今回は「AUTOCAR INDIA」によるシュコダ・スペルブ 2.0 TDI とトヨタ・カムリハイブリッドの比較試乗レポートを日本語で紹介します。

まず最初に、スペルブの購入層について説明しておこう。スペルブを購入するのは、上質感があり、室内空間が広く、それでいて法外に高くはない車を求めているような人たちだ。中でも、走行距離が長い人はディーゼルに興味を持つはずだ。実際、ランニングコストの低いディーゼルを購入する人は走行距離が長い傾向がある。スペルブにセグメント唯一のディーゼルモデルがあることを考えると、販売に苦戦することもきっとないだろう。
とはいえ、少し視野を広げてみれば、他にもライバルが存在する。その車こそ、トヨタ・カムリハイブリッドだ。ガソリンハイブリッドとディーゼルという動力源の違いはあるが、なにより気になるのは、カムリハイブリッドが燃費性能でスペルブディーゼルに勝っているという点だ。その辺りも含めて、この2台を比較していくことにしよう。
2台とも高級セダンなので、まずはリアシートの快適性から比較していくことにしよう。乗り比べてみると、スペルブの優位は明らかだ。まず、シート自体の出来が優れている。それに、サイサポートも良いし、センターアームレストの高さも適切だし、乗り心地でも優れている。スペルブのソフトなサスペンションは路面の凹凸を十分に、かつ静かにいなしてくれる。高速域だとある程度の上下動が出てくるのだが、普通に乗っていて気になるほどのものではない。ただし、センタートンネルが高いため、後部中央席に座ると窮屈な思いをすることになる。また、リアシートのバックレストは角度が固定されているのだが、少しアップライトすぎるように感じた。
一方のカムリは電動でバックレストの角度を調節することができる。これは便利なのだが、着座位置が低いため、わずかに膝を抱えるような姿勢になってしまい、長距離の移動に理想的とは言えない。ただし、リアに3人乗せるのであればカムリのほうが適している。シュコダ同様、ウィンドウは大きくて視界は良いし、レッグルームやヘッドルームも十分にある。サスペンションは低速域ではかなりしなやかに動いてくれるのだが、高速域ではスペルブ以上に暴れてしまうし、タイヤノイズもスペルブに比べるとやかましい。
走りでもスペルブが優位だ。177PSの2.0Lディーゼルエンジンにはパンチがあり、よく回ってくれる。6速DCTの変速は早く、オートモードでの変速タイミングもばっちりだし、マニュアルモードにするとパドルシフト操作に即座に反応してくれる。スペルブは走行安定性が高く、動力性能も高いため、少し勇ましい運転をしても笑顔をもたらしてくれる。気分に応じてドライブモードを変更することもできる。退屈な通勤時でも、運転しやすいし快適だ。ただし、わずかなターボラグが気になるかもしれない。それに、ディーゼルなのでエンジン音の問題も避けられない。さほどうるさいわけではないのだが、しかしどうしても気になってしまう。これはカムリにはない問題だ。

カムリには2.5Lのガソリンエンジンが搭載されており、電気モーターと共に稼働する。モーターは車の加減速時や制動時にバッテリーに蓄えられた電気で動く。40km/hまでなら、アクセルを緩く踏んでいる場合、モーターのみで走行することもできる。この場合、静粛性はかなりのものだ。最初は不気味にも思えるのだが、すぐに慣れる。スピードを出したり、アクセルを強く踏み込んだりすると、エンジンが始動し、自然に介入する。システム出力は205PSだ。
加速性能は高いのだがスペルブには劣るし、感覚的には実際ほど速く感じられない。CVTのせいで走る楽しさが削がれてしまっている。それに、アクセルを踏み込むとエンジンはかなりやかましい。軽いステアリングは高速域では路面状況をあまり伝えてくれないし、ブレーキも陳腐な印象だ。とはいえ、タコメーターの付いていないハイブリッドカーに走る楽しさを求めるのは間違っているのかもしれない。
ハイブリッドカーに求められるのは燃費性能だ。今回の街中におけるカムリハイブリッドの燃費は14.1km/Lと優秀な値を記録した。流れの遅い街中ではモーターのみで走ることが多かったことも寄与しているのだろう。高速道路での燃費はわずかに改善して15.7km/Lだった。一方のスペルブも健闘している。結果は、街中では10.1km/L、高速道路では14.6km/Lだった。
フロントシートはどちらも大きくて座り心地が良い。しかし、高級感においてはスペルブのほうが一枚上手だ。プラスチックの質感や細部の仕上がりで勝っているし、スペルブには上品なアンビエントライトも装備されている。スペルブのダッシュボードのデザインはシンプルなのだが、それでいてよく考えられている。それに、スペルブのトランク容量は625Lと広大だ。
カムリハイブリッドのインテリアはトヨタ的で質感も高いのだが、価格を考えると不十分だ。とはいえ、プレイステーションのコントローラーのようなボタンの付いたステアリングやレクサス風のダッシュボードなど、魅力的な部分はちゃんと存在する。しかし、まとまりが悪い。やたらとボタンがあるし、木目調パネルはフェイク丸出しだし、センターディスプレイはまるで後付品のようだ。それに、ドアを閉めた時の剛性感でもスペルブに劣る。

装備に関してはいずれの車も充実している。レザーシートや前席パワーシート、前席シートクーラー、運転席シートポジションメモリー、3ゾーンオートエアコン、バックカメラ、ナビなどは2台ともに揃っている。
また、スペルブにはパドルシフトやパノラミックサンルーフ、ハンズフリートランクオープナー、8エアバッグ(カムリは7エアバッグ)も装備される。それに、スペルブのナビはカムリよりずっと優秀だ。6.5インチという画面サイズはそれほど大きいわけではないのだが、動きは滑らかだし、Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応している。
一方、カムリにはLEDヘッドランプ(スペルブはバイキセノンヘッドランプ)やリアシート電動リクライニング機構、リアセンターアームレストスイッチ(オーディオ・エアコン操作用)が装備される。
結論に移る前に、ひとつ重要な話をしよう。スペルブのほうがシャープでモダンなデザインであり、純粋に美しい車のように見える。しかし、今は反ディーゼルの時代となり、政治的にはハイブリッドに乗ることこそが正しいと考えられるようになっている。これこそがカムリハイブリッドの強みだ。この車には「地球に優しい」という強みがある。経済性が高いだけでなく、自分がエコであることを周囲にアピールすることもできる。しかも、ハイブリッドカーに減税が適応されたため、価格が30万9000ルピーとなり、従来より購入しやすくなっている。
しかし、スペルブは30万8500ルピーとカムリハイブリッド以上に安いし、車としての実力はスペルブのほうが上だ。あくまで実力で比較するならスペルブの勝ちだ。スペルブのほうが室内空間も広いし、運転していて楽しいし、なによりそこに魂がある。結論に移ろう。経済的な高級車が欲しいなら、シュコダ・スペルブディーゼルを選ぶべきだ。
Skoda Superb TDI vs Toyota Camry Hybrid comparison

まず最初に、スペルブの購入層について説明しておこう。スペルブを購入するのは、上質感があり、室内空間が広く、それでいて法外に高くはない車を求めているような人たちだ。中でも、走行距離が長い人はディーゼルに興味を持つはずだ。実際、ランニングコストの低いディーゼルを購入する人は走行距離が長い傾向がある。スペルブにセグメント唯一のディーゼルモデルがあることを考えると、販売に苦戦することもきっとないだろう。
とはいえ、少し視野を広げてみれば、他にもライバルが存在する。その車こそ、トヨタ・カムリハイブリッドだ。ガソリンハイブリッドとディーゼルという動力源の違いはあるが、なにより気になるのは、カムリハイブリッドが燃費性能でスペルブディーゼルに勝っているという点だ。その辺りも含めて、この2台を比較していくことにしよう。
2台とも高級セダンなので、まずはリアシートの快適性から比較していくことにしよう。乗り比べてみると、スペルブの優位は明らかだ。まず、シート自体の出来が優れている。それに、サイサポートも良いし、センターアームレストの高さも適切だし、乗り心地でも優れている。スペルブのソフトなサスペンションは路面の凹凸を十分に、かつ静かにいなしてくれる。高速域だとある程度の上下動が出てくるのだが、普通に乗っていて気になるほどのものではない。ただし、センタートンネルが高いため、後部中央席に座ると窮屈な思いをすることになる。また、リアシートのバックレストは角度が固定されているのだが、少しアップライトすぎるように感じた。
一方のカムリは電動でバックレストの角度を調節することができる。これは便利なのだが、着座位置が低いため、わずかに膝を抱えるような姿勢になってしまい、長距離の移動に理想的とは言えない。ただし、リアに3人乗せるのであればカムリのほうが適している。シュコダ同様、ウィンドウは大きくて視界は良いし、レッグルームやヘッドルームも十分にある。サスペンションは低速域ではかなりしなやかに動いてくれるのだが、高速域ではスペルブ以上に暴れてしまうし、タイヤノイズもスペルブに比べるとやかましい。
走りでもスペルブが優位だ。177PSの2.0Lディーゼルエンジンにはパンチがあり、よく回ってくれる。6速DCTの変速は早く、オートモードでの変速タイミングもばっちりだし、マニュアルモードにするとパドルシフト操作に即座に反応してくれる。スペルブは走行安定性が高く、動力性能も高いため、少し勇ましい運転をしても笑顔をもたらしてくれる。気分に応じてドライブモードを変更することもできる。退屈な通勤時でも、運転しやすいし快適だ。ただし、わずかなターボラグが気になるかもしれない。それに、ディーゼルなのでエンジン音の問題も避けられない。さほどうるさいわけではないのだが、しかしどうしても気になってしまう。これはカムリにはない問題だ。

カムリには2.5Lのガソリンエンジンが搭載されており、電気モーターと共に稼働する。モーターは車の加減速時や制動時にバッテリーに蓄えられた電気で動く。40km/hまでなら、アクセルを緩く踏んでいる場合、モーターのみで走行することもできる。この場合、静粛性はかなりのものだ。最初は不気味にも思えるのだが、すぐに慣れる。スピードを出したり、アクセルを強く踏み込んだりすると、エンジンが始動し、自然に介入する。システム出力は205PSだ。
加速性能は高いのだがスペルブには劣るし、感覚的には実際ほど速く感じられない。CVTのせいで走る楽しさが削がれてしまっている。それに、アクセルを踏み込むとエンジンはかなりやかましい。軽いステアリングは高速域では路面状況をあまり伝えてくれないし、ブレーキも陳腐な印象だ。とはいえ、タコメーターの付いていないハイブリッドカーに走る楽しさを求めるのは間違っているのかもしれない。
ハイブリッドカーに求められるのは燃費性能だ。今回の街中におけるカムリハイブリッドの燃費は14.1km/Lと優秀な値を記録した。流れの遅い街中ではモーターのみで走ることが多かったことも寄与しているのだろう。高速道路での燃費はわずかに改善して15.7km/Lだった。一方のスペルブも健闘している。結果は、街中では10.1km/L、高速道路では14.6km/Lだった。
フロントシートはどちらも大きくて座り心地が良い。しかし、高級感においてはスペルブのほうが一枚上手だ。プラスチックの質感や細部の仕上がりで勝っているし、スペルブには上品なアンビエントライトも装備されている。スペルブのダッシュボードのデザインはシンプルなのだが、それでいてよく考えられている。それに、スペルブのトランク容量は625Lと広大だ。
カムリハイブリッドのインテリアはトヨタ的で質感も高いのだが、価格を考えると不十分だ。とはいえ、プレイステーションのコントローラーのようなボタンの付いたステアリングやレクサス風のダッシュボードなど、魅力的な部分はちゃんと存在する。しかし、まとまりが悪い。やたらとボタンがあるし、木目調パネルはフェイク丸出しだし、センターディスプレイはまるで後付品のようだ。それに、ドアを閉めた時の剛性感でもスペルブに劣る。

装備に関してはいずれの車も充実している。レザーシートや前席パワーシート、前席シートクーラー、運転席シートポジションメモリー、3ゾーンオートエアコン、バックカメラ、ナビなどは2台ともに揃っている。
また、スペルブにはパドルシフトやパノラミックサンルーフ、ハンズフリートランクオープナー、8エアバッグ(カムリは7エアバッグ)も装備される。それに、スペルブのナビはカムリよりずっと優秀だ。6.5インチという画面サイズはそれほど大きいわけではないのだが、動きは滑らかだし、Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応している。
一方、カムリにはLEDヘッドランプ(スペルブはバイキセノンヘッドランプ)やリアシート電動リクライニング機構、リアセンターアームレストスイッチ(オーディオ・エアコン操作用)が装備される。
結論に移る前に、ひとつ重要な話をしよう。スペルブのほうがシャープでモダンなデザインであり、純粋に美しい車のように見える。しかし、今は反ディーゼルの時代となり、政治的にはハイブリッドに乗ることこそが正しいと考えられるようになっている。これこそがカムリハイブリッドの強みだ。この車には「地球に優しい」という強みがある。経済性が高いだけでなく、自分がエコであることを周囲にアピールすることもできる。しかも、ハイブリッドカーに減税が適応されたため、価格が30万9000ルピーとなり、従来より購入しやすくなっている。
しかし、スペルブは30万8500ルピーとカムリハイブリッド以上に安いし、車としての実力はスペルブのほうが上だ。あくまで実力で比較するならスペルブの勝ちだ。スペルブのほうが室内空間も広いし、運転していて楽しいし、なによりそこに魂がある。結論に移ろう。経済的な高級車が欲しいなら、シュコダ・スペルブディーゼルを選ぶべきだ。
Skoda Superb TDI vs Toyota Camry Hybrid comparison