かねてより英国の人気自動車番組「Top Gear」の司会者の1人であるジェレミー・クラークソンによる試乗レポートを紹介してきましたが、現在彼には同番組プロデューサーとの喧嘩騒動により出演停止処分が下されています。
そんな渦中にいる彼がパパラッチに追われつつ書いたルノー・メガーヌ ルノースポール 275 トロフィーRの試乗レポートが、3月23日に英国「Driving.co.uk」に掲載されました。
今回は、早速その試乗レポートを日本語で紹介します。

BBCが私のTop Gearの出演停止を発表した時、私は数日間は大人しくしようと考えた。しかし、その週に試乗用に用意されていた車がメガーヌ ルノースポール 275 トロフィーRだったので事態がややこしくなった。この車はデイグロ蛍光顔料を塗ったB-52爆撃機くらい派手だった。
その上、私の愛車のメルセデスがまさにその日に「爆発」を始めた。ここで言う「爆発」とは、まさに爆発のことだ。エンジンをかけるとまるで8気筒のうちの4気筒にプラスティック爆弾が詰められ、残りの4気筒にはニトログリセリンが詰められているような音が鳴り響き、全く動かなくなった。
なので私は自転車を使うことにした。しかし、私の自転車はすぐにチェーンが外れてしまった。それを直す前におよそ250万人のカメラマンやニュースキャスターにロンドンのマンションを囲まれてしまった。
私はサンデー・タイムズで一緒に記者をしており、友人でもあるA.A.ギルに迎えに来るように頼もうと思ったのだが、彼は世界最悪のドライバーだ。彼が最悪の事態を引き起こさずに報道陣の群れの中を走り抜けることなどできないだろうと考えた。ところで、今回の試乗車はルノーで、ホワイトのボディにブラックのルーフ、赤いホイール、ボディ下の派手なデカールが完備されている。
今回主題になっている車について説明させて欲しい。その始まりはルノー・メガーヌという車だ。これは車に興味のない人が買う類の車だ。しかし、その後完全に変貌した。
2Lのターボエンジンが搭載されているものの、発生する出力は自分で選ぶことができる。インパネのコンピューターでノーマルモードを選択すれば250PSを発揮し、エンジニアが言うところの「パワフルな」3ドアハッチバックとなる。しかし、スポーツモードやレースモードを選択すると275PSを発揮し、エンジニアは「冷静になれ」と言うことだろう。
狂気モードでは0-100km/h加速5.8秒を記録し、音速に至るまで加速し続ける。かつてのメガーヌのホットバージョンであるR26.Rはあまりに速く、2008年にニュルブルクリンクで前輪駆動車としての最速ラップを記録している。しかも、新型モデルはさらに驚異的で、その記録をさらに23秒も更新している。
そのラップタイムはほとんどつるつるのタイヤを履いていることで達成できている。この巨大なタイヤはちょっと雨が降っていたりちょっと路面が濡れているだけでもまったくグリップを得ることができず、トラクションコントロールをオンにしなければ横滑りして死んでしまうことだろう。そう、死ぬのだ。
そして装備としてはオーリンズ製アジャスタブルダンパーに「PerfoHub」ダブルアクスルフロントサスペンション、アクラポヴィッチ製チタンエグゾーストがあり、インテリアには何もない。リアシートは空気に変わり、カーナビは消え、エアコンも消え、リアワイパーさえ消えている。重さのあるありとあらゆるものが捨てられている。なので、シートベルトが付いていることさえ不思議に思える。オプションではレーシングシートベルトが装備できるが、それでも自動巻き取りリールはちゃんと付いている。
あらゆる失われた装備を取り戻すこともできる。しかし、そのためにはただでさえ高い36,000ポンドという希望価格がさらに高くなるし、そもそも多少の装備がなくても私は気にしない。
どちらにしても走ることはできる。しかし、スポットライトから逃れようとするとき、派手な車は適役ではない。それでも、これこそが私の欲していた車だと言える。なぜなら…おっと、パパラッチはまだ何人か残っているじゃないか。彼らはチームを組んでスクーターから車からあらゆる手段を使って追い回すので、走って逃げることはできても隠れることはできない。特に、赤いホイールを付け、ボディサイドに色々なことが書かれている白い車に乗っていれば絶対に隠れられないだろう。
彼らは私が何をしたか、どこへ行ったかということを世間に公表することに躊躇いもしない。なので、私が彼らのしたことを世間に公表しても彼らは気にしないだろう。彼らは赤信号を無視し、バスを追い越し、ウェストウェイで160km/h出して走り、自転車乗りをまるで虫のように扱った。パパラッチはまるでターミネーターだ。彼らは全く止まらない。
追跡されていると集中力を欠きやすく、事故になりかねない。私は車を乗り捨てて代わりに地下鉄を使おうかとも思ったし、警察に駆け込もうかとも思った。けれど、私は昔の仕事では様々な環境で運転していたので、彼らを払いのけるのは難しいことではなかった。
しかし、フォルクスワーゲン・ゴルフに乗っていたある女性は非常に印象的だった。非常に巧みに運転し、そして粘り強かった。もしTop Gearが求人を始めたら、彼女こそ適任だろう。
彼女はゴルフディーゼルに乗って追いかけ、私は275PSのメガーヌ ルノースポール 275 トロフィーRに乗って逃げた。実に30分もの間、私は逃げ回り続けた。
これを読んで不思議に思う人がいるかもしれない。速い車を買う意味とは何かと。確かにニュルブルクリンクなら彼女をぶっちぎることもできるだろうが、カーチェイスの舞台はメアリルボーンであり、また彼女と違い、私は交通ルールを順守しなければならなかった。もし交通ルールを守れば、ゴルフディーゼルでさえ、レーシングタイヤを履いた本気のロードレーサーと同等のパフォーマンスを発揮できる。
これは疑いようのない事実だ。しかし1つ重大なことを忘れている。ルノーは楽しい。確かにこの車は硬いが、しかしこれまでに運転してきたあらゆる硬い車とは違って馬鹿ではない。ショックアブソーバーには柔軟性があるので、路面の衝撃を乗り越える度に歯を食いしばったり目を細めたりする必要はない。
それにこの車はうるさく、その音もしわがれたようなグルルルルという類の音ではない。この車は遮音材がないからうるさい。おかげでマシンの中にいるという感覚が得られる。もし私のように車が好きなら非常に満足できることだろう。
唯一理解できないのは、シフトアップすべきタイミングを教える緑のライトの存在だ。私はレーシングカーを運転し、ディビナ・ガリカに追われている。エコな運転などこれっぽっちも欲していない。しかも音まで鳴る。意味もなく。
とはいえ、ディビナがゴルフを好きな気持ち以上に私はこの車が気に入った。なぜなら、彼女は仕事としてゴルフを運転していたからだ。そして彼女は自分の仕事が重要だと考えている(そんなはずはない)。一方で私は彼女を払いのけるというスポーツの気分で運転していた。私はただ息子の誕生日プレゼントを買うために外出しただけだ。彼女にそんなところを撮られようと私は全く気にしない。
そして私は勝利した。私はトラックで塞がれた裏道へと逃げ込んだ。周りには多くの建築業者がいて、私が自分の状況を伝えると、彼らは私のためにトラックを移動してくれた。そしてゴルフの女性が追いつく前にトラックを元の場所に戻してくれた。
The Clarkson review: Mégane Renaultsport 275 Trophy-R
そんな渦中にいる彼がパパラッチに追われつつ書いたルノー・メガーヌ ルノースポール 275 トロフィーRの試乗レポートが、3月23日に英国「Driving.co.uk」に掲載されました。
今回は、早速その試乗レポートを日本語で紹介します。

BBCが私のTop Gearの出演停止を発表した時、私は数日間は大人しくしようと考えた。しかし、その週に試乗用に用意されていた車がメガーヌ ルノースポール 275 トロフィーRだったので事態がややこしくなった。この車はデイグロ蛍光顔料を塗ったB-52爆撃機くらい派手だった。
その上、私の愛車のメルセデスがまさにその日に「爆発」を始めた。ここで言う「爆発」とは、まさに爆発のことだ。エンジンをかけるとまるで8気筒のうちの4気筒にプラスティック爆弾が詰められ、残りの4気筒にはニトログリセリンが詰められているような音が鳴り響き、全く動かなくなった。
なので私は自転車を使うことにした。しかし、私の自転車はすぐにチェーンが外れてしまった。それを直す前におよそ250万人のカメラマンやニュースキャスターにロンドンのマンションを囲まれてしまった。
私はサンデー・タイムズで一緒に記者をしており、友人でもあるA.A.ギルに迎えに来るように頼もうと思ったのだが、彼は世界最悪のドライバーだ。彼が最悪の事態を引き起こさずに報道陣の群れの中を走り抜けることなどできないだろうと考えた。ところで、今回の試乗車はルノーで、ホワイトのボディにブラックのルーフ、赤いホイール、ボディ下の派手なデカールが完備されている。
今回主題になっている車について説明させて欲しい。その始まりはルノー・メガーヌという車だ。これは車に興味のない人が買う類の車だ。しかし、その後完全に変貌した。
2Lのターボエンジンが搭載されているものの、発生する出力は自分で選ぶことができる。インパネのコンピューターでノーマルモードを選択すれば250PSを発揮し、エンジニアが言うところの「パワフルな」3ドアハッチバックとなる。しかし、スポーツモードやレースモードを選択すると275PSを発揮し、エンジニアは「冷静になれ」と言うことだろう。
狂気モードでは0-100km/h加速5.8秒を記録し、音速に至るまで加速し続ける。かつてのメガーヌのホットバージョンであるR26.Rはあまりに速く、2008年にニュルブルクリンクで前輪駆動車としての最速ラップを記録している。しかも、新型モデルはさらに驚異的で、その記録をさらに23秒も更新している。
そのラップタイムはほとんどつるつるのタイヤを履いていることで達成できている。この巨大なタイヤはちょっと雨が降っていたりちょっと路面が濡れているだけでもまったくグリップを得ることができず、トラクションコントロールをオンにしなければ横滑りして死んでしまうことだろう。そう、死ぬのだ。
そして装備としてはオーリンズ製アジャスタブルダンパーに「PerfoHub」ダブルアクスルフロントサスペンション、アクラポヴィッチ製チタンエグゾーストがあり、インテリアには何もない。リアシートは空気に変わり、カーナビは消え、エアコンも消え、リアワイパーさえ消えている。重さのあるありとあらゆるものが捨てられている。なので、シートベルトが付いていることさえ不思議に思える。オプションではレーシングシートベルトが装備できるが、それでも自動巻き取りリールはちゃんと付いている。
あらゆる失われた装備を取り戻すこともできる。しかし、そのためにはただでさえ高い36,000ポンドという希望価格がさらに高くなるし、そもそも多少の装備がなくても私は気にしない。
どちらにしても走ることはできる。しかし、スポットライトから逃れようとするとき、派手な車は適役ではない。それでも、これこそが私の欲していた車だと言える。なぜなら…おっと、パパラッチはまだ何人か残っているじゃないか。彼らはチームを組んでスクーターから車からあらゆる手段を使って追い回すので、走って逃げることはできても隠れることはできない。特に、赤いホイールを付け、ボディサイドに色々なことが書かれている白い車に乗っていれば絶対に隠れられないだろう。
彼らは私が何をしたか、どこへ行ったかということを世間に公表することに躊躇いもしない。なので、私が彼らのしたことを世間に公表しても彼らは気にしないだろう。彼らは赤信号を無視し、バスを追い越し、ウェストウェイで160km/h出して走り、自転車乗りをまるで虫のように扱った。パパラッチはまるでターミネーターだ。彼らは全く止まらない。
追跡されていると集中力を欠きやすく、事故になりかねない。私は車を乗り捨てて代わりに地下鉄を使おうかとも思ったし、警察に駆け込もうかとも思った。けれど、私は昔の仕事では様々な環境で運転していたので、彼らを払いのけるのは難しいことではなかった。
しかし、フォルクスワーゲン・ゴルフに乗っていたある女性は非常に印象的だった。非常に巧みに運転し、そして粘り強かった。もしTop Gearが求人を始めたら、彼女こそ適任だろう。
彼女はゴルフディーゼルに乗って追いかけ、私は275PSのメガーヌ ルノースポール 275 トロフィーRに乗って逃げた。実に30分もの間、私は逃げ回り続けた。
これを読んで不思議に思う人がいるかもしれない。速い車を買う意味とは何かと。確かにニュルブルクリンクなら彼女をぶっちぎることもできるだろうが、カーチェイスの舞台はメアリルボーンであり、また彼女と違い、私は交通ルールを順守しなければならなかった。もし交通ルールを守れば、ゴルフディーゼルでさえ、レーシングタイヤを履いた本気のロードレーサーと同等のパフォーマンスを発揮できる。
これは疑いようのない事実だ。しかし1つ重大なことを忘れている。ルノーは楽しい。確かにこの車は硬いが、しかしこれまでに運転してきたあらゆる硬い車とは違って馬鹿ではない。ショックアブソーバーには柔軟性があるので、路面の衝撃を乗り越える度に歯を食いしばったり目を細めたりする必要はない。
それにこの車はうるさく、その音もしわがれたようなグルルルルという類の音ではない。この車は遮音材がないからうるさい。おかげでマシンの中にいるという感覚が得られる。もし私のように車が好きなら非常に満足できることだろう。
唯一理解できないのは、シフトアップすべきタイミングを教える緑のライトの存在だ。私はレーシングカーを運転し、ディビナ・ガリカに追われている。エコな運転などこれっぽっちも欲していない。しかも音まで鳴る。意味もなく。
とはいえ、ディビナがゴルフを好きな気持ち以上に私はこの車が気に入った。なぜなら、彼女は仕事としてゴルフを運転していたからだ。そして彼女は自分の仕事が重要だと考えている(そんなはずはない)。一方で私は彼女を払いのけるというスポーツの気分で運転していた。私はただ息子の誕生日プレゼントを買うために外出しただけだ。彼女にそんなところを撮られようと私は全く気にしない。
そして私は勝利した。私はトラックで塞がれた裏道へと逃げ込んだ。周りには多くの建築業者がいて、私が自分の状況を伝えると、彼らは私のためにトラックを移動してくれた。そしてゴルフの女性が追いつく前にトラックを元の場所に戻してくれた。
The Clarkson review: Mégane Renaultsport 275 Trophy-R
