英国「Auto Express」によるシュコダ・ファビア 1.2 TSIの試乗レポートを日本語で紹介します。


Fabia

シュコダはあらゆるモデルレンジで高齢化している。顧客の平均年齢は55歳で、これ以上の年齢の消費者も惹きつけているようだ。シュコダは新型ファビアでは、モデルを改良するとともに、より若い消費者への訴求を強めたいと考えているようだ。

若者に向けたアピールは外見に始まっている。新型ファビアからは先代モデルのようなずんぐりした印象はなくなり、より滑らかでアグレッシヴな外見となっている。これには横長のフロントグリルやヘッドランプが一役買っている。

天井はわずか3cm低くなっているだけなのだが、印象は大きく変わっている。2代目ファビアは少し背が高過ぎてどこか不格好だったのだが、新型である3代目ファビアはよりスポーティな印象となっている。

全高の低さは、車幅が広くなったことやホイールが大きくなったこととも相まって、道路での挙動にもいい影響を及ぼしている。旧型はコーナーではロールしがちだったし、足も柔らかすぎたのだが、新型モデルでは足が硬められてよりしっかりとした印象になっている。

タイトコーナーでは依然わずかにロールするし、少しばたつくこともある。それに、ステアリングはあくまで確実性重視で、心を奪うほどのものではない。それでも、新型は運転するのがより楽しい車になっている。エントリーグレードまで含めたすべてのグレードにシュコダのトルクベクタリングシステムが装備され、おかげで高速コーナーでより安心して走ることができる。

今回試乗した90PSを発揮する1.2L TSIエンジンを搭載するモデルは、2015年初頭にイギリスでファビアが発売される際、最量販となると想定されているモデルだ。0-100km/h加速は10.9秒をマークし、このエンジンはパワー不足を感じることもほとんどないし、このエンジンに組み合わせられる5速MTは滑らかで楽しいミッションだ。

風切り音やタイヤノイズもかなりよく抑えられており、エンジンの騒音もほとんど気にならない。アイドリングストップは標準装備で、軽量化もされているため、25.6km/Lの燃費と107g/kmのCO2排出量を実現している。

シュコダは新型ファビアにパーソナライズパッケージも用意している。ボディカラーは15種類、ルーフカラーは4種類設定され、ホイールの色も4種類設定され、他にもドアミラーのカラーを選択することができる。これはMINIから始まったトレンドで、シュコダもついに取り入れたようだ。

他のライバルに対してファビアが優位なのは依然として実用性だ。全長は短くなっているものの、室内空間や荷室スペースは拡大されている。実際、荷室スペースは300Lとクラス最大で、フォード・フィエスタの276Lやフォルクスワーゲン・ポロの280Lも圧倒する。

しかも、これはファビアの実用性の高さの一端にすぎない。シュコダ・ラピードには給油口カバーの部分に冬季に便利な窓ガラス用のスノースクレーパーが格納されているが、ファビアにはこれ以外にも様々な便利機能が付いている。フロントシートのサイドには携帯電話や鍵を収納できるネットが付いているし、ドアにはお菓子の包装紙などを捨てられるゴミ箱を装備することもできる。

装備や内装の仕上がりも向上されており、シュコダの上級モデルにも迫るレベルにある。この車にはMirrorLinkと呼ばれるシステムが付いており、スマートフォンを車に接続することで、アプリを介してダッシュボードのスクリーン上でスマートフォンの機能を使用できるようになる。

現在、MirrorLinkはAndroidの一部の端末にしか対応していないが、シュコダによると、2015年の中頃までにはAppleのCarPlayにも対応するという。この車にはオプションでもナビゲーションシステムが設定されていないため、ナビを使用するためにはこのようにスマートフォンを介するしかない。つまり、iPhoneの利用者はファビアがCarPlayに対応するまでの間、カーナビを使用するためには、ポータブルナビを買うか車載用スマートフォンホルダーを買う必要があるようだ。

残念だが、MirrorLinkはファビアの足を引っ張ることになりそうだ。見た目もよく、スマートで楽しいこの車は、その実、最新機器を使いこなせない人々を突き放している。


ファビアがさらなる進歩をしたことに疑問の余地はない。フォルクスワーゲングループの小型ハッチバックの中でもこの車は賢明な選択といえよう。この車は従来モデル同様、室内空間や機能性の面でライバルにアドバンテージがあるし、従来モデルよりも見た目も良くなり、運転も楽しくなっている。価格設定もおそらくは適切なものとなるだろうし、シュコダは新たな素晴らしいオールラウンダーを作り上げたと結論付けることができそうだ。


Skoda Fabia 1.2 TSI review