英国「Auto Express」による、メルセデス・マイバッハ S600の試乗レポートを日本語で紹介します。


S600


メルセデス・マイバッハ S600は他のどのSクラスよりも長く、背が高く、そして静粛性も高いSクラスのトップモデルであり、そしてこのモデルをもってマイバッハというブランドも復活している。マイバッハという名前の復活により、Sクラスは、ベントレー・フライングスパーやロールスロイス・ゴーストなどといった超高級車の領域に足を踏み入れるチャンスを得た。

超高級車というゴールに達するため、Sクラスにはトランクにマイバッハのブランドネームを表示するだけではもちろんなく、ベースモデルに対して大掛かりな変更が行われている。メルセデスいわく、この車は市販車で最も静かな車であり、あらゆる構造が、路面やタイヤ、風によるノイズを削減するために変更されているという。この目標を達成するため、ボディは強化され、前後のバルクヘッドには防音構造が追加され、そしてタイヤノイズを削減するために発泡タイヤが用いられている。

この結果、もとより静かだったメルセデス・ベンツ S600にさらなる落ち着きが加わり、165,700ポンドという価格を払える人々にも十分満足の行く出来になっていると思える。

また、もともと長かったロングホイールベースのSクラスからさらに207mmホイールベースを延長しており、十分に満足の行く室内空間になっている。これでも満足できない人には、数ヶ月以内にさらに上級のメルセデス・マイバッハ プルマンも発表される予定だ。

大富豪たちは、43.5度のリクライニング機構やシートヒーター・クーラー、マッサージ機構が備わった7,200ポンドという「格安」のファーストクラスシートでくつろぐことができる。それでも不満なら、2座の最高級シートの間に備わる冷蔵庫からヴィンテージのドン・ペリニヨンを取り出し、標準装備される銀のワイングラスに注いで楽しむこともできる。

interior

リアシートの住人が車内でシャンパンを飲んでいる姿を一般大衆に見られないよう、ブラインドが標準装備され、プライバシーを確保するためにリアドアの設計まで変更されている。

このように贅の限りを尽くすことによって重量もおよそ120kg増えているが、S600に搭載される6.0L V12ビターボエンジンは最高出力529PS、最大トルク84.6kgf·mを発揮するため、それでもやたらに速い。エンジンはこれ以上ないほどに静かで洗練されており、トランスミッションは6段をシルキースムーズに変速していく。

停止から100km/hまではわずか5秒しかかからないため、重要な会議を欠席する言い訳はできなくなってしまう。マイバッハらしさはすべて後席に注がれており、オーナーは言うまでもないがリアシートに座る。ただ、この車はドライバーにも優しい。運転席のマイクからリアスピーカーに音声を伝えることができるため、運転手がオーナーに話しかける際には声を上げる必要もない。

マイナスイオンやフレグランスが放出されることで車内の空気はフレッシュに保たれ、この車の静寂に飽きてしまったなら1,540W 24スピーカーという圧倒的なパフォーマンスを持つブルメスターのサウンドシステムによって車内はコンサートホールへと変貌する。

メルセデス・ベンツのまさしく頂点に立つこのモデルには、マイバッハという名前とともに考えうるあらゆる装備が備えられている。道路状況を感知して車両を制御するマジックボディコントロールにより路面のあらゆる衝撃はなきものとされ、驚異的な快適性が実現されている。

サスペンションやトランスミッションの特性を変更するスポーツモードも備わってはいるが、少し荒々しく、この車には不必要なものだ。ありとあらゆる安全装備や運転補助装備が備わっているため、後部座席に乗るのと同様に、運転するのも簡単だし穏やかだ。スペックやこの車に備わるありとあらゆるテクノロジーを考えれば、超高級車の中ではこの車は比較的お買い得のようにも思える。とはいえ、ブランド力ではロールスロイスやベントレーには及びそうにない。


Mercedes-Maybach S 600 review