日本仕様のレガシィには4気筒 2.5Lのモデルのみが設定されていますが、北米仕様車には3.6L 水平対向6気筒エンジンを搭載したモデルもラインアップされています。
今回は、米国「Car and Driver」によるレガシィ 3.6の試乗レポートを日本語で紹介します。
スバルはBRZやWRXといった素晴らしい低価格スポーツカーを作るなど、変わったスポーツカーを作ることには長けているが、2014年にアウトバックとともにフルモデルチェンジを受けたレガシィのような落ち着いたモデルでは迷走しがちだ。
中型セダンとしても室内が広いことや、スバルの4WDシステムによるスタビリティの高さについてはレガシィ全体について言えることだが、今回は最上級グレードの3.6Rに絞って試乗を行った。
レガシィは米国でも最も競争の激しいセグメントにあり、消費者の要求に応えるためには絶えず進化していくことが必要となる。そんな中でスバルのポジションは独特だ。室内の広さや快適性を備え、そして全車4WDとすることで、自らニッチの道を選んでいる。
旧型レガシィ 3.6Rと比べると、同じ260PSの3.6L 水平対向6気筒エンジンを搭載するものの、ホイールベースと全高以外のあらゆるボディサイズが拡大し、タイヤノイズを低減するために遮音材が追加されたため、71kg重くなっている。元々が大きな車のため、これもそれほど大きな重量増加ではないのだが、旧型では6気筒モデルには5速ATが採用されていた（CVTは4気筒モデルのみに採用されていた）のに対し、新型ではこの6気筒モデルにもCVTが採用されたため、走行性能は悪化し、旧型モデルには適度にあった走る楽しさが損なわれてしまっている。
0-100km/h加速は7.1秒、0-400m加速は15.5秒（151km/h）であり、それぞれ旧型モデルよりも0.7秒、0.5秒遅くなっている。CVTにはパドルシフトが備わっており、6段の仮想「ギア」が設定され、従来的なAT的な感覚を非常にうまく再現し、CVT車特有の唸りを最小限に抑えることもできる。しかし、それでもスタンディングスタートでは直結感に欠けている。それに、今回試乗したモデルは、我々が以前長期テストをした旧型モデルとほとんど変わらない9.4km/Lという燃費を記録し、上級エンジンを搭載する中型セダンとして燃費は最低レベルだ。
0-100km/h加速で劣るライバルはヒュンダイ・ソナタ 2.0Tしか存在せず、こちらは8.0秒を記録する。187PSの4気筒 2.5Lエンジンを搭載する6速AT、1,494kgのマツダ・6（日本名: アテンザ）でさえ、0-100km/h加速ではレガシィ 3.6Rより速く、0-400m加速では0.1秒遅いだけだ。クラス最速のホンダ・アコードV6は0-100km/h加速がわずか5.6秒と圧倒的に速い。
加速性能以外の走りは、小奇麗だが平凡なエクステリアデザイン同様、悪くはないが興奮する点もない。ある程度のロールを代償に生み出しつつ適度な乗り心地を実現し、新型モデルに装着されるグッドイヤー製の18インチタイヤは旧型モデルのブリヂストン製17インチタイヤよりもグリップ性能で劣る。ステアリングは軽いが高速では重さを増す。とはいえ、前輪の状況はステアリングを介してあまり伝わってこない。ブレーキ制御によるトルクベクタリングシステムが追加されたことにより、コーナリング性能は向上しているが、クラス最高の部類に入るとは言えない。
3.6Lエンジンを搭載するグレードは3.6R Limitedの単一グレードしか設定されず、価格は30,390ドルとなる。装備としては、8エアバッグ、18インチホイール、本革ステアリング、7インチタッチスクリーン付きの12スピーカー ハーマンガードンオーディオシステム、デュアルゾーンエアコン、ブラインドスポットアラート、リアクロストラフィックアラート、車線維持アシストなどが含まれる。今回の試乗車にはサンルーフ、ナビゲーション、キーレスアクセス&スタートが含まれる2,195ドルのセットオプションが装備されていた。装備は充実しているし、新型のインテリアはシンプルでなかなか秀逸だし、操作性も高く、これは長く乗る人には嬉しい部分だろう。
スバルはレガシィのフルモデルチェンジに際して安全牌を選んだ。これは、量販セダンでは普通のことだ。しかし、スバルのような小さな会社なら、カルトなモデルをてこ入れし、さらなる魅力を加えるべきではないだろうか。何よりCVTについて再考することから始めるべきだろう。なぜなら、CVTは車の価値を低くしているだけだからだ。このままでは、ホンダ・アコードやマツダ・6のような実力派ミドルサイズセダンの真のライバルというよりはむしろ、ただのアウトバックのセダン版でしかなくなってしまうだろう。
2015 Subaru Legacy 3.6R Limited
今回は、米国「Car and Driver」によるレガシィ 3.6の試乗レポートを日本語で紹介します。
スバルはBRZやWRXといった素晴らしい低価格スポーツカーを作るなど、変わったスポーツカーを作ることには長けているが、2014年にアウトバックとともにフルモデルチェンジを受けたレガシィのような落ち着いたモデルでは迷走しがちだ。
中型セダンとしても室内が広いことや、スバルの4WDシステムによるスタビリティの高さについてはレガシィ全体について言えることだが、今回は最上級グレードの3.6Rに絞って試乗を行った。
レガシィは米国でも最も競争の激しいセグメントにあり、消費者の要求に応えるためには絶えず進化していくことが必要となる。そんな中でスバルのポジションは独特だ。室内の広さや快適性を備え、そして全車4WDとすることで、自らニッチの道を選んでいる。
旧型レガシィ 3.6Rと比べると、同じ260PSの3.6L 水平対向6気筒エンジンを搭載するものの、ホイールベースと全高以外のあらゆるボディサイズが拡大し、タイヤノイズを低減するために遮音材が追加されたため、71kg重くなっている。元々が大きな車のため、これもそれほど大きな重量増加ではないのだが、旧型では6気筒モデルには5速ATが採用されていた（CVTは4気筒モデルのみに採用されていた）のに対し、新型ではこの6気筒モデルにもCVTが採用されたため、走行性能は悪化し、旧型モデルには適度にあった走る楽しさが損なわれてしまっている。
0-100km/h加速は7.1秒、0-400m加速は15.5秒（151km/h）であり、それぞれ旧型モデルよりも0.7秒、0.5秒遅くなっている。CVTにはパドルシフトが備わっており、6段の仮想「ギア」が設定され、従来的なAT的な感覚を非常にうまく再現し、CVT車特有の唸りを最小限に抑えることもできる。しかし、それでもスタンディングスタートでは直結感に欠けている。それに、今回試乗したモデルは、我々が以前長期テストをした旧型モデルとほとんど変わらない9.4km/Lという燃費を記録し、上級エンジンを搭載する中型セダンとして燃費は最低レベルだ。
0-100km/h加速で劣るライバルはヒュンダイ・ソナタ 2.0Tしか存在せず、こちらは8.0秒を記録する。187PSの4気筒 2.5Lエンジンを搭載する6速AT、1,494kgのマツダ・6（日本名: アテンザ）でさえ、0-100km/h加速ではレガシィ 3.6Rより速く、0-400m加速では0.1秒遅いだけだ。クラス最速のホンダ・アコードV6は0-100km/h加速がわずか5.6秒と圧倒的に速い。
加速性能以外の走りは、小奇麗だが平凡なエクステリアデザイン同様、悪くはないが興奮する点もない。ある程度のロールを代償に生み出しつつ適度な乗り心地を実現し、新型モデルに装着されるグッドイヤー製の18インチタイヤは旧型モデルのブリヂストン製17インチタイヤよりもグリップ性能で劣る。ステアリングは軽いが高速では重さを増す。とはいえ、前輪の状況はステアリングを介してあまり伝わってこない。ブレーキ制御によるトルクベクタリングシステムが追加されたことにより、コーナリング性能は向上しているが、クラス最高の部類に入るとは言えない。
3.6Lエンジンを搭載するグレードは3.6R Limitedの単一グレードしか設定されず、価格は30,390ドルとなる。装備としては、8エアバッグ、18インチホイール、本革ステアリング、7インチタッチスクリーン付きの12スピーカー ハーマンガードンオーディオシステム、デュアルゾーンエアコン、ブラインドスポットアラート、リアクロストラフィックアラート、車線維持アシストなどが含まれる。今回の試乗車にはサンルーフ、ナビゲーション、キーレスアクセス&スタートが含まれる2,195ドルのセットオプションが装備されていた。装備は充実しているし、新型のインテリアはシンプルでなかなか秀逸だし、操作性も高く、これは長く乗る人には嬉しい部分だろう。
スバルはレガシィのフルモデルチェンジに際して安全牌を選んだ。これは、量販セダンでは普通のことだ。しかし、スバルのような小さな会社なら、カルトなモデルをてこ入れし、さらなる魅力を加えるべきではないだろうか。何よりCVTについて再考することから始めるべきだろう。なぜなら、CVTは車の価値を低くしているだけだからだ。このままでは、ホンダ・アコードやマツダ・6のような実力派ミドルサイズセダンの真のライバルというよりはむしろ、ただのアウトバックのセダン版でしかなくなってしまうだろう。
2015 Subaru Legacy 3.6R Limited
