今回は、米国「Car and Driver」によるアキュラ TSX(2009年モデル)の試乗レポートを日本語で紹介します。

初代アキュラ TSXはいわば自動車界のカルト映画だ。アキュラは2004年に欧州仕様のホンダ・アコードをベースにインテリアを変更し、フロントグリルに"A"のエンブレムを取り付けてTSXとして発売した。販売目標台数は年間1万5,000台と控えめだった。しかし、ハンドリングの良さが功を奏し、目標を超えた3万台の販売台数を記録した。Car and Driverも初代TSXを高く評価しており、2004年、2005年、それに2006年の10ベストカーにも選出している。
それからTSXの設計も古くなり、ついに新型TSXが誕生した。2代目TSXは初代の流れを汲んでいる。すなわち、基本的には欧州仕様のアコードであり、エクステリアには少し手が入れられ、インテリアは専用のものに変更されている。
全長は旧型よりも56mm増加して4,714mmとなっており、ホイールベースは36mm伸びている。また、全幅は76mm増加している。アキュラいわく新型TSXは「ワイドな印象」としているらしいのだが、北米仕様のアコードのほうがさらに8mm幅が広いことを考えるとどうも納得がいかない。それでも室内スペースは56L向上している。ただし、トランクはわずかに狭くなっている。
TSXにもアキュラおなじみのインフォテインメントシステムが装備されている。視認性を向上するために操作系の配置は従来より高い場所に変更されているのだが、どう考えてもシンプルさを考えて設計したとは思えない。エンターテインメント用とエアコン用のボタンだけでも36個もあるし、加えてダイヤルが2つある。それ以外にも、ステアリングスイッチもあるし、オーディオ用のUSB端子もある。テクノロジー・パッケージを選択すると交通情報・天候情報通信機能付きのナビや10スピーカーELSサラウンドシステムも付く。

TSXのフロントシートはRDXやMDX同様に快適だし、サポート性も高い。青く光る計器類もなかなか恰好良い。基本的には質感も高いのだが、ダッシュボードのレザー風の素材には疑問が残る。
初代TSXをヒットに導いたパワートレインは2代目でも依然として優秀だ。マグネシウム製トランスミッションケースを採用した6速MTはストロークも短いし非常に正確だ。オプションでパドルシフト付きの5速ATも選択できる。エンジンは、旧型にも搭載されていた2.4Lの直列4気筒エンジンの改良型だ。圧縮比を高くすることで最大トルクは1.1kgf·m向上して23.8kgf·mとなっている。ただし、最高出力は4PS低下して204PSとなっている。また、燃費は0.9km/L向上している。
TSXのトルクはさして大きいわけではないのだが、それでもトルクステアは発生してしまう。それにステアリングには問題がある。従来よりもクイックかつ軽くなっているのだが、中立域の遊びがあまりに大きく、フィードバックにも欠けているため、旧型TSXと比べるとステアリングフィールが悪くなっている。
とはいえ、少なくともサスペンションは従来よりも改善されている。試乗中はブリザードに見舞われてしまったのだが、そのおかげでスタビリティコントロールの優秀さを確認できた。
新型TSXのデザインは従来よりも滑らかになっているし、仕上がりも随分と良くなっている。しかし、旧型にあった走る楽しさ、活き活きとした感じはいくらか失われてしまったようだ。新型TSXは欧州仕様のアコードよりもむしろRDXに近い。カルト映画の続篇よろしく、良くなった部分も悪くなった部分もある。
2009 Acura TSX

初代アキュラ TSXはいわば自動車界のカルト映画だ。アキュラは2004年に欧州仕様のホンダ・アコードをベースにインテリアを変更し、フロントグリルに"A"のエンブレムを取り付けてTSXとして発売した。販売目標台数は年間1万5,000台と控えめだった。しかし、ハンドリングの良さが功を奏し、目標を超えた3万台の販売台数を記録した。Car and Driverも初代TSXを高く評価しており、2004年、2005年、それに2006年の10ベストカーにも選出している。
それからTSXの設計も古くなり、ついに新型TSXが誕生した。2代目TSXは初代の流れを汲んでいる。すなわち、基本的には欧州仕様のアコードであり、エクステリアには少し手が入れられ、インテリアは専用のものに変更されている。
全長は旧型よりも56mm増加して4,714mmとなっており、ホイールベースは36mm伸びている。また、全幅は76mm増加している。アキュラいわく新型TSXは「ワイドな印象」としているらしいのだが、北米仕様のアコードのほうがさらに8mm幅が広いことを考えるとどうも納得がいかない。それでも室内スペースは56L向上している。ただし、トランクはわずかに狭くなっている。
TSXにもアキュラおなじみのインフォテインメントシステムが装備されている。視認性を向上するために操作系の配置は従来より高い場所に変更されているのだが、どう考えてもシンプルさを考えて設計したとは思えない。エンターテインメント用とエアコン用のボタンだけでも36個もあるし、加えてダイヤルが2つある。それ以外にも、ステアリングスイッチもあるし、オーディオ用のUSB端子もある。テクノロジー・パッケージを選択すると交通情報・天候情報通信機能付きのナビや10スピーカーELSサラウンドシステムも付く。

TSXのフロントシートはRDXやMDX同様に快適だし、サポート性も高い。青く光る計器類もなかなか恰好良い。基本的には質感も高いのだが、ダッシュボードのレザー風の素材には疑問が残る。
初代TSXをヒットに導いたパワートレインは2代目でも依然として優秀だ。マグネシウム製トランスミッションケースを採用した6速MTはストロークも短いし非常に正確だ。オプションでパドルシフト付きの5速ATも選択できる。エンジンは、旧型にも搭載されていた2.4Lの直列4気筒エンジンの改良型だ。圧縮比を高くすることで最大トルクは1.1kgf·m向上して23.8kgf·mとなっている。ただし、最高出力は4PS低下して204PSとなっている。また、燃費は0.9km/L向上している。
TSXのトルクはさして大きいわけではないのだが、それでもトルクステアは発生してしまう。それにステアリングには問題がある。従来よりもクイックかつ軽くなっているのだが、中立域の遊びがあまりに大きく、フィードバックにも欠けているため、旧型TSXと比べるとステアリングフィールが悪くなっている。
とはいえ、少なくともサスペンションは従来よりも改善されている。試乗中はブリザードに見舞われてしまったのだが、そのおかげでスタビリティコントロールの優秀さを確認できた。
新型TSXのデザインは従来よりも滑らかになっているし、仕上がりも随分と良くなっている。しかし、旧型にあった走る楽しさ、活き活きとした感じはいくらか失われてしまったようだ。新型TSXは欧州仕様のアコードよりもむしろRDXに近い。カルト映画の続篇よろしく、良くなった部分も悪くなった部分もある。
2009 Acura TSX