英国「Auto Express」によるマツダ MX-5(日本名: ロードスター)の試乗レポートを日本語で紹介します。


MX-5

今や多くの自動車メーカーが、要求される装備や安全性が高まるにつれ、世代を進めるごとに車をどんどん肥大化させている。ところが他とは違ったことをするメーカーであるマツダという会社は4代目マツダ MX-5の時計を戻すことに成功している。

新型MX-5はこれまでで最もコンパクトであるだけではなく、先代よりも100kg軽くなっており、また1989年に登場した初代モデルよりもわずか50kg重いだけだ。これは我々の新型MX-1の初体験の素晴らしさを示唆している。

先代モデルと比べると全高が10mm低く、ホイールベースは15mm短く、前後オーバーハングはそれぞれ45mm短くなっている。このためにエンジンは従来よりも15mm後方へと配置され、また搭載位置は13mm低くなっており、重心が下げられている。

その一方で着座位置を20mm下げつつステアリングの位置を従来よりも高くするなど、パッケージングに工夫が凝らされており、レッグルームやヘッドルーム、トランクルームのいずれも先代よりも向上している。

小型化するだけに飽き足らず、マツダは新型MX-5のそこかしこにアルミを用いている。フロントフェンダーやフロントサスペンションナックル、屋根の構造部などにもアルミが用いられ、スペック表によると車重はおよそ1,000kgとなっている。

ノンターボの縦置きSKYACTIVガソリンエンジンとして、157PSの2.0Lと131PSの1.5Lの2機種が用意される。いずれも6速MTが組み合わせられる。

普通ならもっとパワフルなエンジンの方がいいと思うところだが、マツダのチーフエンジニアいわくこのエンジンこそMX-5に最も適しているのだそうだ。

我々は2014年末に1.5LのSKYACTIVエンジンを搭載するマツダ・2(日本名: デミオ)のプロトタイプモデルに試乗したのだが、その時にはエンジンの仕上がりの不完全さやレスポンスのダルさにがっかりしてしまった。ところが、クランクシャフトのバランスが良くなり、吸排気システムがうまく調整されたおかげで、よりスムーズでどんどん回したくなるようなエンジンへと変貌を遂げていた。

スロットルレスポンスは良いし、どこかいい意味で古さを感じさせる、7,500rpmのレッドゾーンまで回したくなるようなエンジンだ。加速はシートに身体を押し付けるほどのものではないが、コーナーの出口から十分な加速をすることもできるし、十分にスピードを出せば小さなリアタイヤを滑らせることもできる。

嬉しい事に、マツダは恐ろしく硬いサスペンションを付けてまでコーナリングスピードを追求するということはせず、軽量化のおかげもあって新型の足回りは先代よりもわずかながらソフトになっている。その結果ターンインではコーナーの外側にボディが傾くが、それも悪いことではない。あくまで車のコンディションがフィードバックされているだけであり、そして車の限界もよく分かる。

電動パワーステアリングは最初軽すぎるように感じるが、何回かコーナーを攻めてみればこれでいいと感じるようになる。ステアリングを回す手と前輪との間にダイレクトな繋がりが感じられ、正確に操縦することができる。路面の状況も掌を介して手に取るように伝わってくる。

軽いステアリングやしなやかな乗り味には他の利点もある。もしこの車の荷室の狭さに耐えられるなら、この車は日常で気楽に運転することができるし、道が空いたら飛ばすことも、大人しく走らせたいときには快適にクルージングすることもできる。ただ、MX-5の最大の魅力は、制限速度を守りながら楽しめるという点だ。制限速度以下での加速やコーナリングでも、この車はドライバーをワクワクさせてくれる。

そしてこのワクワクに重要なのがトランスミッションだ。短いシフトレバーはシフトゲートで気持ちよくシフトチェンジできるし、ペダルはヒール&トーをするのに最適な配置で、ヘアピンカーブではペダル操作、シフトチェンジ操作に夢中になれ、シフトダウンすれば気持ちのいい排気音が聞こえてくる。

オーバーハングが短くなり、ルーフラインが低くなったことによって見た目も良くなっており、フロントグリル周りやリアのデザインはシャープとなってはいるものの、ディテールはすっきりしている。それに、幌は手動でロールバーの後ろの格納スペースに仕舞う方式で、ルーフ格納時にもトランクスペースには狭いながらも深い十分なスペースが残される。正式なトランク容量は公表されていないが、ジャガー・Fタイプロードスターよりは少なくとも広いと言える。

interior

インテリアデザインは他のマツダ車と共通な部分が多く、上級モデルにはiPad風のスクリーンが装備され、その下にはエアコンの3連操作系ダイヤルが配されている。英国仕様のグレードや装備内容はいまだに発表されていない。ただ、プラスティックの質感は安っぽさが残るものの、それでも質感はかなり前進している。ボンネットは28mm低くなり、Aピラーは70mm後退しているため、視界は良くなっている。

この車は走行モードのスイッチなどがやたらあってごちゃごちゃしたりしていないので良い。やる気のあるときにはトラクションコントロールを完全オフにすることはできるが、スポーツモードボタンもなければサスペンションのセッティングも変えられないし、エグゾーストモードの変更もできない。ただ、こんなに素性の良い車にそんなものは必要ないだろう。


他の自動車メーカーが「手軽な」2シータースポーツカーを作ろうとしない中、マツダは新型MX-5を投入してきた。新型MX-5は全面的な変更をするのではなく、これまでのMX-5の良さをそのまま残しつつもデザインや技術面での改善を果たしている。そしてこれこそまさに、手頃な本物のオープンスポーツカーだ。未だ未発売ではあるが、新型こそ史上最高のMX-5であると言えるだろう。