米国「Car and Driver」によるトヨタ・ハイランダー(2014年モデル)の試乗レポートを日本語で紹介します。

新型モデルではタコメーターとスピードメーターの間にインフォメーションディスプレイが装備され、インパネにはタッチスクリーン式のEntune車載マルチメディアシステムも装備される。ナビゲーションディスプレイはベースグレードでは6.1インチ、XLE以上のグレードでは8インチとなる。また、XLE以上のグレードにはドライバーイージースピーチと呼ばれる拡声機能が備わっており、運転席のマイクから後部座席のスピーカーに音声を送ることで、後部座席に座る子供たちをより効果的に叱ることができる。あるいは、正気かどうかはともかく、コストコで箱買いした荷室のオレオに怒鳴ることもできる。

新型ハイランダーの全8席の広さは向上している。先代モデルではストラット式リアサスペンションが採用されていたが、新型ではダブルウィッシュボーン式となり、ストラットタワーによる室内の突き出しがなくなったことで3列目シートが94mm幅広になっている。いまだに3列目は気に入らない人しか乗せたくない程度の広さだが、セカンドシートは前後スライドが可能なので、3列目にもある程度のレッグルームを確保することはできる。1列目シートのシートバックがスペース確保のために薄くなり、また各シートの位置がわずかに前方に変更されたため、3列目の後ろの荷室スペースは34%向上している。また、旧型に引き続いてバックドアのガラスが独立して開口する機構も採用されている。
外見はより装飾的になってはいるものの、新型ハイランダーも依然としてミニバンの代用として十分な車だし、トヨタもそれを意図している。実際、スーパーボウルの放送で流されたCMも、冒険的なものではなく、ファミリー向けの『マペット』をCMキャラクターとして用いていた(もっとも、フットボール選手のテリー・クルーズもCMに出演していたが)。この戦略は合理的だ。この車の売りは広さだし、「母親の車」かどうかは置いておいても、トヨタ自身この強みを台無しにしようとは思わなかったようだ。
2014 Toyota Highlander First Drive

トヨタは新型ハイランダーに「母親の車」というイメージを付けたくないようだ。ハイランダーは販売台数の多いクロスオーバーSUVだが、母親の車というイメージが付いてしまえばミニバン同様に売り上げは壊滅的となってしまうだろう。そのため、新型ハイランダーは男性の興味を引くため、より角張ったデザインとなっている。またフルサイズのタンドラを彷彿とさせるような大胆なフロントグリルが装着され、グリルにはレディ・ガガのようなメッキの「眉毛」が付いている。
ホイールも大型化され、ベースグレードでは17インチから18インチへと変わり、そしてそれが収まるホイールアーチもより筋肉質なものとなっている。新型モデルでは全幅は15mm、全長は69mm延長されているため、旧型ハイランダーよりもマッチョなスタイルになってはいるが、ハマーほど男心をくすぐるデザインには至っていない。
インテリアはダッシュボードやドアにより多くソフトな素材が用いられることで「アバロン化」されている。トヨタ自身が認めているとおり、韓国の自動車メーカーがミドルクラスクロスオーバーSUV市場の中でも低価格のモデルの販売で着々と伸びてきているため、ハイランダーは仕上がりや装備内容を向上することでより高級志向へとシフトし、わずかにレクサス RX350の領域へと足を踏み入れた。
また、トヨタいわく屋根やBピラー周辺を中心に剛性が高められているという。それ以外にも、防音構造のフロントガラスや厚いフロントダッシュパネルサイレンサーを採用し、アンダーカーペットサウンドデッドニングを施したことで、新型は静粛性が向上しているという。
別に面白い装備ではないのだが、便利なものとしては、助手席のグローブボックスの上から始まってセンターコンソール部分まで貫かれている収納ポケットがある。ここは携帯電話や駐車券、あるいは手錠などの小物をしまうのに便利だ。スライド式の蓋の付いたセンターコンソールボックスは深く、容量も24.5Lと多い。トヨタがデモとして350mL缶をここに詰め込んだところ、38本入れることができた。
エアコンの操作系はシンプルになり、サンルーフやステアリングヒーター、シートヒーター・クーラーも新たにオプション設定されている。また新型では助手席シートクッションエアバッグが追加されて8エアバッグとなり、ハイビーム警報、死角警報、リア車両接近警報、衝突警報、車線逸脱警報といった運転補助システムも備わっている。
新型モデルではタコメーターとスピードメーターの間にインフォメーションディスプレイが装備され、インパネにはタッチスクリーン式のEntune車載マルチメディアシステムも装備される。ナビゲーションディスプレイはベースグレードでは6.1インチ、XLE以上のグレードでは8インチとなる。また、XLE以上のグレードにはドライバーイージースピーチと呼ばれる拡声機能が備わっており、運転席のマイクから後部座席のスピーカーに音声を送ることで、後部座席に座る子供たちをより効果的に叱ることができる。あるいは、正気かどうかはともかく、コストコで箱買いした荷室のオレオに怒鳴ることもできる。

新型ハイランダーの全8席の広さは向上している。先代モデルではストラット式リアサスペンションが採用されていたが、新型ではダブルウィッシュボーン式となり、ストラットタワーによる室内の突き出しがなくなったことで3列目シートが94mm幅広になっている。いまだに3列目は気に入らない人しか乗せたくない程度の広さだが、セカンドシートは前後スライドが可能なので、3列目にもある程度のレッグルームを確保することはできる。1列目シートのシートバックがスペース確保のために薄くなり、また各シートの位置がわずかに前方に変更されたため、3列目の後ろの荷室スペースは34%向上している。また、旧型に引き続いてバックドアのガラスが独立して開口する機構も採用されている。
この車の心臓であるパワートレインは先代モデルからのキャリーオーバーとなる。エントリーグレードのLEには188PSの2.7L 4気筒エンジンが標準で搭載されるが、ほとんどのモデルには274PSの3.5L V6エンジンが搭載される。トランスミッションは6速ATで、マニュアルモードやスノーモード、ヒルスタートアシストが備わる。そのほかエコモードも付いており、これを使用するとスロットルレスポンスが鈍くなり、また燃費向上のためシフトアップのタイミングが早くなる。
最大牽引能力はV6モデルで2,270kgで、4WDはV6モデルのみにオプション設定される。このオンデマンド4WDシステムはスリップを検知して初めて後輪に駆動力を配分する。ただ、ロックモードが付いているためこれを使えば常時後輪に駆動力を送ることもできる。
4気筒モデルのEPA燃費は先代モデルと変わらずシティ燃費/ハイウェイ燃費で8.5km/L /10.6km/L、V6モデルではわずかに燃費が向上し、FFモデルで8.1km/L/10.6km/L、4WDモデルで7.7km/L/10.2km/Lとなる。11.5km/L/11.9km/Lを記録する3.5L V6の3モーター式4WDハイブリッドモデルも設定されるが、今回は試乗できなかった。
道路に出てみるとすぐにトヨタの静粛性対策が功を奏していることがはっきりと感じられた。新型では落ち着きが増し、また剛性感も高くなっていた。リアのダブルウィッシュボーンサスペンションはスペース効率が第一に考えられたものだが、ターンインでは軽くて応答性が高く、高速域ではいい具合に重くなってくれる可変ギアレシオステアリングとも相まって、操縦性も同時に向上している(より素人的な表現をすれば、駐車場や街を乗り回す際にはより正確で、高速道路では修正舵の必要性が少なくなっている)。また、高速域でも非常に安定している。FFモデルでは急加速時にトルクステアを感じることもあるが、それでもステアリングにフィードバックとして伝わってくるのは最小限だ。
ブレーキは微調整は容易だが、踏み始めの軽さに欠けている。新型ではボディがより安定し、また先代の浮くような感覚とは対称的に、路面の振動に揺すられるような感覚は減じられている。ただ、サウスカロライナ州チャールストンで行われた今回のプレス向け試乗会ではワインディングロードを走るような機会は与えられなかった。
外見はより装飾的になってはいるものの、新型ハイランダーも依然としてミニバンの代用として十分な車だし、トヨタもそれを意図している。実際、スーパーボウルの放送で流されたCMも、冒険的なものではなく、ファミリー向けの『マペット』をCMキャラクターとして用いていた(もっとも、フットボール選手のテリー・クルーズもCMに出演していたが)。この戦略は合理的だ。この車の売りは広さだし、「母親の車」かどうかは置いておいても、トヨタ自身この強みを台無しにしようとは思わなかったようだ。
2014 Toyota Highlander First Drive