近付いてしまう。シボレーの大衆車と共有部品が多いことを考えるとあまりにも高価だ。
キア・カデンツァや日産・マキシマ、トヨタ・アバロン、そしてシボレー・インパラも性能的にはほとんど変わらないし、価格はラクロスよりずっと安い。ラクロスの価格帯はレクサス・ES350や後輪駆動のジェネシス・G90と被ってしまう。車の出来は悪くないのだが、価格設定はかなり強気だ。
2017 Buick LaCrosse
GMのV6前輪駆動セダンには長い歴史がある。つまり、GMにはそれだけのノウハウがあるということだ。実際、新型ビュイック・ラクロスは非常に出来が良く、歴史に裏打ちされた実力を持っていると言える。
ラクロスはシボレー・インパラと共通のイプシロンIIプラットフォームを採用している。実際、ボディサイドを見るとインパラと似ているのだが、全体的にデザインが差別化されているため、シボレーよりもずっと上品な印象に仕上がっている。また、新型ラクロスにはアヴニールコンセプトの面影もある。アヴニールコンセプトと違って後輪駆動風のプロポーションではないのだが、それでもうまくバランスのとれたデザインに仕上がっている。試乗車は上級グレードの「Essence」だったので、外装にメッキアクセントが追加されており、上品さが引き立っていた。
インテリアはそれほど魅力的ではなかった。材質に関しては、プラスチックもレザーも上質で何の問題もなかったのだが、ダッシュボードのデザインのせいで車内が実際よりも狭く感じられた。センターコンソールはなだらかな斜面を形作ってダッシュボードと一体化しているのだが、位置が高すぎるのでまるでバスタブのようだ。
インパネの配列も巧くない。エアコンの操作スイッチは小さすぎるし、スイッチとスイッチの間が狭すぎる。電子シフトが採用されているにもかかわらず、シフトレバーは従来と同じくらいのスペースを取ってしまっているし、リバースギアの入れかたは非常に分かりづらいし、センターコンソール内の収納スペースはアクセスしづらい。とはいえ、リアシートは開放的で快適だし、Apple CarPlayおよびAndroid Auto対応のIntelliLinkインフォテインメントシステムはシンプルで使いやすい。
旧型ラクロスに設定されていたマイルドハイブリッドモデル「eAssist」は廃止されたため、3.6L V6のGM ハイフィーチャーエンジンと8速ATの組み合わせしか選べない。このパワートレインは強力で、車重1,692kgであるにもかかわらず、0-100km/h加速を5.9秒でこなす。普段使いでは静かで落ち着いたエンジンなのだが、必要とあらばパワーピークの6,800rpmまで元気よく回ってくれる。アクセルを踏み込めばすぐさまシフトダウンしてくれるし、エンジン音も心地良い。
アイドリングストップシステムは全車標準装備となる。GMのアイドリングストップシステムはかなり優秀だ。エンジンが止まる瞬間もエンジンが再始動する瞬間もほとんど分からない。ただし、アイドリングストップをオフにする機能は付いておらず、その点は残念だ。ほかに気筒休止システムも付いており、EPA基準でシティ燃費8.9km/L、ハイウェイ燃費13.2km/Lを実現している。パフォーマンスを考えれば優秀な値だ。
シャシの素性は良い。剛性感もあるし、舗装の悪い道でも乗り心地は安定している。衝撃はうまく吸収されるし、スポーツセダンでないとはいえロールも抑えられている。ブレーキも剛性感があってフィールも良かったのだが、110km/hからの制動距離は52mという平凡な値だった。ただし、試乗車は1,625ドルのセットオプションとして、20インチホイールとアダプティブダンパー、HiPer Strut フロントサスペンション（トルクステアを抑える効果がある）が装備されていた。この効果ははっきりと現れており、スポーツモードにすると予想以上に応答性が高くなる。一方で、18インチホイールを履くモデルは昔ながらのソフトな走りだ。
試乗車にはほかに1,550ドルのパノラミックサンルーフ+リアサンシェードや1,145ドルのBOSEオーディオ付ナビゲーションシステム、445ドルのブラインドスポットモニタリング+クロストラフィックアラートが装備されていた。ここにラクロスの問題点が潜んでいる。試乗車の価格はオプション込みで44,850ドルとかなり高価だったのだが、「Essence」のさらに上には最上級グレードの「Premium」もある。標準価格41,990ドルの「Premium」に2,200ドルのオプションである4WDシステムと1,690ドルのオプションであるアダプティブクルーズコントロールを装備した場合、価格は5万ドルに近付いてしまう。シボレーの大衆車と共有部品が多いことを考えるとあまりにも高価だ。
キア・カデンツァや日産・マキシマ、トヨタ・アバロン、そしてシボレー・インパラも性能的にはほとんど変わらないし、価格はラクロスよりずっと安い。ラクロスの価格帯はレクサス・ES350や後輪駆動のジェネシス・G90と被ってしまう。車の出来は悪くないのだが、価格設定はかなり強気だ。
2017 Buick LaCrosse
