今回は、米国「Car and Driver」によるラムのオフロードピックアップトラック「レベル1500」の試乗レポートを日本語で紹介します。


Rebel 1500

ラム・レベル1500はフォード・F-150ラプターに対するラムの答えではない。ましてや、砂漠を走るかSEMAショーの壇上に鎮座する時くらいにしか本領を発揮できないハイリフト・巨大タイヤのトラックのライバルでもない。攻撃的な名前を持つものの、レベルは扱いやすい車だ。基本的にはラム・1500にオフロード風の装飾が加えられた車であり、牽引能力や積載能力、室内の快適性などは普通の1500と変わらず、それでいてベース車以上の走破性が与えられている。

メカニズム面の変更に触れる前に、まずはエクステリアを見てみよう。何よりも目立つのは、メッキ感の一切ない大型フロントグリルだ。その代わり、ブラックアウトグリルやテールゲートには大きく"RAM"のブランドネームが書かれている。グリルの下にはパウダーコートスチールのスキッドプレート(オイルパンとトランスファーを保護する)が装着されており、グリルの上部にはツインダクトのアルミニウム製ボンネットがある。ホイールアーチ部分はラム・2500パワーワゴンと共通で、タイヤは285/70R17のトーヨー OPEN COUNTRY オールテレーンタイヤが装着される。

見掛け倒しに終わらないよう、レベルには本物のハードウェアも装備されている。レベルには専用チューニングのビルシュタイン製ダンパーが装着され、ステアリングのギア比はスローになり、リアスタビライザーはソフトになっている。また、レベル専用のエアサスペンションを採用することで最大リフト量が増加している(通常の着座位置も標準車より2.5cm高い)。サスペンションを一番上まで上げると、アプローチアングルは25.3度となり、シボレー・シルバラード4x4の17.9度には勝るものの、フォード・F-150 4x4の25.5度にはわずかに届かない。レベルは2015年7月の発売が予定されており、クルーキャブ(荷台長1.7m)のみが設定される。ベース価格は4万5,000ドル程度となる。今回の試乗車は5.7L V8 HEMIエンジン、8速AT、パートタイム4WDだったが、3.6L V6 ペンタスターエンジン、8速AT、パートタイム4WDのモデルも設定される。それ以外にも、こんな外見にもかかわらず2WDモデルも用意され、こちらはV8のみが設定される。

5.7Lモデルの最大積載量は695kgと通常のラム・1500と同じで、最大牽引重量は4,595kgと、標準車よりも10kg低下している。また、燃費性能も標準車と変わらず、シティ燃費は6.4km/L、ハイウェイ燃費は8.9km/L(2WD車はハイウェイ燃費9.4km/L)となる。

レベルのオフロード性能を確かめるため、我々は北アリゾナの山岳地帯へと向かった。我々はサンフランシスコ火山地帯を横断し、海抜2,590mの地点も走った。西暦1040年から1100年頃活火山だったこの地帯は、カイバブ・ココニノ国有林に隣接しており、レベルの性能を試す様々な地形が広がっていた。今回の4台の試乗車を確実に生還させるため、強力なウインチを装備したラム・2500パワーワゴンに先導させる形での試乗を行った。

interior

フラッグスタッフを発ち舗装道路を走らせていると、その感覚は通常のラム・1500とほとんど変わらなかった。ステアリングはスローになっているし、ワイドトレッドのタイヤを履いているにもかかわらず、通常モデルと同様の落ち着いた走りや安定した制動力を見せてくれた。エアコン吹き出し口周辺に赤い囲みがあり、ステアリングには専用のレッドステッチが施され、グローブボックスにはREBELのロゴが書かれているものの、それがなければ普通のラム・1500としか思わないだろう。また、シートはブラックとレッドを基調としており、タイヤのトレッドパターンが模されたデザインとなっていて、快適性やサポート性は十分だ。ブラックとレッドのフロアマットは靴に泥をつけたままでも乗り込むことができるように設計されている。

舗装路を走っていると、静粛性が高くて果たしてこのタイヤでオフロードを走ることができるのかと心配になってきた。しかし、シンダーヒルズのオフロード走行エリアに入るとトラクションに関する不安は立ち消えた。今回試乗したモデルにはアンチスピンリアアクスルが装備されていた。これにより、V8の400PS/56.7kgf·mのパワー(通常の1500と変わらない)が地面に積もった火山灰に後輪を介して確実に伝達された(ちなみに、この場所はNASAが初めて月面着陸を成功させた装備のテストにも用いられている)。ダッシュボードのボタンで4WDに切り替え、坂を登ると、そこはタイヤによって灰が舞い上がる楽しい遊び場となった。結局、パワーワゴンのウインチは使われることがなかった。

トランスファーをローレンジにしてステアリングのギアセレクトボタンを使ってギアを選択すると(基本的に1速か2速)エンジンブレーキを使いながら坂を下ってくれる。ローレンジではトラクションコントロールはオフになるため、あまりアクセルを踏まずにゆっくりと下り坂を下れば安定してくれる。

その後、少し舗装道路を進んでいくと、轍のできた泥道に辿り着いた。レベルはそこでスリップして多少暴れまわったものの、コントロールを外れてしまうようなことはなかった。雪道に入るとなお楽しかった。もっとも、この道を日産・セントラが巧みに走っているのも見かけたが、これは恐らく地元の慣れたドライバーだろう。

後に脇道に入ってみると、美しい松林に至った。急坂や岩の溢れたその場所は、レベルにとってはまさにホームグラウンドだった。レベルは車で行こうと思うような地形なら大抵は走破することができるだろう。


2015 Ram Rebel 1500 4x4 5.7L V-8