以前に日産・サファリの血統を継ぐ日産・パトロールの試乗レポートを掲載しましたが、このインフィニティ版がインフィニティ・QX80(旧QX56)であり、2014年には2015年モデルとしてマイナーチェンジを行いました。

今回は、米国「CNET」によるインフィニティ・QX80(2015年モデル)の試乗レポートを日本語で紹介します。


QX80

2015年モデルのインフィニティ・QX80は依然として巨大な鉄の塊だ。このフルサイズSUVは圧倒的な存在感を放っている。サンフランシスコの狭い通りや狭い駐車場でこの車を運転した時には申し訳なさすら感じた。


圧倒的なボディサイズ
運転席の着座位置が高いため、周りに対して威圧的になったような気分になる。運転席からの眺めはバスや大型トラックと同じだ。私は車高の低いスポーツカーが好きなのだが、それでもこの車からの素晴らしい眺めは気に入ったと言わざるをえない。

ボディサイズが大きいということは、つまり室内空間や荷室も広いということだ。この車は7シーターではあるが、セカンドシートは大きな独立したセンターコンソールで隔てられたキャプテンシートとなっており、3列目に3人乗るという形となっているため、実質的には6人乗りと考えたほうがいいだろう。3列目には実質大人2人分のスペースしかない。また、3列目に大人が2人乗った場合、ちょっとした移動であればそれなりに快適だろうが、身長178cmの私より大柄な大人がそこに座るのはあまりお勧めしない。

便利な装備として、キーレスエントリーやパワーテールゲート、電動格納式リアベンチシートなどが備わっている。リアのカーゴスペースにあるボタンを押すことで、3列目ベンチシートを電動で倒すことができ、荷室スペースを拡張することができる。シートの格納には時間がかかるが、それでも多少の手間を省くことはできる。2列目シートもレバーによって手動で倒すことができ、こちらもほとんどフラットにできるため、フロントシートよりも後ろをすべて荷室スペースとすることができる。また、2列目キャプテンシートは前後にスライドすることも可能で、これにより3列目に容易にアクセスすることができる。

2列目分割可倒ベンチシートパッケージは無料のオプションで、こちらを選ぶと独立センターコンソールがなくなり、2列目シートが3人乗りとなって合計8人乗りとなる。

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5.6L V8エンジン
自動車メーカーがエンジンに「実績のある」という表現をするとき、それはそのエンジンの設計が古いことを意味する。ただ、QX80ではこの「実績のある」という表現は信頼性が高いということも意味している。日産の5.6L自然吸気エンジンは多少の設計の違いはあれ10年以上にわたって製造されてきたエンジンだ。この最新版にはVVEL(バルブ作動角・リフト量連続可変システム)という技術が用いられ、また直噴化されており、最高出力406PS、最大トルク57.1kgf·mを発揮する。このエンジンのトルクカーブはかなりフラットで、2,666kgのQX80の車体をスムーズかつしっかりと動かす。走りは十分だが、加速性能を自慢できるほどではない。

V8のパワーは7速ATを介してタイヤへと伝わる。変速はスムーズだし、アダプティブシフトコントロールやシンクロレブコントロールのおかげで意のままな変速が行われる。マニュアルモードも付いてはいるのだが、今回の試乗でそれを使うことはなかった。

今回の試乗車はFRモデルだったが、4WDも設定されている。どちらもシティ燃費は6.0km/L、ハイウェイ燃費は8.5km/Lとなる。今回の試乗では平均6.0km/Lを記録した。

四輪全てにダブルウィッシュボーンサスペンションが装着されており、おかげで走りは非常に安定していて乗り心地もフラットだし、重い車重のおかげで低速でバタつくようなことはほとんどない。そしてこういった特性こそまさにこの車の購買層が求めるものといえるだろう。ハイドロリックボディモーションコントロール(5,500ドルのデラックステクノロジーパッケージに含まれる)は、フラットなコーナリングやボートのようなソフトな上下動を生み出す。

2WDにしても4WDにしても、QX80にはオフロード用のトラクションコントロールシステムや走行モードなどは備わっていない。運転していてもこの車は舗装路用のセッティングとなっていることが感じられた。おそらくインフィニティはこの最高級SUVのオーナーがオフロードを攻めるとはあまり考えていないのだろう。

2WDモデルには、滑りやすい路面でトラクションを確保するためのスノーモードが付いているほか、この重い車を急坂で停止させた後に発車させても後ろに下がらないように、ブレーキを離した後も一定時間ブレーキをホールドし続けるヒルスタートアシストも備わっている。また、牽引モードもあり、強度クラスIVの牽引ヒッチメンバーやトレーラー牽引用のワイヤーハーネスがリアバンパーに隠れて備わっている。QX80は牽引能力3,855kgを誇り、リアサスペンションには自動調節機能も付いているが、今回の試乗で牽引を試すことはできなかった。


運転支援技術
視界が高いのは嬉しいものの、ボディサイズの大きさのせいで狭い道や駐車場で取り回すのは大変だ。とはいえ、日産は様々な運転支援技術を用意している。…有料で。前述の5,550ドルのデラックステクノロジーパッケージに加えて2,100ドルのドライバーアシスタンスパッケージを装備することで運転支援装備をフル装備とすることができる。

リア車両横切り警報、前後車両接近警報が設定されるほか、ウインカーを出さずに車線変更をしようとしたり、死角に車がいるのに車線変更をしようとしたりした際には、警報が鳴り、同時に進行方向と逆側のフロントタイヤにわずかにブレーキをかけることで車を元の車線へと戻そうとする。また、バックをしている際に障害物や人にぶつかりそうになった時には自動的にブレーキがかかる。衝突警報システムや全速度域対応のアダプティブクルーズコントロールにより、前の車との距離がモニタリングされ、前の車に近づきすぎるとブレーキがかかって自動的に安全な距離が保たれ、この制御は完全停止まで行われる。

2015年モデルからはエマージェンシーブレーキや前方衝突予測警報 (PFCW) も新たに装備された。これは前方の車両の動きから衝突の危険性を察知して警告し、衝突が差し迫った際には自動でブレーキがかかるシステムで、加えてハイビームによる補助もなされる。

運転補助・介入システムが多く備わっているため、慣れるのには時間がかかり、私のように運転支援システムにある程度慣れている人間からしても、慣れるためには時間がかかった。例えば、混んだ道路で運転していてアクセルから足を離してブレーキに足をかけた瞬間に自動ブレーキが一緒に作動して、思った以上にブレーキを強く踏んでしまったということもあった。結局、こういった運転の微調整はすべて機械任せにしてしまうか、もしくは運転支援システムをオフにしてしまうかのどちらかにするべきだと私は結論づけ、私は後者を選んだ。

運転支援システムのオンオフはナビゲーション画面のメニュー上で設定することができる。例えば車線逸脱警報はオンにしたいが車間維持システムはオフにしておきたいという場合もカスタマイズが可能だ。また、ステアリングスイッチでも一部の設定を変えることができる。

ナビゲーションシステムはほとんどマイナーチェンジ前(2014年モデル以前)と変わらないが、私はそれで問題無いと思う。Q80にはインフィニティの「実績のある」ナビゲーションシステムが搭載されており、タッチパネルと物理スイッチ類で操作することでナビゲーションや様々なメディア再生を指先1つで操作することができる。それに、USB接続からBluetoothオーディオストリーミング、ハンズフリーフォン、iPod接続、DVD再生、HDラジオ、衛星ラジオまですべて備わっている。


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私はインフィニティ・QX80の運転支援システムに敬意を示したい。新技術がこぞって投入されるこの大型高級SUVのクラスでも、QX80は安全技術の面ではトップレベルにあると思う。

とはいえ、以前からQX80に対して私が問題視していた部分は変わっていない。レクサス・LXやランドローバーが誇るようなオフロードの血統に欠けているという点だ。この車は決してオフロードを走ることのないSUVを求める変わり者のための乗り心地のいい巨大な「ソフトローダー」だ。もっとも、LX570の平均的ドライバーが川を渡ったりしているかといえばそんなことはないだろうが、いつかやってみたいと考えてはいるだろう。

結局、QX80の最大のセールスポイントは6人を乗せることができる高級な移動手段だということだろう。ただ、これはインフィニティ・QX60の方がより適しているように思えるし、燃費もいい。もしどうしても3,800kgの牽引能力がほしいというわけでもないなら、もう少し小さなモデルを考えたほうがいいかもしれない。


2015 Infiniti QX80 review