今回は、オーストラリア「CarsGuide」によるシトロエンのクロスオーバーSUVコンセプト「エアクロス」の試乗レポートを日本語で紹介します。


Aircross

オーストラリアで2月に発売される予定のコンパクトクロスオーバーのカクタスは独自性に満ちたデザインを有している。昨年の欧州での発売以来、多くの賞と多くの顧客を獲得してきた。

一方、2015年4月の上海モーターショーで発表されたエアクロスコンセプトはマツダ・CX-5と同等のサイズのSUVコンセプトカーだ。

プロテクターが強調され、丸みがかったデザインからは、明らかにC4カクタスとの共通性を見て取ることができる。

カクタスの最大の特徴は「エアバンプ」だ。これはポリウレタン製のサイドプロテクターパネルで、中には空気泡が封入されており、カクタスの個性を盤石としている。一方、さらに車高の高くなったエアクロスコンセプトにはアルミ製のメッシュの入ったサイドプロテクターがドア下部に装着されている。

かつて、果敢なデザインで名を馳せていたシトロエンが復活しようとしているようだ。

今回は、シトロエンからCarsGuideに対してパリでの試乗への誘いがあった。また、フレデリック・ジュバニエ氏と話すこともできた。

38歳のフランス人であるジュバニエ氏は、エアクロスコンセプトのデザインマネージャーであるだけでなく、C4カクタスのデザイナーも務めており、エアバンプを生み出した張本人だ。

エアクロスコンセプトの走りははっきり言って酷い。しかしコンセプトカーなど全てがそうだ。コンセプトカーは走らせるためではなく見せるためだけに作られている。ギアを入れてアクセルを踏むと、まるで棒に突かれたように走り出す。ブレーキにはアシストもなく、かろうじて作動するといった具合だ。ステアリングは信じられないほどに重い。

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白いダッシュボードが日光を反射するため、外の景色も見づらい。ルームミラーは上海からパリへの輸送中に取れてしまっており、ドアミラーからはまともに後ろを見ることができなかった。

いかにもコンセプトカー的なコンチネンタル製の22インチタイヤが生み出す騒音は、パリ郊外の試乗コースの近くにあった飛行場の滑走路から聞こえてきたジェット機の離陸音よりもやかましかった。それに、エアクロスはハイブリッドカーなのだが、モーターやバッテリーは使えなかった。

何より最悪だったのがエアコンが付いていなかったことだ。試乗時は約30度の晴れた夏日で、ガラスルーフやウインドウもはめ込み式で開けることはできなかった。まるでオーブンにでも閉じ込められたかのような気分だった。

しかし、このどれも大した問題ではない。そもそも、エアクロスコンセプトは市販化の予定がない。あくまでも、ブランドの意思表示だ。

ジュバニエ氏によると、シトロエン内部でも、他の車にはカクタスの独特のデザインは適用できないと疑問視する声も多々あったという。エアクロスコンセプトは、上のクラスでも同じような車が作れるということを証明するために開発されたそうだ。ジュバニエ氏いわく、いずれこのような車を市販するつもりだそうだ。

エアクロスは、シトロエンのデザイナーがかつてのように目立つデザインを売れ筋のクラスの車にも取り入れることができることを証明した。

ジュバニエ氏はこう語っている。
シトロエンの歴史を振り返れば、そこには常に独創性というものがありました。疑問点を見つけ、最高の答えを生み出してきたんです。

そして、第二次世界大戦期の庶民車の2CVやかつてのシトロエンの快適性を高めるサスペンション技術を引き合いに出し、シトロエンには本当のニーズに真っ先に応えるだけの力があると語った。

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ジュバニエ氏は他と同じやり方でシトロエンが生き残っていくという道には興味を持っていない。彼は以下のように語った。
自分達で疑問点を挙げていくほうが面白いじゃないですか。なぜ、快適性の欠けた車を作るのだろうか。なぜ、複雑すぎて使いづらいような車を作るのだろうか。なぜ、大仰すぎて巨大すぎる車を作るのだろうか。そういった疑問点を挙げていけば、他の自動車メーカーとは違った答えが生まれるかもしれません。

デザインについては、彼は基本的にはシンプルなほど良いと考えている。彼はシンプルな車ほど生き残ると信じており、その具体例として1950年代から60年代のフェラーリや1950年代のシトロエン・DSを挙げていた。

さらに彼は以下のように付け加えた。
こういったデザインは長続きしますし、落ち着きや静けさを演出してくれます。

シンプルさを追求することだけが重要なわけではない。
ひょっとしたらデザインのアプローチには別のやり方もあるのかもしれません。直球で親しみやすい顔つきにするのではなく、アグレッシブさを無くすだけのデザインなどがそうです。まさにこういうアプローチをしているブランドもあると思います。例えば、ポルシェには過剰なアグレッシブさがありません。ポルシェのしていることには意味があります。ポルシェは目立とうとはしていません。そもそもそんなことをする必要がないんです。

フランス車の得意分野は量販車だが、シトロエンもポルシェ的なやり方をするべきなのかもしれない。
他のライバル社は車にいろいろなものを付け加えるという方向性にあることでしょう。しかし、不必要な物を取り除くという方向性も取ることができます。

カクタスにはコストをかけています。カクタスはライバル車と比べて高い車ではありません。しかし、エアバンプには多額のコストがかかっています。それでもあえて、他の車と違うことをするためにエアバンプを付けることにしました。代わりに、実際に使われることのないようなリアハッチのウインドウ独立開閉機構などは省略して帳尻を合わせました。

シトロエンのデザイナーは長年のブランドイメージを変えるかもしれない選択に迫られている。シトロエンのデザインは次世代へと移行しつつあるのかもしれない。


Citroen Aircross Concept review - first drive