今回は、英国「Auto Express」による新型ミニ John Cooper Worksの試乗レポートを日本語で紹介します。


JCW

ミニが欲しく、速さを求めるなら、その2つを結ぶ名前は「クーパー」だ。ミニクーパーは1960年に誕生し、以来ポケットロケットとして君臨し続けてきた。しかし、それでは速さが足りない人はどうすればいいだろうか。そういう人に向けられたのが、John Cooper Worksだ。

2008年以来、ミニはBMWの傘下になり、ミニJCWはミニの最もパワフルなモデルとしての役割を担っている。そして、野心を持った新型モデルが登場した。

この2代目ミニ John Cooper Worksはこれまでに生産されたミニの中で最もパワフルなモデルだ。ベースとなっているクーパーSと同様に、2.0Lの4気筒ターボエンジンが搭載されており、最高出力は192PSから231PSまで向上している。これは、従来のJCWと比べても20PS向上している。

ピストンやターボチャージャー、インタークーラーの設計が刷新されたことで、出力が向上し、エグゾーストの抵抗が低減したため、排気音は迫力を増している。少なくとも、スペック上は大いに進歩しているように思える。0-100km/h加速は0.5秒短縮して6.3秒となり、今回試乗した「パワーシフト」DCTを搭載するモデルはさらに速く、6.1秒を記録する。最高速度はいずれも246km/hで、新型JCWは史上最速のミニでもある。

ミニJCWのインテリアはクーパーSとさほど変わらず、パートレザー・パートアルカンターラのバケットシートが標準装備だ。ジェット戦闘機風のスターターボタンを押せば、遠吠えとともにエンジンに命が吹き込まれる。

道に出ると、スペック通りの速さを感じることができる。クーパーSからの向上分の性能はすぐに感じられるし、最大トルク3.0kgf·m、最高出力39PSの向上により、低速域での力強さは4WDのアウディ・S1にも対抗できるレベルに達している。

エンジン回転数は綺麗に、そして即座に上がっていく。最大トルクの32.6kgf·mはわずか1,250rpmから発揮される。このため、クーパーSをよりハードコアにしたように感じられる。

新型ミニクーパーSに採用される新しい基礎構造はパワーをより効率的に配分することが可能だと言われていたが、JCWではそれを実現している。ハードな加速をすればステアリングがわずかに暴れるようなこともあるが、トルクステアはうまく抑えられており、新設計のスポーツエグゾーストから流れるクレッシェンドや破裂音により、どんどんアクセルを踏みたくなる。

ミニには、機械式ディファレンシャルではなく、より軽量で安価な電子式ディファレンシャルが採用されている。これにより、コーナリングスピードが速くなり、グリップをより確実に確保することができる。タイトコーナーだと、電子式デフでは機械式デフを採用するコルサVXRほどの安定感を得ることはできず、JCWではわずかにアンダーステア気味となる。

しかし、これはミニが自分で選んだ道だ。コーナーの途中で少しアクセルをゆるめてやればアンダーステアに対処することはできるし、これにより後輪が安定し、それにノーズもついていく。JCWにはアウディ・S1以上に魅力や車との一体感があり、なおかつアウディ同様にフィーリングに富んでいる。

試乗車に付いていた6速デュアルクラッチのパワーシフトはマニュアルに対して1,330ポンド高いが、CO2排出量はMTの155g/kmよりも少なく、133g/kmとなる。オートモードでは変速もスムーズで確実だが、マニュアルモードにすると変速をミスするとすぐにリミッターに当たる。シフトアップは矢継ぎ早で、変速時にはエグゾーストからの破裂音が伴うが、シフトダウンのタイミングは少し遅れているようにも感じられた。

ただ、うまくギアチェンジできなかったとしても、溢れるトルクがドライバーのミスをカバーしてくれ、5速での80-120km/h加速は5.6秒だ。この数字はあまり意味を成さないように思えるかもしれないが、ポルシェ・911カレラSではこれが5.9秒かかることを考えれば、ミニの凄さの片鱗を感じることができるだろう。

パフォーマンスと同様にこの車のトピックとなるのはスタイリングだろう。新型コルサVXRやプジョー・208 GTi 30th Editionなどのライバルに負けじとデザインされたのか、非常に目を引くデザインに仕上がっている。ベントや盛り上がったアーチ、それにスポーツエグゾーストの存在により、他のミニと見間違えることはないだろう。

しかし、この車のデザインは人を驚かせるだけではない。専用の大型フロントバンパーによりインタークーラーに送られる空気量は増加し、一方で本来ならフロントフォグランプがあるべき場所に小型ベントが配置されたことで、ブレンボ製の4ピストン大径ブレーキの冷却効率を向上している。それに、ツートンのボディカラーは、実際の性能とは関係しないものの、この車のパフォーマンスの凄さを予感させる。

オプションのアダプティブダンパーは240ポンドだが、これはそれだけの値段を支払う価値のあるものだ。ノーマルモードにすれば足の硬いJCWの角を取ることができる。このモードだと日常使用に十分耐えるだけの快適性があり、衝撃もうまくいなしてくれる。

ミニJCWのウィークポイントは値段だ。2万4,380ポンドという値段はクーパーSよりも4,000ポンド近く高いのだが、ナビやパーキングセンサー、オートエアコンなどといった装備が付くわけではない。それに、今回の試乗車はオプション込みで3万2,000ポンド近くなっており、これはホットハッチとしてはあまりに高い。


MINI John Cooper Works 2015 review