今回は、中国製の自動車の試乗レポートを紹介します。今回紹介するのは、中国奇瑞汽車が展開する自動車ブランド、チェリーのコンパクトハッチバック「J3」です。
チェリー・J3は、市場によってはチェリー・A3、チェリー・M11など、様々な名称で販売されているモデルで、デザインはピニンファリーナによって行われています。今回は、豪州「motoring.com.au」によるチェリー・J3の試乗レポートを日本語で紹介します。

中国製のチェリー・J3は激しい競争の最中にあるスモールカーセグメントに参戦する。それでも、車にかけるお金を可能な限り切り詰めようとしている人にとっては、この車の非常に低い価格設定は魅力的に映るのかもしれない。
現在、J3は種々の登録費用などを含めてもわずか14,990ドルで販売されている。同じくらいのクラスの日産・パルサー(別名: 2代目ティーダ)の価格が18,990ドルからで、これとは別途に登録料金などがかかることを考えれば、J3がバーゲンプライスだということは明らかだ。しかし、この車には価格相応以上の価値があるのだろうか。
この5ドアハッチバックを最初に見た時、デザインがちゃんと成熟しているという印象を受けた。しっかりと均衡がとれているし、シルバーのハイライトは目を引く。また、リアドアのドアハンドルはウインドウ後端に隠れるように配置されており、車に流れるような印象を与えている。
それに、データ上ではJ3には価格以上の価値がありそうだ。装備は十分備わっており、クルーズコントロールやクライメートコントロール、レザーマルチファンクションステアリング、CD/MP3/USB対応の6スピーカーオーディオシステムなどが装備されている。ただ、Bluetooth接続機能は標準ではついていないようだ。

エクステリア同様、インテリアも一見良さそうに見えるのだが、チープなプラスティックや使われている材質のバラエティの少なさにすぐにがっかりしてしまう。センターコンソールのレイアウトはよく考えられているのだが、デザイン的には何も考えられておらず、台無しだ。内装には統一感というものが全くない。中国メーカー特有の仕上がりの悪さや質感の低さがここで問題になってくる。ダッシュボードに備わっている収納スペースの蓋は薄っぺらだし、操作系のダイヤルはチープだし、ウインカー・ワイパーレバーはどう贔屓目に見ても価格相応の出来だ。また、荷室スペースのフロアの端には普通の車にはありえないようなギャップも見られた。
ただ、人間工学的にはJ3は競合モデルにも比肩できるレベルにある。シートは快適だし、センターコンソールやインパネの配置は分かりやすくて必要な場所には手が届きやすいし、収納スペースの配置も適切だ。快適性を阻害するような変な癖はこの車にはない。ただ、ステアリングの調節機構がないのは人間工学的にいただけない部分だ。また、これ以外にも良い点があり、ペダルフィールがしっかりとしていて、ブレーキもすぐにしっかりと効く。
可変バルブタイミング機構が備わる1.6Lの4気筒ガソリンエンジンが搭載され、最高出力126PS、最大トルク16.3kgf·mを発揮する。トランスミッションには5速MTと、そして初めてCVTが設定されており、今回の試乗車はCVTモデルだった。J3のCVTは典型的なCVT的性格を呈しており、エンジンサウンドはかなりやかましいのに実際に発揮されるパワーはそれほどではなく、ただ加速はリニアだし、十分な性能は発揮している。チェリーによると、J3の複合燃費は11.5km/Lだそうで、これはまったくもって競争力に欠ける数字だ。再びパルサーの例を出すと、こちらは1.8Lエンジンを搭載し、燃費は13.9km/Lとなる。

ただ、J3のステアリングの重さは適切で、自信を持って運転することができる。それを考えれば、フロント: マクファーソンストラット、リア: マルチリンクのサスペンションは路面の突き上げに対するいなし方があまりにも平凡で残念だ。
J3を運転していると、車との一体感というものがまったくもって欠けていると感じた。この車には車としての必要最低限のものしか備わっていない。
J3はまだANCAPの安全性評価を受けていないが、これまでの前例から言うと、チェリーのモデルはこういった試験では高く評価されることはない。ただ、J3にはESCが標準装備され、オーストラリアの安全基準には適合しており、従来のようにビクトリア州で販売できないということはない。この他、安全装備としてはパーキングセンサーやフロント・サイド・カーテンエアバッグ、ABS/EBDなどが装備され、全ての席が3点式シートベルトとなり、前席シートベルトにはプリテンショナーが備わる。ただ、後席中央ヘッドレストは省略されている。
競合モデルよりもおよそ4,000ドル安いことを考えると、価格だけを考えて購入する人にとってはこの車も選択肢に入ることだろう。ただ、安全性や製造品質には疑問が残り、果たしてオーストラリアのような成熟市場でJ3のような車が本当に受け入れられるものなのか、甚だ怪しいところだ。
Chery J3 2013: First Drive
チェリー・J3は、市場によってはチェリー・A3、チェリー・M11など、様々な名称で販売されているモデルで、デザインはピニンファリーナによって行われています。今回は、豪州「motoring.com.au」によるチェリー・J3の試乗レポートを日本語で紹介します。

中国製のチェリー・J3は激しい競争の最中にあるスモールカーセグメントに参戦する。それでも、車にかけるお金を可能な限り切り詰めようとしている人にとっては、この車の非常に低い価格設定は魅力的に映るのかもしれない。
現在、J3は種々の登録費用などを含めてもわずか14,990ドルで販売されている。同じくらいのクラスの日産・パルサー(別名: 2代目ティーダ)の価格が18,990ドルからで、これとは別途に登録料金などがかかることを考えれば、J3がバーゲンプライスだということは明らかだ。しかし、この車には価格相応以上の価値があるのだろうか。
この5ドアハッチバックを最初に見た時、デザインがちゃんと成熟しているという印象を受けた。しっかりと均衡がとれているし、シルバーのハイライトは目を引く。また、リアドアのドアハンドルはウインドウ後端に隠れるように配置されており、車に流れるような印象を与えている。
それに、データ上ではJ3には価格以上の価値がありそうだ。装備は十分備わっており、クルーズコントロールやクライメートコントロール、レザーマルチファンクションステアリング、CD/MP3/USB対応の6スピーカーオーディオシステムなどが装備されている。ただ、Bluetooth接続機能は標準ではついていないようだ。

エクステリア同様、インテリアも一見良さそうに見えるのだが、チープなプラスティックや使われている材質のバラエティの少なさにすぐにがっかりしてしまう。センターコンソールのレイアウトはよく考えられているのだが、デザイン的には何も考えられておらず、台無しだ。内装には統一感というものが全くない。中国メーカー特有の仕上がりの悪さや質感の低さがここで問題になってくる。ダッシュボードに備わっている収納スペースの蓋は薄っぺらだし、操作系のダイヤルはチープだし、ウインカー・ワイパーレバーはどう贔屓目に見ても価格相応の出来だ。また、荷室スペースのフロアの端には普通の車にはありえないようなギャップも見られた。
ただ、人間工学的にはJ3は競合モデルにも比肩できるレベルにある。シートは快適だし、センターコンソールやインパネの配置は分かりやすくて必要な場所には手が届きやすいし、収納スペースの配置も適切だ。快適性を阻害するような変な癖はこの車にはない。ただ、ステアリングの調節機構がないのは人間工学的にいただけない部分だ。また、これ以外にも良い点があり、ペダルフィールがしっかりとしていて、ブレーキもすぐにしっかりと効く。
可変バルブタイミング機構が備わる1.6Lの4気筒ガソリンエンジンが搭載され、最高出力126PS、最大トルク16.3kgf·mを発揮する。トランスミッションには5速MTと、そして初めてCVTが設定されており、今回の試乗車はCVTモデルだった。J3のCVTは典型的なCVT的性格を呈しており、エンジンサウンドはかなりやかましいのに実際に発揮されるパワーはそれほどではなく、ただ加速はリニアだし、十分な性能は発揮している。チェリーによると、J3の複合燃費は11.5km/Lだそうで、これはまったくもって競争力に欠ける数字だ。再びパルサーの例を出すと、こちらは1.8Lエンジンを搭載し、燃費は13.9km/Lとなる。

ただ、J3のステアリングの重さは適切で、自信を持って運転することができる。それを考えれば、フロント: マクファーソンストラット、リア: マルチリンクのサスペンションは路面の突き上げに対するいなし方があまりにも平凡で残念だ。
J3を運転していると、車との一体感というものがまったくもって欠けていると感じた。この車には車としての必要最低限のものしか備わっていない。
J3はまだANCAPの安全性評価を受けていないが、これまでの前例から言うと、チェリーのモデルはこういった試験では高く評価されることはない。ただ、J3にはESCが標準装備され、オーストラリアの安全基準には適合しており、従来のようにビクトリア州で販売できないということはない。この他、安全装備としてはパーキングセンサーやフロント・サイド・カーテンエアバッグ、ABS/EBDなどが装備され、全ての席が3点式シートベルトとなり、前席シートベルトにはプリテンショナーが備わる。ただ、後席中央ヘッドレストは省略されている。
競合モデルよりもおよそ4,000ドル安いことを考えると、価格だけを考えて購入する人にとってはこの車も選択肢に入ることだろう。ただ、安全性や製造品質には疑問が残り、果たしてオーストラリアのような成熟市場でJ3のような車が本当に受け入れられるものなのか、甚だ怪しいところだ。
Chery J3 2013: First Drive