日本仕様車のランドクルーザーには4.6L V8エンジンが搭載されていますが、北米市場で販売されるランドクルーザーのレクサス版であるレクサス・LX570には5.7L V8エンジンが搭載されています。

今回は、米国「Autoweek」によるレクサス・LX570の試乗レポートを日本語で紹介します。


LX570

レクサス・LX570がフルモデルチェンジを行ったのは2007年のことだ。その後、2013年モデルではフェイスリフトが施され、レクサス共通のスピンドルグリルが装着され、バンパーやヘッドランプ・テールランプ、ホイールのデザインが変更された。今回は2015年モデルのLX570に試乗したのだが、この大型高級客船は古さを隠せなくなってきているようだ。

もっとも、内装が悪いというわけではない。シートからアームレスト、ドアに至るまで、上質なレザーがふんだんに用いられているし、今回は寒い中での試乗となったのだが、シートヒーターやステアリングヒーターのおかげで快適だった。そのうえ、2列目シートにもシートヒーターが付いている。家族向けにツインモニターのDVDリアエンターテインメントシステムも装備されているし、3列目も比較的広い。

しかし、8年という時間は自動車のモデルライフとしては長く、どうしても古さを感じる部分というものはある。インテリアの角張ったデザインや従来的なデジタル時計、それにナビディスプレイのグラフィックなどからはこの車の設計の古さを感じる。実用性の面では、この車の3列目シートは一旦倒してからサイドに跳ね上げる方式をとっているが、これでは荷室が狭くなってしまうため、フラットに畳めるようにして欲しい。

乗り心地は依然としてトラック的だが、これはフレーム構造をとっているためだ。サスペンションセッティングはコンフォート寄りとなっているため、不快なガタつきを感じることはほとんどないが、キャデラック・エスカレードなどの設計の新しいモデルと比べるとボディが弾むような印象は強い。不思議なことに、以前運転したLX570は浮くような感覚が強すぎるような印象だったが、今回試乗したモデルではより操縦性が高まっているように感じられた。

ステアリングは軽く、応答性もこのサイズの車としては悪くない。ブレーキも強力で、大きな車体をしっかりと停止させる。

この車に搭載される5.7L V8エンジンには何の文句もない。LXの車体を速く走らせることができるくらいには十分にパワフルだし、それにスムーズだ。6速ATもうまくセッティングされている。

古さは感じるものの、それでも私は今でもLX570を気に入っている。ただ、私は昔からトヨタのSUVが好きだったが、新型エスカレードを運転してからは大型高級SUVの中ではエスカレードが一番になった。エスカレードESVプレミアムの4WDモデルは88,065ドルと今回試乗したLX570よりも安い。

(レポート: ジョナサン・ウォン)


LX570には古さを感じるが、逆にそれがプラスとなっている部分もある。LX570にはレクサス最新のリモートタッチインタフェースというマウス風の使いづらいインターフェースが備わっていない。私はこれが嫌いだ。真面目な話、これほど使いづらい操作系はないと思うし、もしLXにこれが付いていたらこの試乗レポートも全く違ったものとなっていたことだろう。

私はこのSUVが大好きだ。インテリアは快適で豪華だし、だからといって派手すぎるわけでもない。LXのライバルであるキャデラック・エスカレードは多くの面でLXよりも優れているが、レクサスよりも派手派手しい。LXにはランドローバーほどではないが威厳を感じる。操作系の配置は素晴らしく、センターコンソールに配された駆動系やサスペンションセッティングなどを変更する従来的なスイッチも気に入っている。

ステアリングは明らかに軽い部類に入るが、3tの重さがあるこの車にそういうセッティングをしたのは正解だと思う。シルキーなV8のパワーと相まって、LXは運転しやすい。これほどの重さの車であればステアリングが軽いと問題があるのではないかと思う人もいるかもしれないが、そんなことはない。むしろこの車はしっかりとして落ち着きがあり、実際走っていると自然と制限速度まで行ってしまい、この車に遅さを感じることもなかった。

ただ、ここで問題となるのが値段だ。装備内容がほとんど同一なキャデラック・エスカレードESVプレミアムが89,000ドルを切っている一方で、今回の試乗車は90,000ドルを超えている。ただ、そもそもLXの年間販売台数は5,000台にも満たないため、レクサス自身値段のことをあまり気にしてはいないようだ。

もしレクサスがLXを真面目に改良すればどうなるか、個人的には見てみたいところだ。

(レポート: ナタリー・ニーフ)


2015 Lexus LX 570 review notes