フィリピンでは北米と同様にシビックセダンが販売されていますが、無限パーツの付いたグレードとして「2.0EL MUGEN」もラインアップされています。

今回は、フィリピン「Autoindustriya.com」によるホンダ・シビック 2.0EL MUGENの試乗レポートを日本語で紹介します。


Civic Mugen

モデルライフ途中には一般的に売り上げを伸ばすためにマイナーチェンジが行われる。そうして、より設計の新しいライバルに対抗する。

ホンダもシビックに対してそれを行い、ラインアップの見直しを行ったほか、装備内容のわずかな充実、そして外装の小変更を行っている。そして今回は、マイナーチェンジの最大の変更点とも言える、新たに追加されたシビック 2.0EL MUGENの試乗を行った。

この車には目を引く派手さがある。これはホンダのファクトリーチューン部門である無限によるデザイン変更によるものだ。標準モデルや、あるいはModulo(ホンダアクセスによるエアロパーツメーカー)のパーツを装備したモデルと比較しても、デザイン面でMUGENは圧倒的にアグレッシヴに見える、

シビック 2.0EL MUGENには大型のチンスポイラーが装着されており、これはボディを低く見せるだけでなく、フォグランプ周辺まで取り囲むデザインとすることで車の見た目を大きく変えており、それにMUGENのスタイリッシュなフロントグリルも見た目の印象を変えるのに一役買っている。それ以外にも、サイドスカートやスポーティなデザインのリアスカートも装備される。それ以外にもリアには大型のスポイラーが装備されるのだが、こちらは少し後付感があり、個人的にはダックテールのほうが良かったのではないかと思う。また、無限のエンブレムがいくらか装着されており、ホイールは大径化されて17インチとなっている。全体的に見て、無限はシビックをよりシャキッとした印象としているように思える。

rear

内装は、従来の標準モデルと実質的に変わらない。ただ、ステアリングやシートがレザーとなっている点は変わっている。下級セダンのシティ(日本名: グレイス)の方がむしろダッシュボードの質感は高いくらいなので、シビックもダッシュボードのハードなプラスティックなどは変えてほしいとも思うのだが、それでもレザーが奢られたことで上質感は感じられる。

パワーウインドウやパワーステアリング、電動ドアミラー、集中ドアロックなどといった装備は言うまでもなく備わっている。それ以外には、オーディオユニットとして2DINタッチスクリーン式の、USB端子、iPod接続機構、Bluetooth、それにHDMI端子まで付いたユニットを備えている。これは新型シティやジャズ(日本名: フィット)に装備されるものと同様のものだ。オートエアコンやHIDヘッドランプなども標準装備となる。

搭載されるのは2.0L SOHC i-VTECエンジンで、155PSを発揮する。この数字は突出してはいないが、それでもこのクラスの車としては十分といえる。ただ、それでも100PS/L超えを実現していた170PSのB16型 1.6Lエンジンがホンダ車に搭載されていた時代を思えば惜しくも思う。このシビックに搭載されるR20A5型 2.0L i-VTECエンジンは5速ATと組み合わせられており、パドルシフトも備わる。

このエンジンは街中で十分な力を発揮してくれる。スムーズだし、変速タイミングも適切だし、アクセルを踏み込めば1速もしくは2速落としてしっかりキックダウンしてくれる。燃費性能も高く、シティ燃費は8.1km/L、ハイウェイ燃費は12.6km/Lとなる。

ハンドリングに関しては予想通り高く、コーナーが続くハードな道も簡単にこなしていく。ブレーキも悪くないし、パワーも悪くないし、ターンインもロールも悪くない。ただ、残念なことにシビック 2.0EL MUGENには無限のサスペンションチューニング(スプリングやダンパー、スタビライザー、ストラットタワーバーなど)は全くされていないし、フィルターやマフラーなども変更されていない。

装着される無限のパーツを考えても、シビック 2.0EL MUGENは少し高く思える。価格は136万8,000フィリピンペソであり、これはクラスでも最も高価だ。マツダ・3(日本名: アクセラ) 2.0Rやトヨタ・カローラアルティス 2.0Vはいずれもおよそ120万ペソだし、これまで最も高価だったスバル・インプレッサ 2.0i CVTも130万ペソを切る価格だ。

ホンダ・シビック 2.0EL MUGENはブレーキやエンジン、トランスミッション、サスペンションがうまくバランスされているし、無限のパーツにより標準モデルのシビックから印象もかなりシャープに変貌している。ただ、パフォーマンス面でのベースモデルとの差別化がされていれば、無限というバッジにも見合うだろうし、値段も正当化されることだろうと思う。


2014 Honda Civic 2.0 EL Mugen