今回は、英国の人気自動車番組「Top Gear」でもおなじみのリチャード・ハモンドが英国「Mirror」に寄稿したメルセデス・ベンツ C450 AMG 4MATICの試乗レポートを日本語で紹介します。


C450

前回のジュネーヴモーターショーの目玉はメルセデスAMG C63だった。これはまさに運転するために生まれた車だ。

新型C63も注目に値する車だ。エンジンの排気量は減少してターボが付いたが、依然として速く、そして、音も良い。非常に気に入った。

しかし、メルセデスはそのモーターショーでもう1台の目玉車を発表した。メルセデス・ベンツ C450 AMGという車だ。

ご存知かも知れないが、本物のAMGのモデルは今後、メルセデスAMG ~~という名称となり、一方普通のメルセデスのモデルはメルセデス・ベンツ ○○という名称のままとなる。つまり、メルセデス・ベンツ C450 AMGとは、件のアルファベット3文字が最後に入っているものの、実のところ正統なAMGのモデルではない。

しかし、こちらも素晴らしいエンジンを搭載しており、AMGに並ぶことのできる存在だ。部分的にはC63よりも優れている点すらある。

C450には367PSを発揮する3.0L V6ツインターボエンジンが搭載される。これはC63やC63S(それぞれ476PS、510PS)には敵わないものの、十分に楽しめるだけの馬力がある。

それになにより、正式名称であるメルセデス・ベンツ C450 AMG 4MATICが示す通り、この車は四輪駆動車だ。それにセダン以外にはステーションワゴンも設定されるため、幅広い人の興味を引くことだろう。特に降雪地帯に住んでいる人にとっては、0-100km/h加速5.0秒の4WDステーションワゴンがさぞ魅力的に映ることだろう。

とはいえ、C450はC63ほどにはパワフルではないし、V8の咆哮もないのに、どうしてC63に並べると言えるのだろうか。答えは簡単だ。C450は運転していて楽しい。軽やかで、応答性が良く、操作性も高い。

標準のCクラスには可変ギアレシオステアリングが採用されているが、C450の電動パワーステアリングはC63同様に固定レシオであり、より安定感がある。それに、サスペンションコンポーネンツも部分的にC63と共有しており、7速ATのプログラムも似たものを使っている。

ドライブモードには、エフィシェント、コンフォート、スポーツ、スポーツプラス、そしてインディビジュアルの5種類が設定される。C63同様、最後のインディビジュアルモードを選択すると自分の好きなようにセッティングを行うことができる。つまり、サスペンションをソフトにしながらスロットルレスポンスを鋭敏にしたり、その真逆にしたりといったこともできる。スポーツプラスモードではV6のエンジン音が勇ましくなる。C63のV8ほどにマッチョではないものの、十分に良い音だ。V6のジャガー・F-TYPEの狂気の音にも似ている。

4MATICの前後駆動力配分は前33%、後67%に設定されている。C450をコーナー出口で加速させれば、後輪がしっかりグリップし、力強く加速していくことが感じられる。それに、実際のところ、この車が4WDだと感じることはほとんどない。とはいえ、ウェットコンディションならばその恩恵が受けられる。そんなトリッキーなコンディションであれば、C450はC63の脅威にさえなるかもしれない。

C450は間もなく欧州で発売される予定だが、イギリスでの発売は2016年まで待たなければならない。これは、C450がCクラス初の4WDモデルであり、右ハンドル仕様の開発に時間がかかることによる。発売されれば、きっとAMGの全力のパフォーマンスまでは求めない人々に大いに受けることだろう。それにこれは"本物の"AMGではないため、値段も比較的お得だ。


Richard Hammond reviews the Mercedes-AMG C63 and finds it an 'improperly good car'