日産の高級車ブランド、インフィニティで販売される3列シートクロスオーバーSUVに「QX60」があります。以前にQX60ハイブリッドの試乗レポートを掲載しましたが、今回は3.5Lエンジン搭載モデルを取り上げます。

今回は、カナダ「Driving.ca」によるインフィニティ・JX35(QX60の旧名称)の試乗レポートを日本語で紹介します。


JX35

JX35の登場はインフィニティの新たな方向性を示している。日産・ムラーノやクエスト(日本名: エルグランド)と共通のDプラットフォームをベースとしたことで、多くの利点が生まれている。JX35の登場以前には、3列シートSUVの選択肢は巨大で燃料をバカ食いするQX56しかなかった。JX35はQX56と同等の室内空間を持ちながら、実用性も高く、マイナス点もない。

2列目シートは前後スライドが可能で、2列目のレッグルームを広げることも、3列目シート使用時に3列目の空間を広げることも可能だ。3列目シートにはそれなりの空間はあるものの、座面と床の高低差が小さいため、特に背の高い人は乗車時に膝を抱えるような体勢となってしまうかもしれない。とはいえ、快適性がライバルに劣るということはない。2列目シートに付いているレバーを引くと座面が持ち上がってシートが前方に移動するため、3列目シートへのアクセス性は良好だ。この点では多くのライバルに勝っている。

また、荷室スペースも十分にある。3列目まで使用しても荷室スペースは447Lあり、2列目シートと3列目シートを畳むと、フラットな2,163Lの荷室が現れる。なぜかは分からないが、3列目シートだけ畳んだ際の荷室容量は公表されていない。とはいえ、荷室容量においてもJXはリンカーン・MKTなどの主要なライバルに勝っている。

JX35に搭載されるのは定評のある日産の3.5L V6エンジンだ。これは最高出力269PS、最大トルク34.3kgf·mを発揮し、2,005kgという車重を考えても十分と言える。また最大牽引重量は1,588kgとなる。トランスミッションにはCVTが採用され、駆動方式は4WDとなる。4WDシステムはうまくはたらき、十分なグリップを確保してくれる。この点についても、十分な競争力を持っていると言える。

CVTには功罪いずれもある。アクセルを踏み込むと大きくうなるものの、マニュアルモードも存在する。インフィニティのドライブモードセレクターにはノーマル、スポーツ、スノー、エコの4モードが設定されている。各モードでスロットルやトランスミッションのマッピングが変更される。燃費が何よりも大事というわけでなければ、エコモードの存在は無視してもいいだろう。このモードではアクセルを踏んでもほとんど加速してはくれない。ノーマルモードは普通に十分だ。スポーツモードにするとシャープになり、マニュアルモードも使えばより楽しむことができる。スポーツモードでは、0-100km/h加速は8.8秒を記録する。非常に速いとは言えないが、通勤には十分だろう。

操作性に関して言えば、見た目通り運転していても大きさを感じる。サスペンションは快適志向で柔らかく、コーナーにスピードを上げて進入するとかなりロールし、アグレッシブな運転をすればスリップしてアンダーステア気味となる。それはオプションのP235/55R20タイヤを履いていても変わらない。とはいえ、クロスオーバーSUVとしては十分な操作性を有すると言えるだろう。ビュイック・アンクレイブやリンカーン・MKTと比べればシャープだが、アキュラ・MDXやアウディ・Q7と比べればハンドリングで劣る。

6人~7人乗りの車が必要で、かつスタイリングも重視するなら、JX35は適当な選択肢となることだろう。価格設定はいくらか高く感じられるものの、高級なミニバンとして十分な競争力を持つ。


SUV Review: 2013 Infiniti JX35