ヒュンダイ・ソナタは2014年にフルモデルチェンジされましたが、ハイブリッドのフルモデルチェンジは2015年春に予定されており、現時点ではハイブリッドのみ旧型モデル(YF型)の販売が継続されています。

今回は、米国「AutoGuide.com」による、現在販売されているYF型ソナタハイブリッドの試乗レポートを日本語で紹介します。


Sonata Hybrid

長年、トヨタがハイブリッドカーのベンチマークであり続けている。「ハイブリッド」という言葉を聞けば、プリウスが頭に浮かぶ事だろう。そしてトヨタの驚異的な技術により、盤石の地位を得たモデルも存在する。

一方、他の自動車メーカーは、トヨタに追いつこうとして失敗しているように思える。フォード・フュージョンハイブリッドは20.0km/Lというカタログ燃費を実燃費ではまともに出せないし、2011年に発売された初期モデルのソナタハイブリッドは完成度が低かった。

しかし、ヒュンダイはそう簡単には挫けないようで、2013年モデルでは大幅なメカニズム面での改良を行い、単なるトヨタのハイブリッドカーの対抗車の1台から、セグメントをリードするライバルへと変貌を遂げている。

初期モデルとの違いを比較してみよう。最高出力は7PS減少しているが、最大トルクは5.5kgf·m増加している。新型ソナタハイブリッドには最高出力161PS(初期モデルは168PS)の2.4L 4気筒エンジンに最高出力48PS(初期モデルは41PS)の電気モーター、47kW(初期モデルは34kW)を発揮するバッテリーが搭載され、またパワートレインのチューニングによりエンジンへの依存度が減らされ、同時に中域トルクが向上している。

複合燃費は16.2km/Lとなり、この数字は見掛け倒しではない。カタログ燃費は初期モデルから0.4km/L向上しているだけだが、試乗の結果それ以上の改善が認められ、一週間の試乗での平均燃費は17.9km/Lを記録した。一方、初期モデルを我々が試乗した際の平均燃費は14.5km/Lだった。

ただし、17.9km/Lという数字には秘密がある。この数字はBlue driveというエコドライブモードを使うことで達成した。このデフォルトのドライブモードは交通の流れに反して遅い。モーター単独の走行を増やしてガソリンを節約するため、スロットルレスポンスは鈍くなっている。トランスミッションはどんどんシフトアップしていく性格で、シフトダウンには躊躇いがちとなる。とはいえ、そのおかげで17km/L超えは難しくない。

とはいえ、幸いな事に、遅くて経済的な走行モードだけがソナタの唯一の走行モードというわけではない。ブルーモードを切れば、普通のトルキーなガソリンエンジンモデルのソナタのように走ってくれる。こちらのモードでも停止時や低速巡航時はエンジンを切るし、そのため15km/L程度の燃費性能を実現することができ、何より運転した感覚がより自然だ。

他のハイブリッドカーの多くが癖のあるCVTを使っているのに対し、ヒュンダイは従来的な6速ATに拘泥している。初期モデルではこのトランスミッションはぎくしゃくしがちで、おかしなタイミングでシフトチェンジしていた。しかし新型では改良されており、より市販モデルらしい仕上がりになっている。

ここでもヒュンダイの努力は如実に感じられ、新型ソナタハイブリッドはトヨタ・カムリハイブリッドにも比肩する仕上がりとなっている。モーター単独走行からエンジン始動への切り替わりや、そこからモーター単独走行への切り替わりは走行中にほとんど気付くことはできない。クラッチがエンジンと繋がる際にもほとんどシフトショックがなく、また低速巡航時やブレーキング時にはしっかりとエンジンを切り離すようになっている。

1つ残念なのは、停止時にエンジンが切り離される際に振動が感じられる点だ。

ソナタが日本製のライバルに勝っているのは操舵感覚だ。乗り心地は硬すぎず、不快を感じることもないが、路面状況をしっかりと伝えてくれる足回りを有している。また、曖昧なステアフィールを有するカムリと比べると、ソナタのステアフィールが優勢だ。

ブレーキには再考の余地がある。他の多くの回生ブレーキシステムと同様、初期制動が強力で、そこから踏み続けたり、さらに踏み込むと制動力は先細りになってしまう。これはどこか矛盾している。ここさえ改善できればヒュンダイのハイブリッドと他のハイブリッドを差別化することもできるし、ハイブリッドカーと非ハイブリッドカーの境界線も曖昧にできることだろう。

ソナタハイブリッドはエクステリアでも通常のソナタとは差別化されている。また、非ハイブリッドのソナタと比べると4,500ドル高い25,650ドルという価格となる。これだけの価格差で、ハイブリッドシステムだけでなく、デュアルゾーンエアコンやオートライト、フォグランプ、シートヒーター、ヘッドランプ内LED補助ライトなどが装備される。

17インチアルミホイール、レザーインテリア、リアシートヒーター、ナビゲーション、バックカメラ、プレミアムオーディオシステムをフル装備とすると価格は30,550ドルに跳ね上がる。また、さらに1,000ドルでサンルーフを装備することもできる。

この価格設定はトヨタ・カムリハイブリッドと比べると実質490ドル安く、フロントシートのヘッドルームやレッグルームではカムリに勝っている。ただし、カムリはリアのレッグルームで100mm勝っており、トランク容量もカムリのほうが広い。

パワートレインの改善により、新型ソナタハイブリッドはミドルサイズハイブリッドセダンとして大きな競争力を持つようになった。燃費性能は高く、価格も安く、それでいて通常のソナタのソリッドな走行性能や独特のスタイリングはそのままだ。

もはや、ミドルサイズハイブリッドセダンの最高の選択肢は最高の燃費性能を持つカムリハイブリッドか、最高のデザインを持つフュージョンハイブリッドかの二者択一ではなくなった。ヒュンダイの新型ソナタはその両者のいいところを両立している。


2013 Hyundai Sonata Hybrid Review