今回は、米国「AUTOWEEK」による、トヨタのチューニングミニバン「シエナ R-TUNED」および「シエナ S-TUNED」の試乗レポートを日本語で紹介します。
シエナ S-TUNED(左)とR-TUNED(右)
ミニバンを嫌うのは簡単だ。ミニバンは間が抜けているし退屈だし、それに母親の車だ。では、そんなミニバンを改造したら(かなり大掛かりな改造になるだろうが)、ただの送迎車が楽しい車に変貌するのだろうか。
トヨタの調査によると、もっとスポーティーになったらミニバンを買ってもいいという人はかなり多いそうだ。なので、2011年に発売された現行シエナには硬めのサスペンションを装備したスポーティーグレードのSEが追加された。これは成功を収め、カスタムミニバンの人気を牽引した。
バンをカスタマイズする企画「ヴァンカルチャー」のグループにはInstagramのフォロワーが51,000人いる。このメンバーが改造する車の中でも中核となる車種がシエナSEであり、エアサスペンションやエアロパーツなどが装着される。
ヴァンカルチャーの創設者の一人であり、シエナのオーナーでもあるポール・コタコ氏は以下のように語っている。
「私たちはフォーラムで出会って、皆が同じ目標を持っているということに気付きました。ただのファミリーカーではない、自分らしい車が欲しかったんです。」
ヴァンカルチャーのメンバーの多くはコンパクトスポーツカーの世界で経験を積んでおり、ある意味では過激なカスタマイズをしている。しかし、トヨタはヴァンカルチャーの意見を仰ぐことにした。
昨年アメリカで販売された13万台のトヨタのミニバンのうち、10%がSEモデルだった。トヨタはここにまだ市場があると考えた。
シエナのチーフデザイナーであるアンドリュー・ランド氏は以下のように語っている。
「もっとパフォーマンスの高いミニバンが欲しいというお客様もいらっしゃいます。なによりスポーツミニバンはスポーティーな見た目でなければなりませんが、それに見合うだけのパフォーマンスも必要です。」
シエナがどれだけ過激な車になれるかということを示すため、トヨタは我々をカリフォルニア州ロザモンドにあるウィロースプリングス・レースウェイに招待し、サーキット向けのチューニングカー「シエナ R-TUNED コンセプト」(2015年11月のSEMAショーで発表されたモデルだ)と、より現実的なモデルである「シエナ S-TUNED コンセプト」に試乗させてくれた。
この2台の改造を担当したのは、ピレリワールドチャレンジのツーリングカークラスで優勝を果たしたサイオン・tCも担当したDG-Specという会社だ。この2台はただサーキットを走るために開発されたわけではなく、詳細にまでこだわられているということがすぐに分かった。
R-TUNEDの方がよりアグレッシヴな設計になっており、スポーツカーと本気で戦えるように設計されている。このミニバンはサーキット用のモデルなのだが、DG-Specによると、公道を走ることもできるそうだ。実際、開発時には300km以上の公道テストも行われている。
搭載されるエンジンはベース車と変わらない3.5L V6で、トランスミッションも同じ6速ATだ。エンジンフードはカーボンファイバー製となり、18kg軽量化されている。インテークは改良されており、空気はフロントタイヤのすぐ前の部分から入って、リアの大型キャットバックエグゾーストから出る。この変更により、出力が約40PS向上しており、最高出力は300PSを超える。
総重量はベース車よりも363kg軽量化されているため、これだけの出力でも十分だ。シートもすべて取り替えられており、車重は1,724kgとなっている。ダッシュボードなどはベースのままなので、グローブボックスやエアコンやナビなどはそのまま使うことができる。ただ、CORBEAU PROシリーズのレーシングシートや6点ハーネスやロールケージを見れば、これが本気のパフォーマンスマシンだと分かる。
おそらく、R-TUNEDの一番凄いところはベース車の良さを生かした細部にわたるパーツのこだわりだろう。ただ、現時点では具体的なアフターパーツの販売計画はない。
フロントサスペンションは3.8cm低くなっており、コイルオーバーサスペンションはアジャスタブルでスプリングレートが300%増加している。キャンバープレートとキャスタープレートはオーストラリア向けのセリカ用のものが使われており、サーキットにおいて接地面が最大限になるように設計されている。フロントタイヤは275/40R18のNITTO NT-01で、ホイールはエンケイ製の18インチだ。リアには4mmのスペーサーが使われる。それ以外の部品については純正のままだ。
パワーを効率的に路面に伝えるため、DGは世界初のミニバン用LSDを開発した。使われているクラッチ式のLSDはしっかりとアンダーステアやホイールスピンを抑えてくれる。面白いことに、もしこのLSDが製品化されたら、カムリやハイランダーなどの他のトヨタ製V6前輪駆動車にも使うことができるそうだ。
意外かもしれないが、DGはブレーキシステムは純正でも十分だと判断した。ただし、ブレーキパッドは摂氏980度まで耐えられるCarbotech社製のものを使っており、ブレーキラインはステンレス製、フルードはレーシング用になっている。また、耐熱性を向上するために金箔まで使われている。これによってABSなどの精密機器が壊れないように保護するそうだ。
リアサスペンションは純正のトーションビームのままなのだが、スプリングやダンパーは専用品に交換されている。スプリングにはVOGTLAND製のものが採用されており、ダンパーはカスタムバルブで、7.6cmの車高調節が可能となっている。前後ともにアジャスタブルサスペンションを採用することで、最適なセッティングに合わせることができる。フロント同様、パッドやライン、シールドを除いてブレーキは純正品が使われている。
本来、サーキット向けの車にスライドドアなど不要なのだが、DGはあえてドアの機能を残すことにこだわった。リアタイヤをフロントよりも細い275/40R18にし、4mmのスペーサーを付けることで、スライドドアが使えるようになっている。
S-TUNEDはずっと大人しいチューニングとなっている。ただ、このモデルは次期シエナのスポーツモデルの姿を示唆しているそうだ。
DG-Specの代表であるダン・ガードナー氏は以下のように語っている。
「我々は、シエナが元来持っていたポテンシャルを最大限に活かすことができたと自負しています。」
S-TUNEDのベースとなっているのは重量級の4WDモデルだ。インテリアはベースモデルと変わらず、そのため車重もベースとほとんど変わらない。前後サスペンションはそれぞれおよそ3cmずつ低くなっており、ベース車よりも40%強化されたスプリングが純正のSE用ダンパーに組み合わせられている。キャットバックエグゾーストと吸気系の変更により、最高出力は約10PS増加している。ブレーキも基本的には純正のままで、パッドはCarbotechのストリート品に交換されている。ホイールは18インチのエンケイで、タイヤは245/40R18のNITTO NT-05だ。
ミニバンでサーキットを走るだなんて異常だ。明らかに異常だ。しかし、そんな偏見もR-TUNEDでストリーツ・オブ・ウィローを走って記録した1分27秒というタイムを見たら掻き消えてしまう。これは標準のシエナSEよりも15秒速い。しかも、同じドライバーが運転するカマロSSよりも1秒速い。つまり、このV6ミニバンは400PS超えのV8のカマロよりも速い。複雑な気分だ。
全高は標準のシエナとほとんど変わらないのだが、R-TUNEDの場合、フロアは金属剥き出しだし、シートはCORBEAUの本格的なレーシングシートなので、乗り込むのは大変だ。ただ、一度ベルトを締めてしまえばかなり快適だ。それに、ミニバンなのでヘルメットの上にはかなりの余裕がある。身長190cm超えの人も余裕で乗ることができる。エグゾーストはやかましいし音も荒々しく、まるで巨大なスポーツカーのようだ。
R-TUNEDはベース車よりも軽いしパフォーマンスも向上しているのだが、加速時に速くなったとはそれほど感じない。しかし、コーナーに入ると豹変する。R-TUNEDはコーナーでかなり粘るので、ショッキングとさえ表現できてしまう。シエナでこれだけのスピードでコーナーに入れるなど、到底予想していなかった。R-TUNEDはまるでそこが自分の主戦場であるかのようにサーキットを走ってくれる。これに比べれば標準のシエナはあまりに重く、ハードな運転をしようなどとは思えない。ステアリングシステムは純正と同じなのだが、感覚的にはシャープかつ正確になっているように思えた。
ただし、トランスミッションは常時マニュアルモードにしておくべきだ。自動変速させるとシャシと喧嘩してしまう。正直なところ、R-TUNEDの弱点はパワートレインだ。とはいえ、この車は私が乗った中で最もハンドリングの優れたミニバンであることは確かだし、運転していて楽しい。
よりマイルドなS-TUNEDもある意味で印象的だった。当然、サーキット仕様のR-TUNEDに比べれば遅いし、グリップも劣るのだが、それでもストリーツ・オブ・ウィローをかなりのスピードで走るだけの実力はある。バランスが良く非常に安定しているし、限界が近くなると適度にロールして知らせてくれる。それに、実際はベース車に比べて軽いわけではないのだが、運転するとより軽くなったかのように感じた。それに、こちらはシャシとパワートレインの実力がうまく合っているため、トランスミッションが混乱することはあまりない。S-TUNEDのタイムは標準のシエナより8秒も速くなっている。
おそらくは40扁平のタイヤのせいなのだろうが、公道を走るとS-TUNEDは標準のシエナよりも明らかに硬く感じる。ただ、毎日の通勤に使うのを躊躇うほどに硬いわけではない。それに、この車の実力であれば中型セダンに置いて行かれることもないだろうから、家族旅行の足としてもいいのかもしれない。
トヨタは現在のSEモデルよりスポーティーなモデルの開発に意欲的だ。実際、すでに従業員約300人を集めて開発の検討が行われているそうだ。シエナのチーフデザイナーであるアンドリュー・ランド氏も以下のように語っている。
「いずれは、もっと大胆で、もっとスポーティーな車を作りたいと思っています。ただ、一つ問題なのは、ミニバンを購入するお客様は他に比べて価格に敏感だということです。なので、あまり高価なパーツを使うわけにはいかないでしょう。」
ともかく、今回この2台に試乗して、トヨタのミニバンの将来が楽しみになった。
These 2 minivans hunt muscle cars: We drive them both
シエナ S-TUNED(左)とR-TUNED(右)
ミニバンを嫌うのは簡単だ。ミニバンは間が抜けているし退屈だし、それに母親の車だ。では、そんなミニバンを改造したら(かなり大掛かりな改造になるだろうが)、ただの送迎車が楽しい車に変貌するのだろうか。
トヨタの調査によると、もっとスポーティーになったらミニバンを買ってもいいという人はかなり多いそうだ。なので、2011年に発売された現行シエナには硬めのサスペンションを装備したスポーティーグレードのSEが追加された。これは成功を収め、カスタムミニバンの人気を牽引した。
バンをカスタマイズする企画「ヴァンカルチャー」のグループにはInstagramのフォロワーが51,000人いる。このメンバーが改造する車の中でも中核となる車種がシエナSEであり、エアサスペンションやエアロパーツなどが装着される。
ヴァンカルチャーの創設者の一人であり、シエナのオーナーでもあるポール・コタコ氏は以下のように語っている。
「私たちはフォーラムで出会って、皆が同じ目標を持っているということに気付きました。ただのファミリーカーではない、自分らしい車が欲しかったんです。」
ヴァンカルチャーのメンバーの多くはコンパクトスポーツカーの世界で経験を積んでおり、ある意味では過激なカスタマイズをしている。しかし、トヨタはヴァンカルチャーの意見を仰ぐことにした。
昨年アメリカで販売された13万台のトヨタのミニバンのうち、10%がSEモデルだった。トヨタはここにまだ市場があると考えた。
シエナのチーフデザイナーであるアンドリュー・ランド氏は以下のように語っている。
「もっとパフォーマンスの高いミニバンが欲しいというお客様もいらっしゃいます。なによりスポーツミニバンはスポーティーな見た目でなければなりませんが、それに見合うだけのパフォーマンスも必要です。」
シエナがどれだけ過激な車になれるかということを示すため、トヨタは我々をカリフォルニア州ロザモンドにあるウィロースプリングス・レースウェイに招待し、サーキット向けのチューニングカー「シエナ R-TUNED コンセプト」(2015年11月のSEMAショーで発表されたモデルだ)と、より現実的なモデルである「シエナ S-TUNED コンセプト」に試乗させてくれた。
この2台の改造を担当したのは、ピレリワールドチャレンジのツーリングカークラスで優勝を果たしたサイオン・tCも担当したDG-Specという会社だ。この2台はただサーキットを走るために開発されたわけではなく、詳細にまでこだわられているということがすぐに分かった。
R-TUNEDの方がよりアグレッシヴな設計になっており、スポーツカーと本気で戦えるように設計されている。このミニバンはサーキット用のモデルなのだが、DG-Specによると、公道を走ることもできるそうだ。実際、開発時には300km以上の公道テストも行われている。
搭載されるエンジンはベース車と変わらない3.5L V6で、トランスミッションも同じ6速ATだ。エンジンフードはカーボンファイバー製となり、18kg軽量化されている。インテークは改良されており、空気はフロントタイヤのすぐ前の部分から入って、リアの大型キャットバックエグゾーストから出る。この変更により、出力が約40PS向上しており、最高出力は300PSを超える。
総重量はベース車よりも363kg軽量化されているため、これだけの出力でも十分だ。シートもすべて取り替えられており、車重は1,724kgとなっている。ダッシュボードなどはベースのままなので、グローブボックスやエアコンやナビなどはそのまま使うことができる。ただ、CORBEAU PROシリーズのレーシングシートや6点ハーネスやロールケージを見れば、これが本気のパフォーマンスマシンだと分かる。
おそらく、R-TUNEDの一番凄いところはベース車の良さを生かした細部にわたるパーツのこだわりだろう。ただ、現時点では具体的なアフターパーツの販売計画はない。
フロントサスペンションは3.8cm低くなっており、コイルオーバーサスペンションはアジャスタブルでスプリングレートが300%増加している。キャンバープレートとキャスタープレートはオーストラリア向けのセリカ用のものが使われており、サーキットにおいて接地面が最大限になるように設計されている。フロントタイヤは275/40R18のNITTO NT-01で、ホイールはエンケイ製の18インチだ。リアには4mmのスペーサーが使われる。それ以外の部品については純正のままだ。
パワーを効率的に路面に伝えるため、DGは世界初のミニバン用LSDを開発した。使われているクラッチ式のLSDはしっかりとアンダーステアやホイールスピンを抑えてくれる。面白いことに、もしこのLSDが製品化されたら、カムリやハイランダーなどの他のトヨタ製V6前輪駆動車にも使うことができるそうだ。
意外かもしれないが、DGはブレーキシステムは純正でも十分だと判断した。ただし、ブレーキパッドは摂氏980度まで耐えられるCarbotech社製のものを使っており、ブレーキラインはステンレス製、フルードはレーシング用になっている。また、耐熱性を向上するために金箔まで使われている。これによってABSなどの精密機器が壊れないように保護するそうだ。
リアサスペンションは純正のトーションビームのままなのだが、スプリングやダンパーは専用品に交換されている。スプリングにはVOGTLAND製のものが採用されており、ダンパーはカスタムバルブで、7.6cmの車高調節が可能となっている。前後ともにアジャスタブルサスペンションを採用することで、最適なセッティングに合わせることができる。フロント同様、パッドやライン、シールドを除いてブレーキは純正品が使われている。
本来、サーキット向けの車にスライドドアなど不要なのだが、DGはあえてドアの機能を残すことにこだわった。リアタイヤをフロントよりも細い275/40R18にし、4mmのスペーサーを付けることで、スライドドアが使えるようになっている。
S-TUNEDはずっと大人しいチューニングとなっている。ただ、このモデルは次期シエナのスポーツモデルの姿を示唆しているそうだ。
DG-Specの代表であるダン・ガードナー氏は以下のように語っている。
「我々は、シエナが元来持っていたポテンシャルを最大限に活かすことができたと自負しています。」
S-TUNEDのベースとなっているのは重量級の4WDモデルだ。インテリアはベースモデルと変わらず、そのため車重もベースとほとんど変わらない。前後サスペンションはそれぞれおよそ3cmずつ低くなっており、ベース車よりも40%強化されたスプリングが純正のSE用ダンパーに組み合わせられている。キャットバックエグゾーストと吸気系の変更により、最高出力は約10PS増加している。ブレーキも基本的には純正のままで、パッドはCarbotechのストリート品に交換されている。ホイールは18インチのエンケイで、タイヤは245/40R18のNITTO NT-05だ。
ミニバンでサーキットを走るだなんて異常だ。明らかに異常だ。しかし、そんな偏見もR-TUNEDでストリーツ・オブ・ウィローを走って記録した1分27秒というタイムを見たら掻き消えてしまう。これは標準のシエナSEよりも15秒速い。しかも、同じドライバーが運転するカマロSSよりも1秒速い。つまり、このV6ミニバンは400PS超えのV8のカマロよりも速い。複雑な気分だ。
全高は標準のシエナとほとんど変わらないのだが、R-TUNEDの場合、フロアは金属剥き出しだし、シートはCORBEAUの本格的なレーシングシートなので、乗り込むのは大変だ。ただ、一度ベルトを締めてしまえばかなり快適だ。それに、ミニバンなのでヘルメットの上にはかなりの余裕がある。身長190cm超えの人も余裕で乗ることができる。エグゾーストはやかましいし音も荒々しく、まるで巨大なスポーツカーのようだ。
R-TUNEDはベース車よりも軽いしパフォーマンスも向上しているのだが、加速時に速くなったとはそれほど感じない。しかし、コーナーに入ると豹変する。R-TUNEDはコーナーでかなり粘るので、ショッキングとさえ表現できてしまう。シエナでこれだけのスピードでコーナーに入れるなど、到底予想していなかった。R-TUNEDはまるでそこが自分の主戦場であるかのようにサーキットを走ってくれる。これに比べれば標準のシエナはあまりに重く、ハードな運転をしようなどとは思えない。ステアリングシステムは純正と同じなのだが、感覚的にはシャープかつ正確になっているように思えた。
ただし、トランスミッションは常時マニュアルモードにしておくべきだ。自動変速させるとシャシと喧嘩してしまう。正直なところ、R-TUNEDの弱点はパワートレインだ。とはいえ、この車は私が乗った中で最もハンドリングの優れたミニバンであることは確かだし、運転していて楽しい。
よりマイルドなS-TUNEDもある意味で印象的だった。当然、サーキット仕様のR-TUNEDに比べれば遅いし、グリップも劣るのだが、それでもストリーツ・オブ・ウィローをかなりのスピードで走るだけの実力はある。バランスが良く非常に安定しているし、限界が近くなると適度にロールして知らせてくれる。それに、実際はベース車に比べて軽いわけではないのだが、運転するとより軽くなったかのように感じた。それに、こちらはシャシとパワートレインの実力がうまく合っているため、トランスミッションが混乱することはあまりない。S-TUNEDのタイムは標準のシエナより8秒も速くなっている。
おそらくは40扁平のタイヤのせいなのだろうが、公道を走るとS-TUNEDは標準のシエナよりも明らかに硬く感じる。ただ、毎日の通勤に使うのを躊躇うほどに硬いわけではない。それに、この車の実力であれば中型セダンに置いて行かれることもないだろうから、家族旅行の足としてもいいのかもしれない。
トヨタは現在のSEモデルよりスポーティーなモデルの開発に意欲的だ。実際、すでに従業員約300人を集めて開発の検討が行われているそうだ。シエナのチーフデザイナーであるアンドリュー・ランド氏も以下のように語っている。
「いずれは、もっと大胆で、もっとスポーティーな車を作りたいと思っています。ただ、一つ問題なのは、ミニバンを購入するお客様は他に比べて価格に敏感だということです。なので、あまり高価なパーツを使うわけにはいかないでしょう。」
ともかく、今回この2台に試乗して、トヨタのミニバンの将来が楽しみになった。
These 2 minivans hunt muscle cars: We drive them both