今回は、英国「Auto Express」によるルノー・カングー 1.5 dCi の試乗レポートを日本語で紹介します。


Kangoo

室内空間競争にルノーから新たな刺客が登場した。従来よりカングーはコストパフォーマンスの高さや室内空間の広大さが理由で家族持ちに受けていたのだが、新型カングーはさらに実用性を高めている。

外見には商用車っぽさが見え隠れしている。カングーはそもそも商用車として開発されたモデルだ。しかし、そうして抑えられた開発コストは、そのまま顧客へと還元される。

平板なプロポーションや切り立ったフロントウィンドウはデザイン的にはさして優れていないのだが、大型フロントバンパーやヘッドランプのデザインのおかげで、旧型カングーに比べると魅力を増しているように思える。インテリアはルノーとしては標準的な質感で、着座位置が高く、窓も大きいので、見晴らしは素晴らしい。

全長が18cmも延長しているため、もともと広かった室内はさらに広大になっている。リアのレッグルームはクラス最大級だし、リアシートを畳んでいない状態で660Lもの荷室を確保している。リアシートと助手席を畳むと、荷室は2,800Lにまで拡大する。例えばBMW X5と比べてみると、1,000L以上も広い。

今回は86PSの1.5 dCi に試乗した。エンジン始動時には粗さも感じられたのだが、エンジンが温まってしまえば滑らかになるし、パフォーマンスも十分だった。18.9km/Lという燃費性能やわずか140g/kmというCO2排出量はこのサイズの車としては上出来だ。1.5 dCi には68PSおよび104PSのモデルも存在し、他に8Vおよび16Vの1.6Lガソリンエンジンも設定される。

サスペンションは非常に柔らかく、乗り心地は非常に良いのだが、コーナーではどうしてもかなりのロールが発生してしまう。ただ、そもそもこの車にハンドリング性能など求められてはいないだろう。

エンジンは十分力があるし、それでいて経済性も高い。価格は旧型よりわずかに高くなっているだけなのだが、装備内容は充実している。デザインをそれほど重視しないのであれば、カングー以上にコストパフォーマンスの高いファミリーカーは存在しないだろう。


Kangoo 1.5 dCi 86