シンガポール「sgCarMart」による、チェリー H5の試乗レポートを日本語で紹介します。


H5

チェリーは自動車の製造・販売をわずか10年間しか行っておらず、中国の中でも若い自動車メーカーだ。にもかかわらず、チェリーは今年、100万台という想定以上の生産台数を達成するほど好調だ。

チェリーはハッチバックやセダンからバンまで、およそ20車種をラインアップしている。この中でもバンの売り上げはこれまで芳しくなかったが、今後伸びることが予想されている。

今回我々が試乗したH5こそが、チェリーの販売台数を伸ばすために投入された上級バンだ。トヨタ・ハイエースやヒュンダイ・スタレックスといったライバルの存在により厳しい競争が予想されるが、チェリーはこの市場での成功に自信を持っているようだ。では、果たして本当にこの車は成功できるのだろうか。

rear

2010年8月に発売されたこの車は、トヨタ・ハイエースとそっくりだ。これについては、コピー車と批判するよりもむしろ、このメーカーがこれだけの浅い歴史の中でこれだけのデザインの車を作れたことに賛辞を送りたいくらいだ。事実、フロントフェイスはハイエースよりも滑らかでアグレッシヴな印象だ。外装部品の作りこみもよく、この14シーターの中国車には目を引かれる部分もある。リアに目を移すと、シンプルだがしっかりとしたデザインだ。チェリーのエンブレムが装着されたメッキパーツにはバックドアハンドルが隠れており、両サイドには一般的なデザインの赤いテールランプが配されている。H5のスタイリングについて文句を言いたくなるような点はなく、魅力的なデザインだとは言えないが、それでもまともで悪くないデザインだ。

一方、残念なことに、内装の質感やインテリアデザインはエクステリアデザインと比べると大きく見劣りしてしまう。グレーの大型ダッシュボードは安っぽく、まともに見えるのはせいぜいラジオくらいだ。これまでに乗ってきたどの車よりも酷い。ただ、多くの乗客を乗せるという点においては、この車に不足しているものはない。全長は5,410mあるため、リアスペースに12人もの乗客を容易に乗せることができる。また、窓が大きいため、ハイエースと比べても室内には開放感がある。快適性の面では、H5は高得点だ。フロントのスエードシートはソフトで座り心地がいいが、それ以上に快適なのは後部座席だ。後部座席はレザーシートで、レッグルームやヘッドルームも十分にある。ただ、シートはグレーで、どこか暗い印象を与える。

interior

2.0Lのインタークーラーターボエンジンはそれほど悪くなく、商用車としてなら十分に使える。ハンドルは非常に軽いが、直進性は高く、2tを超えるこの車を簡単に運転することができる。パワーやトルクではハイエースよりも明らかにパワフルで、最高出力172PS、最大トルク24.0kgf·mをマークするエンジンは高速道路でも追い越しをするのに十分なパワーを発揮する。ただ、80km/hを超えるとエンジンノイズやタイヤノイズが結構はっきりと聞こえてくる。この車のサスペンションは明らかにコンフォート寄りのセッティングになっており、路面の衝撃をしっかりと吸収して乗客に快適性をもたらしている。

チェリーは中国の自動車メーカーのトップ10に入るメーカーだが、ブランドイメージは非常に悪い。もしボディサイズよりも見た目にこだわるなら、H5は合わないだろう。確かにこの車のインテリアは他に類を見ないくらいに酷い。ただ、76,000シンガポールドルという価格を考えれば、この車には商用車として十分なスペースがあるし、考慮する価値はあるかもしれない。


Road Test - Chery H5 2.0 (M)