今回は、英国の人気自動車番組「Top Gear」でもおなじみのリチャード・ハモンドが2014年に英「Mirror」に寄稿したスバル・BRZの試乗レポートを日本語で紹介します。


BRZ

スバルとトヨタ、どちらのほうが印象が良いだろうか。あるいは、スバル・BRZとトヨタ・GT86のどちらを買いたいと思うだろうか。インテリアやボディ、ホイールのデザインなどごくわずかな部分を除いて、この2台はほとんど同一だ。

これまでBRZのほうには試乗できていなかったのだが、実質的にGT86とBRZの開発の主体となったのがスバルであることを考えれば少しフェアではない気もする。トヨタも設計には関与しているのだが、開発からテスト、水平対向4気筒エンジンの供給、製造に至るまで、基本的にはスバルが主体となって行っている。

なので今回は、お馴染みのスバルブルー、正式名称ワールドラリーブルーマイカを身に纏ったBRZに試乗した。

6速MTの量販グレード「SE Lux」の価格は26,495ポンドだ。また、こんな車にATを求める変わり者や、身体的理由によってATしか運転できない人は、27,995ポンドでATモデルを購入することもできる。もう少し安いグレードなら24,995ポンドで購入することもできる。このグレードを選んだ場合、別途ポータブルナビかスマートフォンをダッシュボードに置く必要がある。

BRZを最大限楽しみたいのであれば、(渋滞知らずのスコットランド高地のような地域に住んでいるのなら話は別だが)天気の良い日曜の朝に早起きする必要がある。英国式のカフェを目的地にすればなお良い。自分でもそうした。

スバル(とトヨタ)はポルシェのケイマンRをベンチマークとしている。これは悪くない選択だ。ステアリング、シフトレバー、シート、いずれの位置も完璧だ。

これは楽しさだけに特化した車だ。少しやかましい2.0Lのボクサーエンジンは最高出力がわずか200PSなので、AMGやホットハッチを信号加速で置いていくことは到底できそうにない。しかし、細いタイヤ、わずか1,239kgという車重、シャシの中央寄りの低い位置に搭載されたエンジンのおかげで、見事な操作性を実現している。

この車はそれほど速度を出さなくても楽しむことができる。もしこの車、もしくはGT86に乗ったことがないなら、一度は試乗するべきだ。

ブルーのボディカラー以外にも、スバルを選ぶべき理由は存在する。BRZを購入するとスタッドレスタイヤとスタッドレスタイヤ用アルミホイールが無料で貰えるそうだ。


The Subaru BRZ is fun but beating AMGs or a hot hatch away from the lights is a nonstarter