米国「Car and Driver」による、フォード・ポリスインターセプターセダンおよびポリスインターセプターユーティリティの試乗レポートを日本語で紹介します。

インターセプターセダン(左)とインターセプターユーティリティ(右)
ニューヨークからニューオーリンズまで、警察とタクシートライバーの車には前席と後席を隔てる仕切り板以上の共通点がある。伝統的で頑丈なFRの大食らいだということだ。
ところが、黄色い車にしても白黒ツートンの車にしても、今後の行く末が案じられる。未だに米国のパトカーの70%を占める鉄の塊、もといフォード・クラウンヴィクトリアの生産が中止されたのだ。
フォードは、現代的構造をとり、低燃費のV6エンジンを搭載した4WD車のインターセプターセダンおよびインターセプターユーティリティを米国内の次期パトカーの主力車にしていくつもりのようだ。フォードはニューヨーククイーンズ区のシティ・フィールド球場において、普段ならばスピード違反で捕まる側の我々自動車メディアのライターに、パトカーのフロントシートに乗る機会を設けてくれた。それだけでなく、パトランプで遊ばせてもくれた。
フォードの15年ぶりの警察専用モデルはトーラスとエクスプローラーをベースとしている。それでもこの車たちをトーラスとかエクスプローラーとは呼ばないでほしい。フォードによると、ベース車からは大幅な変更が施されており、テストトラックや公道での試験には28ヶ月をかけ、ロサンゼルス郡保安局からの評価も受けつつ開発が行われたという。
パトカーに想定される過酷な使用環境に耐えるため、エンジンには独自の調整が施されている。インターセプターセダンに搭載される3.5L V6エンジンには可変バルブタイミング機構が備わり、2013年モデルのトーラスの3.5L車と同じく最高出力292PS、最大トルク35.1kgf·mを発揮する。V6 3.5L ツインターボのEcoBoostエンジンを搭載するモデルも存在し、トーラスSHOと同じく370PS/48.4kgf·mを発揮する。インターセプターユーティリティには3.7LのV6エンジンが搭載され、308PS/38.6kgf·mを発揮する。
エンジンのスペックがフォードの普通のモデルと何ら変わっていないところを見ると、デスクワーカーの巡査部長と同じくらいトロいように思えてしまう。ただ、クラウンヴィクトリアと比べるとブレーキの制動部分の面積が60%増加し、排熱性も53%向上しており、専用のブレーキローターやブレーキパッド、ピストンシール、ステンレススチール製ピストンが採用されている。それに、大型フロントグリルによりより多くの冷却用空気がベンチレーテッドローターに送られる。ラジエーターは一般向けのトーラスよりも50%大型化されており、補助用のオイルクーラーも装備される。
ショックアブソーバーやスプリングは強化されたものが用いられており、専用設計タイヤである18インチのグッドイヤーEagle RSは、65km/hで縁石に乗り上げてもタイヤやスチールホイールにダメージを与えないようになっている。また、120km/hで後ろから追突されても燃料を漏らすことはないそうだ。

インターセプターセダン
室内に目を移せば、6速ATは懐かさも感じるコラムシフトでの操作となり、このおかげでセンターコンソールにはコンピュータや様々な装備が配されている。シートはファブリックで、警官の大きなベルトに合うように設計されている。また、リアシートから容疑者にナイフで刺されないようにシートバックには防刃用のプレートが装着されている。オプション設定される防弾ガラスは、NIJ規格でレベルIIIの銃弾を防ぐという。ボディカラーには、ミシガン州のパトカーカラーであるブルーも含め、19種類が設定される。
イグニッションやトランクもしくはテールゲートのキーシリンダーは古臭く思えるかもしれないが、ここでコストカットをすることにより、警察官は他の武器や高価な装備にお金をかけられるというわけだ。ステアリングスイッチはパトランプやサイレン、その他の装備の操作用とすることもできる。ゴム製のフロアやビニール製のシートを採用しており、酔っぱらいを乗せて吐かれた時などにも素早く清掃することができる。フォードの警察車両開発部門のチーフエンジニアであるビル・グービング氏曰く、パトカーの後部座席の乗客は必ずしも清潔ではない、だそうだ。

インターセプターユーティリティ
また、燃費性能にもこだわられている。EPA基準のシティ/ハイウェイ燃費は、インターセプターセダンのV6モデルで7.7/11.1km/L、EcoBoostモデルで6.8/9.8km/L、インターセプターユーティリティの燃費は、6.8/9.4km/Lとなる。クラウンヴィクトリアと比べると、アイドリング時の燃費は35%ほど改善しており、これは警察にとって大きな利益となることだろう。一例として、カナダ オタワのパトカーは、10時間のシフトのうち、平均で6.7時間はアイドリング状態にあるという。
今回は、インターセプターを普通の車と同様に試乗することができた。試乗は従来型のクラウンヴィクトリアの白黒パトカーと一緒に行い、オートクロステストやスラロームテスト、制動テストを行った。
すでに生産終了となった、最後のパンサープラットフォームを用いた警察向けモデルであるクラウンヴィクトリアには驚かされた。この後輪駆動車は、V8 4.6Lエンジンを唸らせながら、まるで70年代の刑事ドラマのようにコースをタイヤを磨り減らしながら横滑りして走った。
これとは対照的に、21世紀の新型パトカーには容赦ないアンダーステアが伴い、トラクションが限界を超えるたびに、コースに置かれたオレンジコーンに前輪が迫っていった。私がクラウンヴィクトリアの方が運転するのが楽しかったことを伝えると、フォードの開発陣は畏縮しつつ、それでも新型インターセプターの方が0−160km/h加速や100−0km/h制動で大きく優れているし、操作性はよりバランスがとれていると伝えてきた。
上述したように、インターセプターセダンとインターセプターユーティリティは全車標準で4WDだが、いずれも前輪駆動車を注文することもできる。4WDモデルは、雪上や氷上などの低フリクション状況下では、AdvanceTracスタビリティコントロールシステムは路面状況に応じて前後トルク配分を0:100から100:0まで調節することができる。トラクションコントロールに加えて、インターセプターにはディスコ時代のクラウンヴィクトリアに対して大きなアドバンテージがある。長年スキップ・バーバー・レーシングスクールのインストラクターで、警察向けドライビングインストラクターも務めるドナルド・カッチョール氏によると、新型モデルはより速く、安全で、操作性も高く、このおかげで警察官は手元の資料を見たり、前方の状況を確認したりするのにより集中できるのだそうだ。また、どんな状況でも、現場に早く到着することが重要であり、この車は難なくそれをやってのけてくれるのだそうだ。

インターセプターユーティリティ
グービング氏がこれに付け加えて言うには、パトカーの本流はセダンだが、インターセプターユーティリティには追跡に適した高い走行性能だけでなく、広い室内空間や360kgの積載能力も備わっており、従来のセダンに取って代わるかもしれないという。また、インターセプターユーティリティはシボレー・タホや新たに登場する警察専用モデル、ダッジ・デュランゴ スペシャルサービスと競合することになるだろう。
生粋の警官たちはインターセプターがV8でないことを不満に思っている。ただ、パワーと経済性の両立のためにはそれも仕方ないことだろう。とはいえ、今回のテストではそれほど燃費性能の向上は見られなかったのだが。グービング氏いわく、ツインターボのEcoBoostモデルをもってすれば犯人追跡も容易で、ハイスピードのカーチェイスになる前に犯人を捕まえることができるのだそうだ。また、このため、ランボルギーニ乗りのカーチェイス好きにとってはインターセプターの導入は悪い知らせになるかもしれないとも付け加えた。
2011年11月にロサンゼルス郡保安局によって行われたテストでは、EcoBoostモデルのインターセプターセダンは、シボレー・インパラや新型シボレー・カプリスPPV、それに375PSを誇るV8ヘミエンジンを搭載するダッジ・チャージャー パースートといった警察向けモデルのライバルたちすべてを打ちのめした。0-100km/h加速は6.2秒をマークし、これはチャージャーよりもおよそ1秒速かった。また、カリフォルニア州フォンタナのオートクラブ・スピードウェイでは、32ラップで1ラップ平均2秒の差をつけた好タイムを記録し、また街中での追跡を想定したコースではチャージャーに4秒の差をつけて勝利している。
インターセプターに目をつけられてしまった不運なドライバーは免許証と車検証を提示する準備しておくべきだろう。
2012 Ford Police Interceptor / Interceptor Utility First Drive

インターセプターセダン(左)とインターセプターユーティリティ(右)
ニューヨークからニューオーリンズまで、警察とタクシートライバーの車には前席と後席を隔てる仕切り板以上の共通点がある。伝統的で頑丈なFRの大食らいだということだ。
ところが、黄色い車にしても白黒ツートンの車にしても、今後の行く末が案じられる。未だに米国のパトカーの70%を占める鉄の塊、もといフォード・クラウンヴィクトリアの生産が中止されたのだ。
フォードは、現代的構造をとり、低燃費のV6エンジンを搭載した4WD車のインターセプターセダンおよびインターセプターユーティリティを米国内の次期パトカーの主力車にしていくつもりのようだ。フォードはニューヨーククイーンズ区のシティ・フィールド球場において、普段ならばスピード違反で捕まる側の我々自動車メディアのライターに、パトカーのフロントシートに乗る機会を設けてくれた。それだけでなく、パトランプで遊ばせてもくれた。
フォードの15年ぶりの警察専用モデルはトーラスとエクスプローラーをベースとしている。それでもこの車たちをトーラスとかエクスプローラーとは呼ばないでほしい。フォードによると、ベース車からは大幅な変更が施されており、テストトラックや公道での試験には28ヶ月をかけ、ロサンゼルス郡保安局からの評価も受けつつ開発が行われたという。
パトカーに想定される過酷な使用環境に耐えるため、エンジンには独自の調整が施されている。インターセプターセダンに搭載される3.5L V6エンジンには可変バルブタイミング機構が備わり、2013年モデルのトーラスの3.5L車と同じく最高出力292PS、最大トルク35.1kgf·mを発揮する。V6 3.5L ツインターボのEcoBoostエンジンを搭載するモデルも存在し、トーラスSHOと同じく370PS/48.4kgf·mを発揮する。インターセプターユーティリティには3.7LのV6エンジンが搭載され、308PS/38.6kgf·mを発揮する。
エンジンのスペックがフォードの普通のモデルと何ら変わっていないところを見ると、デスクワーカーの巡査部長と同じくらいトロいように思えてしまう。ただ、クラウンヴィクトリアと比べるとブレーキの制動部分の面積が60%増加し、排熱性も53%向上しており、専用のブレーキローターやブレーキパッド、ピストンシール、ステンレススチール製ピストンが採用されている。それに、大型フロントグリルによりより多くの冷却用空気がベンチレーテッドローターに送られる。ラジエーターは一般向けのトーラスよりも50%大型化されており、補助用のオイルクーラーも装備される。
ショックアブソーバーやスプリングは強化されたものが用いられており、専用設計タイヤである18インチのグッドイヤーEagle RSは、65km/hで縁石に乗り上げてもタイヤやスチールホイールにダメージを与えないようになっている。また、120km/hで後ろから追突されても燃料を漏らすことはないそうだ。

インターセプターセダン
室内に目を移せば、6速ATは懐かさも感じるコラムシフトでの操作となり、このおかげでセンターコンソールにはコンピュータや様々な装備が配されている。シートはファブリックで、警官の大きなベルトに合うように設計されている。また、リアシートから容疑者にナイフで刺されないようにシートバックには防刃用のプレートが装着されている。オプション設定される防弾ガラスは、NIJ規格でレベルIIIの銃弾を防ぐという。ボディカラーには、ミシガン州のパトカーカラーであるブルーも含め、19種類が設定される。
イグニッションやトランクもしくはテールゲートのキーシリンダーは古臭く思えるかもしれないが、ここでコストカットをすることにより、警察官は他の武器や高価な装備にお金をかけられるというわけだ。ステアリングスイッチはパトランプやサイレン、その他の装備の操作用とすることもできる。ゴム製のフロアやビニール製のシートを採用しており、酔っぱらいを乗せて吐かれた時などにも素早く清掃することができる。フォードの警察車両開発部門のチーフエンジニアであるビル・グービング氏曰く、パトカーの後部座席の乗客は必ずしも清潔ではない、だそうだ。

インターセプターユーティリティ
また、燃費性能にもこだわられている。EPA基準のシティ/ハイウェイ燃費は、インターセプターセダンのV6モデルで7.7/11.1km/L、EcoBoostモデルで6.8/9.8km/L、インターセプターユーティリティの燃費は、6.8/9.4km/Lとなる。クラウンヴィクトリアと比べると、アイドリング時の燃費は35%ほど改善しており、これは警察にとって大きな利益となることだろう。一例として、カナダ オタワのパトカーは、10時間のシフトのうち、平均で6.7時間はアイドリング状態にあるという。
今回は、インターセプターを普通の車と同様に試乗することができた。試乗は従来型のクラウンヴィクトリアの白黒パトカーと一緒に行い、オートクロステストやスラロームテスト、制動テストを行った。
すでに生産終了となった、最後のパンサープラットフォームを用いた警察向けモデルであるクラウンヴィクトリアには驚かされた。この後輪駆動車は、V8 4.6Lエンジンを唸らせながら、まるで70年代の刑事ドラマのようにコースをタイヤを磨り減らしながら横滑りして走った。
これとは対照的に、21世紀の新型パトカーには容赦ないアンダーステアが伴い、トラクションが限界を超えるたびに、コースに置かれたオレンジコーンに前輪が迫っていった。私がクラウンヴィクトリアの方が運転するのが楽しかったことを伝えると、フォードの開発陣は畏縮しつつ、それでも新型インターセプターの方が0−160km/h加速や100−0km/h制動で大きく優れているし、操作性はよりバランスがとれていると伝えてきた。
上述したように、インターセプターセダンとインターセプターユーティリティは全車標準で4WDだが、いずれも前輪駆動車を注文することもできる。4WDモデルは、雪上や氷上などの低フリクション状況下では、AdvanceTracスタビリティコントロールシステムは路面状況に応じて前後トルク配分を0:100から100:0まで調節することができる。トラクションコントロールに加えて、インターセプターにはディスコ時代のクラウンヴィクトリアに対して大きなアドバンテージがある。長年スキップ・バーバー・レーシングスクールのインストラクターで、警察向けドライビングインストラクターも務めるドナルド・カッチョール氏によると、新型モデルはより速く、安全で、操作性も高く、このおかげで警察官は手元の資料を見たり、前方の状況を確認したりするのにより集中できるのだそうだ。また、どんな状況でも、現場に早く到着することが重要であり、この車は難なくそれをやってのけてくれるのだそうだ。

インターセプターユーティリティ
グービング氏がこれに付け加えて言うには、パトカーの本流はセダンだが、インターセプターユーティリティには追跡に適した高い走行性能だけでなく、広い室内空間や360kgの積載能力も備わっており、従来のセダンに取って代わるかもしれないという。また、インターセプターユーティリティはシボレー・タホや新たに登場する警察専用モデル、ダッジ・デュランゴ スペシャルサービスと競合することになるだろう。
生粋の警官たちはインターセプターがV8でないことを不満に思っている。ただ、パワーと経済性の両立のためにはそれも仕方ないことだろう。とはいえ、今回のテストではそれほど燃費性能の向上は見られなかったのだが。グービング氏いわく、ツインターボのEcoBoostモデルをもってすれば犯人追跡も容易で、ハイスピードのカーチェイスになる前に犯人を捕まえることができるのだそうだ。また、このため、ランボルギーニ乗りのカーチェイス好きにとってはインターセプターの導入は悪い知らせになるかもしれないとも付け加えた。
2011年11月にロサンゼルス郡保安局によって行われたテストでは、EcoBoostモデルのインターセプターセダンは、シボレー・インパラや新型シボレー・カプリスPPV、それに375PSを誇るV8ヘミエンジンを搭載するダッジ・チャージャー パースートといった警察向けモデルのライバルたちすべてを打ちのめした。0-100km/h加速は6.2秒をマークし、これはチャージャーよりもおよそ1秒速かった。また、カリフォルニア州フォンタナのオートクラブ・スピードウェイでは、32ラップで1ラップ平均2秒の差をつけた好タイムを記録し、また街中での追跡を想定したコースではチャージャーに4秒の差をつけて勝利している。
インターセプターに目をつけられてしまった不運なドライバーは免許証と車検証を提示する準備しておくべきだろう。
2012 Ford Police Interceptor / Interceptor Utility First Drive
