今回は、英国「Auto Express」によるコスワースチューンのトヨタ・GT86(日本名: 86)の試乗レポートを日本語で紹介します。


GT86

もっとパワフルなGT86を熱望していた人に朗報だ。モータースポーツのスペシャリスト、コスワースの手により、標準車よりも最高出力・最大トルクがそれぞれ84PS/10.2kgf·m向上した284PS/31.1kgf·mのGT86が作られた。では、この車の実力はいかほどなのだろうか。

エンジンにはステージ2.3アップグレードキットというものが付く。このキットには、スーパーチャージャー、ハイフローエアフィルター・インテーク、専用排気システム、レース用ECUが含まれる。

走り出して最初に感じるのはトルクの変化だ。低域のパフォーマンスも向上しているものの、それでも十分とは言えない。十分なパフォーマンスを得るためには、ボクサーエンジンを7,200rpmまで回す必要がある。アクセルを踏み込めば高いパフォーマンスを発揮してくれるが、試乗車には専用の排気システムが装備されていなかったためか(そのため最高出力は264PSに留まる)、エンジンには粗さが感じられた。

コスワースは0-100km/hを公式には発表していないものの、キットをフル装備した車でローンチコントロールを使えば5秒をわずかに下回るそうだ。4.9秒程度と考えると、標準車よりも2.6秒速いことになる。

rear

手が入れられたのはエンジンだけではない。このモデルには新設計のKWサスペンションが装着され、乗り味はより硬くなっている。その結果、シャシの応答性も高まっている。

標準モデルにはプリウスと同じタイヤが装着されているため、シャシは良くも悪くも暴れやすく、グリップはすぐに尽きてしまう。一方、このモデルには18インチの軽量アルミホイールと幅広のグリップ力に優れたタイヤが装着される。この結果、コーナリング性能は向上しており、またイギリス・APレーシング製のブレーキを採用したことで制動力も向上している。

室内は全く変わっておらず、キャビンは広いしトランクも十分なサイズで、標準車と変わらず実用的だ。しかし、1つだけ大きな代償がある。コスワースは様々なアップグレードキットを用意している。1.0に始まって1.3があり、2.0とこの2.3にはスーパーチャージャーが付く。

このため、価格はキットによって変化するが、フル装備にすると取付費用を除いても7,235ポンドが車両価格に上乗せされる。そのため、中間グレードのGT86で試算すると、価格は3万5,000ポンド近くなってしまう。


Cosworth GT86 review