イギリスの大人気自動車番組「Top Gear」でおなじみのジェレミー・クラークソンが英「The Sunday Times」に寄稿した試乗レポートを日本語で紹介します。

今回紹介するのは、マレーシアの自動車メーカー、プロドゥアが製造していたダイハツ・ミラがベースの小型車「クリサ」のレビューです。


Kelisa

プロドゥア・クリサは疑いようもなく世界最悪の車だ。

しかし、ここで終わりにせずにもう少し掘り下げてみよう。この車は1km走るために8.4ペンスしかかからない。ランニングコストは最安だ。しかし、それは最安の家がテントだと言っているのと変わらない。

クリサはマレーシア製で、最高速度142km/hなのだが、そこに至るまではあまりに時間がかかりすぎるので、生きているうちに最高速度を確かめることはできない。それに3気筒だし、室内はアンシア・ターナーの結婚式よりも質素だし、もし街灯にぶつけたらどうなってしまうかなど想像すらしたくない。それに、車名はまるで病名のようだ。

この車は無個性の塊だ。魂、楽しさ、情熱などは存在しない。それに、中古車を買えば、これよりもブレーキがまともで、遮音性能もまともで、基本設計もまともな車をもっと安く買うことができる。

クリサのような車は馬やスクーターのライバルであり、アフリカのタクシードライバーのための車だ。それに、マレーシアの工場で働いている当人達でさえ、世界で5番目に豊かな国の人間がこんな車を買っているなどとは信じられないだろう。イギリス人は頭がおかしいと思うはずだ。


Perodua Kelisa 1.0 GXi