今回は、米国「Car and Driver」による新型シボレー・カマロのプロトタイプモデルの試乗レポートを日本語で紹介します。


Camaro

7年間の空白期間を経て、2009年に現行型の5代目シボレー・カマロが登場したが、このモデルは従来のカマロの粗削りのマッスルカーというイメージを払拭した。5代目カマロはインディペンデントサスペンションや高剛性構造、そして強力なパワートレインを併せ持った現代的な車となった。

確かに、依然としてボディサイズは大きく、車重は重かったし、ベルトラインが高い上にチョップトルーフを採用したことにより、どこか漫画的なイメージになり、視界も悪かった。しかし、1960年代の初代カマロの要素をうまく取り入れ、カマロらしさがはっきりと感じられたため、シボレーのファンに広く認められた。5代目カマロは6年間の販売期間で50万台以上売れただけでなく、カマロ史上初めて、ライバルであるフォード・マスタングに販売台数で勝った。

そのため、シボレーはカマロのユーザーがデザインの大幅な変化を求めていないと結論づけた。「どのアングルから見ても、この車はカマロ以外の何物にも見えないでしょう」とはカマロのデザインディレクターを務めるトム・ピーターズの言葉だ。確かにその通りだし、それに新型は従来モデルよりもより筋肉質かつクリーンなデザインになっている。例えば、リアホイールアーチ前部にあったフェイクベントはなくなった一方で、ルーフのプレスラインはより強調されている。これは、モデルチェンジによってデザインのやかましさを増した新型マスタングとは方向性が逆のように思える。

デザイン面で5代目と6代目が似ているため、新型カマロは旧型の化粧直し程度でしかないのではないかと思う人もいるかもしれないが、そんなことは全くない。従来モデルはGMのゼータプラットフォームを用いていた。これはオーストラリア生まれのプラットフォームで、ポンティアック・G8やシボレー・SSに用いられた。一方、新型カマロはGMのアルファプラットフォームを採用している。これは、3年前にキャデラック・ATSから用いられ始めたプラットフォームだ。

アルファプラットフォームは軽量かつ高剛性だ。そのため、カマロのホワイトボディ(サスペンションやインテリアパネル、エクステリアパネルが取り付けられる前の素のボディシェル)は従来モデルよりも60kg軽量化されている。

アルミニウム製のダッシュボードクロスバーを採用することでさらに4kg軽量化しており、サスペンションはアルミニウムと鉄の使用比を最適化することで12kg軽量化している。全体では、従来よりわずかに重くなった新設計のV8エンジンを搭載するカマロSSで約90kg、軽量な新設計の4気筒エンジンを搭載するカマロLTで約140kgの軽量化を果たしているという。

昨年、巨大なカマロに、ATSに搭載される2.0L 4気筒ターボエンジン(最高出力279PS、最大トルク40.8kgf·m)が搭載されると予告され、驚かされた人も多いかもしれない。このエントリーエンジンにはトレメック TR3160 6速MTと新設計のGM 8L45 8速AT(コルベットでデビューした8L90の小型版)が設定される。4気筒モデルの0-100km/h加速は5秒台と発表されており、EPAハイウェイ燃費は13km/L程度と発表されている。

ミドルエンジンとしては、新設計の3.6L V6が用意される。このエンジンは従来設定されていたV6エンジンの改良版であり、シリンダー間は離れ、内径は大きくなり、静粛性が向上し、また気筒休止システムも追加された。従来のV6エンジンよりも軽量化されており、最高出力340PS、最大トルク39.3kgf·mを発揮する。このエンジンにもATとMTの両方が設定される。

SSにはC7コルベットスティングレイでデビューを果たしたスモールブロックのLT1型V8エンジンが搭載される。直噴化や可変バルブ機構の採用により、パワーと効率の両立が実現されている。このエンジンには、トレメック TR6060マニュアルトランスミッションとGM 8L90オートマチックトランスミッションが設定される。他のモデルのトランスミッションとは型式が違うが、これは新型V8エンジンの461PSという最高出力や62.9kgf·mという最大トルクに対応するための強化版だ。

今回はV8エンジンを搭載するSSに試乗することはできなかったのだが、ミルフォードのテストコースでV6モデルのMT車、AT車の両方に数分間ではあるが試乗することができた。

残念ながら、プロトタイプモデルは未完成な部分が多く、軋み音がしたりしていたため、市販モデルの完成度の高さがどれほどかは知りようがなかった。特に5代目の末期モデルは静粛性や乗り心地が良く、完成度が高いため、それと比較した新型の実力は未知数だ。

ただ、TR3160マニュアルトランスミッションはスムーズで十分満足のいくものであることは確かで、何より新設計の8L45オートマチックトランスミッションは、大人しく走ってもアグレッシブに走ってもスムーズかつ正確に変速してくれ、かなり印象が良かった。8速ATをフルスロットルでキックダウンすると、一度に4段以上落としたとしてもクイックかつ滑らかに変速してくれた。それに、フルスロットルにした時のデュアルモードエグゾーストからは、間違いなく1960年代のマッスルカーの血を引いていることが感じられた。

今回はハンドリングを試すことはできなかったが、新型カマロの電動パワーステアリングは現行モデルに使われている油圧パワーステアリングに近いフィーリングであるように思えた。また、軽量化やサスペンションの改良により、敏捷性も向上しているように感じられた。

ドライビングポジションは従来モデルとほとんど変わっておらず、ベルトラインが高く、視界は依然として狭いが、カウル位置はおよそ38mm低くなっている。シートの高さ調節は下方向に調節幅が広くなっており、シート位置を低く設定すると特にコックピットに埋まるという感覚が強くなる。特に背の高いドライバーはこの変更の恩恵を受けることだろう。また、Aピラーが約25mm細くなっていることも嬉しい変更点だ。ボディサイズがわずかに小さくなっているため、リアシートのヘッドルームやレッグルームは狭くなっている。

interior

伝統的なメーター類は新型カマロでも採用されているが、スピードメーターとタコメーターの間には液晶ディスプレイが設置されている。ダッシュボード中央部分には8インチのナビゲーションシステム用液晶ディスプレイが配置される。

エアコンの調節用ダイヤルは円形の吹出口と一体化しているなど、全体的なインテリアデザインはクリーンで洗練されており、また使いやすい。

いずれ市販モデルを運転できることを楽しみにしているが、現時点でも新型カマロは正常に進化していると断言できよう。カマロのファンも喜ぶことだろう。


2016 Chevrolet Camaro - Prototype Drive