今回は、英国「Auto Express」によるプジョー・308 Rハイブリッド コンセプトの試乗レポートを日本語で紹介します。


308 R HYbrid

この車について概説しよう。最高出力506PS、最大トルク74.4kgf·m、燃費40.0km/L、CO2排出量70g/kmという驚異的なスペックを誇りながら、その外側は実用的なプジョー・308だ。

しかし、この車を購入することはできない。プジョー・スポールが上層部に掛け合って市販化を実現させない限り、一般市民がこの車に乗る機会は永遠に来ない。

しかし、308 Rハイブリッドに午前中ずっと試乗させてもらった身として、一つだけ確実に言えることがある。プジョーはこの車を市販するべきだ。今すぐにでも。

308 Rハイブリッドは間違いなく画期的な車だ。ホンダ・シビックタイプRから登場予定のフォード・フォーカスRS、アウディ・RS3に至るまで、ありとあらゆるライバルに勝ちうる可能性を秘めている。往年の205 GTIのような車にもなれるかもしれない。もし市販化が実現すれば、この車の秘めたる可能性はきっと解き放たれるはずだ。

308 Rハイブリッドはプジョー・スポールが1年半かけて開発したモデルで、動力源には1.6Lガソリンターボエンジンと2基の電気モーター(フロントアクスルに1基、リアに1基)が組み合わせられている。プジョーの、そしてホットハッチの新しい方向性を示した車だ。

この車には3種類のドライブモードが設定されている。モーター単独のZEVモード、ハイブリッドモード、そしてハイブリッドスポーツモードの3種だ。ZEVモードではそれぞれ116PSを発揮する2基のモーターのみで駆動する。ZEVモードではモーターのみで100km/hまで加速することができ、100km/hを超えると最高出力274PS、最大トルク33.7kgf·mの1.6Lエンジンが始動する。このエンジンは308 GTi とほとんど共通だ。

rear

しかし、ハイブリッドモードにするとモーターが変速時のギャップを埋めるために活用され、モーター稼働時にはエンジンへの過給が停止される。その結果、ハイブリッドモードではラグがなく、まるで自然吸気の3.0L V6エンジンを積んでいるかのような感覚となる。6速ATの変速時にも加速が衰えることはない。

そして、ステアリングにあるハイブリッドスポーツボタンを押すと、エンジンとモーターが全力を発揮し、最高出力406PSが発揮される。ローンチモードでは最高出力506PS、最大トルク74.4kgf·mがアクセルから足を離すまでずっと発揮され、足を離すと406PSへと戻る。ハイブリッドスポーツモードでは異常なほどにトルキーなホットハッチとなり、直線では頭がおかしくなるほどに加速してくれる。

プジョーによると、0-100km/h加速は4秒未満だそうで、0-400m加速は12.2秒、0-1km加速は22.5秒だそうだ。最高速度はリミッターがかかって250km/hだ。ただ、308 Rハイブリッドは数字以上に速く感じられる。モーターのおかげでスロットルレスポンスは即時的で、何速からでも、どの回転数からでも強力に加速してくれる。これは308 Rハイブリッド独特の感覚だ。

結局のところこの車の最大のトピックはパワートレインなのだが、プジョー・スポールはパワー・トルクに見合うようにシャシにも力を入れている。ハンドリング、ステアリング、乗り心地、どれをとってもシャープでしっかりとしていて安定している。この車は市販してもいいレベルに仕上がっているし、事実、市販するべきだろう。


Peugeot 308 R HYbrid review