ジープが米国で行うイベント「イースタージープサファリ」では毎年ジープがコンセプトカーを出展しています。

今回は、米国「MOTOR TREND」によるイースタージープサファリ出展コンセプトカー6台の試乗レポートをまとめて日本語で紹介します。


Jeep

ジープにとって今年は祝いの年だ。フィアット・クライスラー・オートモービルズ (FCA) の稼ぎ頭であることはもちろん祝福すべき事柄だが、2016年はウィリス・MBジープが登場して75周年の年だ。それに、今年はモアブでジープの世界最大イベント、イースタージープサファリが開催されるようになって50周年の年でもある。

イースタージープサファリではジープが新しいコンセプトカーを発表するという伝統があり、今年はヘルキャットエンジンを搭載するラングラーやレネゲードベースのトラックをはじめとした7台のコンセプトカーが発表された。今回はそのうちの6台を紹介する。

Comanche

ジープ・コマンチ
このラングラーベースのトラックは市販化の可能性も高く、十分期待できることだろう。ジープ・コマンチコンセプトのベースとなっているのはレネゲードトレイルホークであり、長さ1.5mの荷台を有するトラックに変身している。レネゲードトレイルホーク同様、コマンチも高い走破性を有している。

コマンチに搭載されるのは、欧州市場で販売されるFCA車に多く使われている4気筒の2.0Lターボディーゼルエンジンだ。このディーゼルエンジンには9速ATが組み合わせられ、オフロード走行にも十分なパフォーマンスを発揮してくれる。一般道や高速道路にも合ったパワートレインであり、北米仕様のレネゲードに搭載されればきっと人気を博すことだろう。

Trailcat

ジープ・トレイルキャット
ヘルキャットエンジンがジープにも使われるようになった。トレイルキャットコンセプトには、ベースとなるラングラーよりも2倍以上の出力を誇る717PSの6.2L スーパーチャージャー付V8ヘルキャットエンジンが搭載される。

このエンジンはやかましい。50cm以上離れた人と会話をするためにはエンジンを切らなければならないほどだ。

ヘルキャットエンジンに組み合わせられるのは6速MTで、クラッチは操作しやすく、おそらくチャレンジャーヘルキャットのクラッチよりも扱いやすい。アクセルを少しでも踏み込めばタイヤが地獄への道を進み始める。

Shortcut

ジープ・ショートカット
このコンセプトカーの根幹にあるのは「シンプルさ」だ。手本となっているのはかつてのCJ-5であり、2ドアの現行ラングラーをベースに全長が660mm(フロント100mm、リア560mm)短縮されている。搭載されるペンタスターV6エンジンはベース車と同じなのだが、専用にカスタマイズされたキャットバックマフラーは迫力のある音を響かせる。

全長が短縮されただけでなく、フェンダーが小型化してドアがなくなったことで、悪路における視界の確保が容易になっている。自分の目でどこでも見ることができるのだから、アラウンドビューカメラなど必要ない。

F-150

ジープ・FC-150
ジープのデザイン統括を務めるマーク・アレン氏はインターネット上で1960年式のFC-150を発見し、上司に掛け合ってプロジェクトのためにこのFC-150を購入するよう説得した。

シャシには旧型TJラングラーのものが使われているのだが、FC-150コンセプトにしかない個性もある。天井にはカモの模様が描かれていたり、荷台に載っているビールクーラーはフェイクの干し草に覆われており、あたかも荷台に干し草が山積みになっているかのようになっている。

バスの運転手にとって、ジープ・フォワードコントロールの運転スタイルは慣れ親しんだものだろう。エンジンはシート直下に配置されており、フロントガラスより前にボンネットは存在しない。急坂で目の前に岩が現れたりすると不安になってはしまうのだが、運転していて楽しいのは事実だ。

Jeep-Renegade-Commander

ジープ・レネゲード コマンダー
このコンセプトカーはボディカラーが変わっているだけではなく中身も変更されており、オフロード性能が向上している。例えば、最低地上高は50mm上昇しているし、スキッドプレートが装備されているのでボディ下部が跳ね石などから保護される。

また、スタビライザーが取り除かれたことで各輪のサスペンションの自由度が上がり、オフロード走行中も四輪すべてが接地しやすくなっている。一応は排気系も変更されているのだが、ただ音がやかましくなっているだけなのであえて詳しく言及する必要もないだろう。

Jeep-Crew-Chief-715

ジープ・クルーチーフ715
トレイルキャットに搭載されているエンジンも確かに凄いのだが、見た目の凄さで言えばクルーチーフ715が一番だろう。車名が示す通り、この車はカイザージープ・M715という軍用仕様のジープをモチーフとしており、ラングラーをベースにホイールベースは580mm延長されている。

ボディサイズも大きく、回転半径も大きいため、狭い森の中を走る際には慎重を要する。40インチのミリタリータイヤは細いながらもグリップはかなりある。


2016 Easter Jeep Safari Concepts First Drive