今回は、英国「Auto Express」によるフォードの大型ミニバン「ギャラクシー」の試乗レポートを日本語で紹介します。


Galaxy

C-MAXやグランドC-MAXのフェイスリフトや新型S-MAXの登場に続き、フォード最大のミニバンであるギャラクシーもマイナーチェンジを受けて新型となった。

新型S-MAXのイギリスでの販売台数は8,000台となり、3,000台のギャラクシーを追い越しているものの、両者の顧客層は異なっている。S-MAXの顧客は操作性やデザインのスポーティーさを重視して室内空間を多少犠牲にするのも厭わないが、ギャラクシーの顧客は室内空間や実用性を再優先している。結果、ギャラクシーはタクシー向けの需要が高くなり、65:35で法人顧客が個人顧客を上回っている。

法人登録メインとなることから、CO2排出量が重視されており、実際の排出量も低く抑えられている。最も低い120PSの2.0 TDCIが129g/km、最も高いのが240PSの2.0T EcoBoostで180g/kmだ。今回試乗したのは180PSの2.0 TDCIなのだが、個人的にはこのモデルが燃費性能とパワーのバランスで最も優れていると思う。DCTモデルだと、燃費は22.2km/L、CO2排出量は139g/kmとなる。

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MTモデルだとCO2排出量は燃費が24.0km/L、CO2排出量が129g/kmとなるものの、DCTの出来の良さを考慮すれば、1,550ポンド余計に払ってでもDCTを選択するべきだろう。

どの速度域でもエンジンはしっかり働き、アクセルを踏めば十分なパワーをスムーズに発揮してくれる。それに、高速道路を走っても静粛性は高い。

インテリアの質感は大いに進歩しており、センターコンソールのデザインは整然としている。プラスティックは多用されているものの、触った感じはソリッドだし、メーターやシフトレバーのアルミパネルも目を引く。パノラミックルーフを装備すれば開放感が増すし、レザーシートを装備すれば高級感も得られる。

装備内容は豊富で、ステアリングスイッチやレーンキーピングアシスト、道路標識認識システム、自動パーキング機能など種々の安全装備も備わっている。

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しかし、ギャラクシーの何よりの強みはシートアレンジの豊富さだ。3列目シートは大人に十分なほどに広いだけでなく、荷室にあるボタンを押せば電動でシートを床下に格納したり元に戻したりすることができる。2列目シートも同様に使いやすく、左右席を前方に倒せば3列目にアクセスしやすくなるほか、3座別個に前後スライドすることができ、また畳んでから前方に格納することもできる。

荷室スペースも広大で、3列目まで使用している場合の荷室は300L、3列目シートを格納した場合は1,301L、2列目シートも格納した場合は2,339Lとなる。一方、S-MAXの荷室容量はそれぞれ285L/965L/2,020Lだ。

収納スペースも豊富に用意されており、特にフロントアームレストの収納スペースは広大だし、2列目シート用のテーブルや3列目シート用のカップホルダーも備わる。USB給電プラグが2つに12Vソケットが3つ備わっているため、ファミリーユースの電気需要にも十分耐えうるだろう。

当然ながらギャラクシーのシルエットは箱型だが、新しいフォードのファミリーフェイスを採用しており、横長で精悍なヘッドランプを備えているため、これまでのギャラクシーよりは随分と印象が良くなっている。S-MAXとは異なり、ルーフスポイラーをはじめとするエアロパーツなどは設定されていないが、最上級グレードである「Titanium X」の試乗車には19インチホイールが装着されていた。

コーナリング時には重心の高さは隠しきれないが、無理をしているという感覚はなく、むしろS-MAX同様にステアリングの路面との対話性は高いし、サスペンションは柔軟で路面の凹凸を十分にいなしてくれる一方で、柔らかすぎて跳ねまわってしまうようなこともない。


New Ford Galaxy 2015 review