現在、日本市場では旧型フォルクスワーゲン・パサートが販売されていますが、欧州では既にフルモデルチェンジした新型パサートが登場しています。

今回は、英国「Auto Express」による新型パサートのプラグインハイブリッドモデル、パサートGTEの試乗レポートを日本語で紹介します。


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フォルクスワーゲングループはプラグインハイブリッドモデルの展開を拡大しており、その最新モデルがパサートGTEだ。公称燃費は63.2km/L、CO2排出量は44g/kmで、パサートのラインアップの中でも最も環境性能が高い。では、これだけの環境性能と引き換えに何かが犠牲になったりはしていないのだろうか。

最初にこの車のメカニズムについて説明しよう。ゴルフGTE同様、パサートGTEでは最高出力156PS、最大トルク25.5kgf·mの1.4L TSIエンジンに最高出力218PS、最大トルク40.8kgf·mの電気モーターが6速DSGを介して組み合わせられている。バッテリー、モーター、ケーブル、制御システムにより車重はパサート 1.4L TSIよりも280kg重くなっているが、4時間のチャージをすることで、50kmの距離を最高130km/hでEV走行することができる。

バッテリー残量が不足したり、パフォーマンスを最大限に発揮したいときには1.4Lエンジンがかかる。シフトレバーの横にあるGTEボタンを押せばエンジンがかかり、スロットルやステアリング、トランスミッション、ダンパーのセッティングがよりアグレッシヴになる(ただしダンパーのセッティング制御はオプション)。

ハイブリッドモードでは燃費性能に振ったセッティングとなって2つのパワーソースをバランスよく使い分け、Eモードではバッテリーが空になるまでEV走行を行う。走行中にバッテリーを充電することもできるが、燃費性能は大幅に落ちることとなる。

車重が増えたためにコーナリング性能が悪化しているにもかかわらず、かの「GTI」にも似た名称をこの車につけているフォルクスワーゲンの意図は理解しがたい。車重の増加に対応するためにわずかにサスペンションは硬くなってはいるのだが、それでも標準モデルよりロールがある。一方、モーターによる即時的なトルクのおかげで直線での加速性能は満足できるレベルであり、同クラスの一部ライバルと比べると乗り味は硬めだが、それでも標準モデルのパサートとくらべて悪いというわけでは全くない。

ただ、ブレーキペダルは踏み始めるとすぐに回生システムがはたらくためにフィールは標準モデルより良くない。なので、シフトレバーをBに入れて回生抵抗を増すのが個人的にはいいと思う。ゴルフGTEのDSGはどこかぎくしゃくしていたが、パサートGTEではいくらかスムーズになっているように思えた。これは、トヨタ・プリウスのうるさいCVTとは全く別の世界にある。

フロントグリルの上部に配された細いブルーのラインや馬蹄形のLEDデイライト以外の面では、エコカーであることの主張はそれほどない。内装についても同様であり、落ち着いた雰囲気のインテリアは標準車と変わらないし、リアの分割可倒式シートも標準車同様に備わる。

ただし、リチウムイオンバッテリーがリアシートの下に配置されたことで、50Lの燃料タンクを確保するため、標準車に備わる荷室下の約180Lの収納スペースはGTEではなくなっている。

メーター部分にはタコメーターの代わりにエネルギーインジケーターが配され、充電状況を表示するディスプレイも備わる。ダッシュボード中央に配されるタッチスクリーンからはハイブリッドシステムの稼働状況などの情報を得ることもできる。

最初に話した犠牲という話に立ち戻ってみよう。GTEは車重が重く、他のモデルよりもコーナーが苦手だが、一方で直線加速は圧倒的だ。また、トランクスペースも狭い。

とはいえ、最大の問題となるのは価格だろう。短距離走行でほとんどEVモードだけで走るわけでもなければ、現実的にはディーゼルのパサートのほうが経済性は高い。


VW Passat GTE review