中国車といえば、一般的に質感が低い、出来の悪い、そういった印象があるかと思います。全般的にはそれも事実ですが、それでも一部の中国車は進化しており、高い評価を受けているモデルもあ
ります。

今回は、チェリーブランドを展開する奇瑞汽車と、イスラエル・コーポレーションの合弁会社であるクオロスにより販売されるクオロス・3ハッチの、英国「Auto Express」による試乗レポートを日本語で紹介します。


3 hatch


中国の自動車メーカーは欧米市場には馴染んでいないが、新ブランドのクオロスは、欧州市場に最初に根付く自動車メーカーかもしれない。クオロスはまず世界的に人気のあるセグメントにターゲットを絞り、最初に発売したモデルは、コンパクトセダン、コンパクトSUV、コンパクトハッチバックの3台だ。この中でも、今回我々が試乗したのは、フォード・フォーカスのライバルにもなるファミリーハッチバックのクオロス・3ハッチだ。クオロスは現在スロバキアで展開しているが、ヨーロッパに本格進出するのはおそらく2016年頃となるだろう。

見た目は、面白みのないクオロス・3セダンよりは魅力的だが、目立つデザインとまでは言えない。セダンとはフロントバンパーが異なり、ハッチバックにはよりスポーティな印象の楕円形フォグランプが埋め込まれている。また、アルミホイールはセダンよりも1インチ大きく、デザインも違う。装備類もセダンより充実しており、トップグレードの「Elegance」にはキセノンヘッドランプが装備されている。

ハッチバックでは、ブラックのレザーシートにはホワイトの縁取りやステッチが施されており、ダッシュボードにはiPadのようなタッチスクリーンディスプレイが配されている。これはスマートフォンとすぐに接続することができるため、事前にアプリケーションを用いて目的地を設定することもできる。また、ソーシャルメディアと連動することもでき、現在地を友人に知らせることもできるし、タッチスクリーンはお馴染みのスワイプで操作できる。

interior

ホイールベースは2,690mmあるため、レッグルームは十分で、ヘッドルームも同様に十分ある。リアシートは分割可倒式で、トランクスルー機構も備わる。シートの配置は適切で、またラゲッジシェルフの位置が高いため、クラスでもトップクラスの403Lの荷室スペースを確保している。これはフォード・フォーカスよりも87L多い。

多くの中国車とは異なり、内装の仕上がりは高水準だ。ソフトなプラスチックや質感の高いレザーが多く用いられている。ただ1つ残念なのは、センターコンソールアームレストが操作中に指を挟みやすい構造となっている点だ。

クオロスはアイドリングストップ機構付きのエンジンを新規開発している。パワーユニットには1.6Lの自然吸気及びターボのガソリンエンジンのみが用意され、「Elegance」には158PSの1.6Lターボのみが搭載され、このエンジンにはデュアルクラッチトランスミッションが組み合わせられる。

エンジンはそれなりにパワフルではあるが、エンジンの排気量を考えると優秀とまでは言えない。ただ、クオロスによると、エンジンは性能よりも経済性を重視したチューニングになっているという。トランスミッションにはスポーツモードはなく、マニュアルモードにするとディスプレイには燃費性能を最大限に高めるシフトタイミングが表示される。ただ、燃費性能を求めるならオートモードにしておけばいい。

足回りは引き締められており、スポーティな印象だ。ただ、残念なことにステアリングは軽く、スポーティさはない。ただこれはクオロスがヨーロッパに本格参入する際には改善されそうだ。ハンドリングはよく、舗装の悪い道でも衝撃をしっかりと吸収する。防音性も高いため、室内は静かだ。

6エアバッグが装備され、2013年のユーロNCAPではスモールカークラスで最高評価を得ており、5つ星を獲得している。

結論を言えば、このハッチバックには十分な競争力が備わっている。見た目はそれほど突出してはいないが、別のパワートレインが追加されれば魅力も増すことだろう。ドアはしっかり閉まるし、内装の質感は高いし、クラスターのデザインも良く、この車には上質感がある。この車は中国製のドイツ車と言ってもいいくらいだ。


クオロス・3ハッチは、我々がこれまで運転してきた中でも最もいい中国車だ。インテリアには欧州車的な上質さがあり、実用的なレイアウトはセダンよりも魅力的だ。装備類が強みといえるが、見た目は地味すぎる。欧州への本格進出の際にディーゼルモデルも追加されれば、フォルクスワーゲン・ゴルフやフォード・フォーカスのお値打ちなライバルとなりうるだろう。


Qoros 3 review