アメリカで最も売れている乗用車(ピックアップ・SUV除く)として知られているのはトヨタ・カムリですが、そのセグメントではホンダ・アコードや日産・アルティマ(日本名: ティアナ)が熾烈な争いを極めています。そんなセグメントにヒュンダイから投入されたモデルがソナタです。

かつて、5代目モデルが日本市場にも投入されたことがあるソナタですが、現在ではそこから2回フルモデルチェンジを重ね、7代目となっています。今回は、米国「Car and Driver」によるソナタのダウンサイジングターボモデル、ソナタ エコの試乗レポートを日本語で紹介します。


Sonata

今や、ミドルサイズファミリーセダンのセグメントでは、燃費がかつてなく重要視されている。あらゆる自動車メーカーは燃費性能の向上に鎬を削っており、そしてその手段はなにもハイブリッドだけではない。ヒュンダイ・ソナタ エコを見てみよう。ハイブリッドモデルの新型ソナタは2015年に登場する予定で、それまでは旧型モデルのソナタハイブリッドが販売継続される予定だが、一方でソナタエコはハイブリッドより気軽な低燃費志向モデルだ。

エコには、標準グレードのソナタに搭載される4気筒2.4L 自然吸気エンジンに代わり、4気筒1.6Lターボエンジンが搭載され、また、標準モデルには6速トルコンATが搭載されている一方で、エコには7速DCTが搭載される。2.4Lのソナタと比較すると、エコの燃費性能は、シティ燃費で1.7km/L向上して11.9km/L、ハイウェイ燃費は1.3km/L向上して16.2km/Lとなっている。

6速のDCTはノンターボのヴェロスターにも搭載されているが、ヒュンダイ初の7速DCTである新DCTは従来の油圧制御式から電動制御式に変わっている。たったこれだけの違いで、ドライバビリティに大きな変化をもたらしている。ヴェロスターのDCTはATのフィーリングを出そうとしてあまりうまく行っていなかったが、ソナタのDCTはDCTらしさを受け入れ、フォルクスワーゲンのDCTにも似たフィーリングとなっている。アクセルを踏んだ後のトランスミッションの応答は早いとは言えないが、それでも一旦ギアチェンジが開始されればそれ以降の動きは早い。

トランスミッションの挙動は停止状態からうまく制御されており、クラッチのショックもほとんどなく、変速もスムーズなのでしっかりと加速してくれる。オートモードでの変速はしっかりとしていて早く、マニュアルモードにすれば通常のATを備えるモデルよりも圧倒的に素早い変速が可能だ。それに、直噴ターボの1.6L 4気筒エンジンは2.4Lモデルにトルクで2.5kgf·m勝っているし、より軽快に回ってくれる(ただし出力は8PS少ない)。サスペンションチューニングは素性の良い2.4Lモデルと共通であり、つまりエコモデルといえどハンドリングの面では何も犠牲になっていないと言える。

interior

24,085ドルという価格設定はソナタのラインアップの中でもいい位置にある。ベースグレードの2.4L SEは21,960ドルだが、エコは低燃費であるだけでなく、オートライトや運転席10ウェイパワーシートヒュンダイBlue Linkテレマティクスシステム付5.0インチナビゲーションシステム、バックカメラなどの装備も備わっている。なお、同様の装備を付けたSEは925ドル安い。この価格差はフォード・フュージョンの自然吸気の2.5Lモデルと1.5L EcoBoostモデルの795ドルという価格差にも近い。

ソナタエコには4,100ドルでテクノロジーパッケージを装備することもできる。これにはメッキ外装パーツや死角監視システム、リアクロストラフィックアラート、車線変更支援システム、プッシュエンジンスターター付スマートキー、ハンズフリートランクオープンシステム、レザーシート、本革ステアリング、フロントシートヒーター、デュアルゾーンオートエアコン、Blue Link 8.0インチタッチスクリーンナビゲーションシステム、自動防眩ミラーが含まれる。そして、フル装備にしてもソナタエコは29,000ドル未満だ。

果たして消費者は1km/Lちょっとの燃費のためにお金を払うだろうか。それは発売されてみないと分からないだろう。けれど、少なくともソナタエコは満足の行くレベルに仕上がっていると言える。


2015 Hyundai Sonata 1.6L Eco