米国「Motor Trend」によるリンカーン MKZの試乗レポートを日本語で紹介します。

「フォードの焼き直し」という表現はリンカーン車の試乗記事であまりにもよく見かける批判的な表現だが、それも無理もないことだ。新型MKZはそんな評判を改めようと躍起になって開発されたようだが、実際にフォードの上級版以上のものができているのだろうか。
その答えは「かなり」だ。以前試乗したモデルは、今回試乗したモデルと同じく、最高出力240PS、最大トルク37.3kgf·mを発揮する4気筒2.0Lターボエンジンを搭載し、6速ATが組み合わせられた4WDモデルだった。ただ、今回のモデルには純正タイヤのミシュラン プライマシーMXM4が装着されている。装備内容もわずかに異なっているが、以前の試乗車よりも8kg軽い程度なので大した差はない。ということは、大して変わらなくて然るべきではないだろうか。
ところが実際はそうではなかった。0-100km/h加速には7.2秒を要し、0-400m加速は15.5秒(144km/h)だった。それ以外の数値も同様に悪くなっていた。100km/hからの停止距離は35.1mとなり、スキッドパッド試験の結果は平均0.85Gまで落ち込んだ。8の字コースでも予想通り苦戦し、27.3秒を平均0.63Gで記録した。

もう1台、言及していない車がある。フォード・フュージョンだ。同じ2.0Lターボエンジンを搭載した4WD車で、MKZよりも100kg以上軽く、0-100km/h加速は6.8秒で、0-400m加速は15.1秒で、147km/hでゴールしている。停止距離はわずかに長く、35.7mとなり、スキッドパッドの結果はあまり変わらず平均0.84Gだった。8の字コースではMKZに勝り、平均0.64Gで27.2秒を記録した。
MKZが輝けるカテゴリーがあるとすれば、それはハイブリッドだ。言うまでもなく、これはほとんどライバルがいないからだ。MKZハイブリッドは最高出力143PS、最大トルク17.8kgf·mを発揮する4気筒2.0Lエンジンにモーターが組み合わせられ、システム合計出力は191PSとなっている。0-100km/h加速は8.8秒、0-400m加速は16.7秒で、137km/hでゴールしている。ハイブリッドモデルは前輪のみで駆動し、トランスミッションはCVTだ。停止距離は36.3mと少し長く、ハンドリングはほとんど変わらず、スキッドパッド試験では平均0.84Gを記録し、8の字コースでは平均0.60Gで27.6秒を記録している。
直接的なライバルはレクサス ES300hだが、直線ではMKZに圧勝し、0-100km/h加速では1秒以上、0-400m加速でも同じくらいの差をつけている。ただ、ブレーキ性能やコーナリング性能はMKZのほうが勝っている。それに、EPA基準の燃費ではMKZのほうが優れており、2km/Lはリードしている。フルハイブリッドのライバルでは他にインフィニティ Q50がある(マイルドハイブリッドのビュイック・リーガルは除外する)がこれはV6エンジンを搭載しており、燃費以外のあらゆる面でMKZを圧倒している。とはいえ、これは公平な比較だろう。
では、フュージョンハイブリッドとは公平な比較ができるだろうか。それはその通りだろう。フュージョンハイブリッドはMKZよりも速く、ブレーキ性能も高く、それに燃費性能もいい。ただ、MKZは優れたグリップ性能によってコーナリング性能ではフュージョンハイブリッドに勝っている。
これまで言及しなかったが、決定的な比較すべき数値がある。価格だ。MKZは4気筒ターボおよびハイブリッドモデルが36,820ドルからの価格設定となり、4WDモデルとなると38,710ドルからになる。また、V6エンジン搭載モデルは1,230ドル高くなる。フュージョンは、言うまでもないだろうがこれよりも安い。また、今回ライバルとして挙げたインフィニティ Q50やレクサス ES300hもMKZよりも数百ドルから数千ドル程度安い。
となると、MKZを選ぶ理由というものが見つからない。個人的には、別にこの車が悪い車だと言っているわけではない。実際、走りもいいし、ハイブリッド以外は室内は静かだ。ハイブリッドはエンジンが始動するとエンジンノイズが他のモデルよりもうるさい。また、V6搭載の4WDモデルでも110km/h以上でノイズが聞こえてきたが、これは試乗車固有のものかもしれない。ハイブリッド以外の体感加速はそれなりによく、街中では十分だし、高速道路でストレスを感じることもない。

フロントシートのスペースは十二分にある。一方でリアシートは、オプションで設定される巨大なサンルーフが装備されていなくても私の平均的な175cmの身長でも天井に髪がついてしまう。この巨大なサンルーフは全開にするとただでさえ小さかったリアガラスが半分隠れてしまい、後方視界が犠牲になってしまう。
ナビゲーションシステムのMyLincolnはMyFordに薄皮をかぶせただけのものだが、ちゃんと使える。ハイブリッドモデルの計器類はフュージョンハイブリッドのものと共通で、特別感が削がれてしまう。センタークラスターに配される押しボタン式の変速システムはセンターコンソールにスペースの余裕を許しており、これと同じことをしているメーカーは他にはアストンマーチンしかない。アストンマーチンと同じなんて凄いじゃないか。
全体的に、MKZは悪い車ではない。特に、祖父母が街中で使うだけの車として検討しているのならばなんの問題もない。静かだし、フロントシートは快適だし、燃費もいいし、ハンドリングもいい。ただ、問題はライバルに比べて競争力が無いということだ。また、この車はいい車ではあるが素晴らしい車とはいえない。
First Test: 2013 Lincoln MKZ Full Line

「フォードの焼き直し」という表現はリンカーン車の試乗記事であまりにもよく見かける批判的な表現だが、それも無理もないことだ。新型MKZはそんな評判を改めようと躍起になって開発されたようだが、実際にフォードの上級版以上のものができているのだろうか。
昨年末にすでに我々は2.0LのEcoBoostエンジンを搭載する4WDモデルの試乗を行っている。ただ、その試乗車はなぜかミシュランパイロットスーパースポーツなどという当時市販モデルにはオプションでも装着されていなかったはずのハイパフォーマンスタイヤを装着していた。現在ではサマータイヤハンドリングパッケージにこのタイヤが含まれるようになったようだが、実際のところは公式サイトなどを見てもタイヤの銘柄までは明白になっていない。
詐欺まがいのそんなタイヤのお陰で0-100km/h加速は6.6秒という驚異的な数字をマークし、0-400m加速では15秒ジャスト(147km/h)を記録し、また100km/hからの停止距離は32.3mを記録している。この停止距離はフォード・マスタングGTよりおよそ0.3m短い。スキッドパッドテストでは平均で0.91Gを記録し、我々の設定した8の字コースでは平均0.63Gで、26.5秒のタイムを記録した。ここで浮かんでくる疑問が、この非標準タイヤがどれほどこの数値を良いもに変えたのか、ということだ。
その答えは「かなり」だ。以前試乗したモデルは、今回試乗したモデルと同じく、最高出力240PS、最大トルク37.3kgf·mを発揮する4気筒2.0Lターボエンジンを搭載し、6速ATが組み合わせられた4WDモデルだった。ただ、今回のモデルには純正タイヤのミシュラン プライマシーMXM4が装着されている。装備内容もわずかに異なっているが、以前の試乗車よりも8kg軽い程度なので大した差はない。ということは、大して変わらなくて然るべきではないだろうか。
ところが実際はそうではなかった。0-100km/h加速には7.2秒を要し、0-400m加速は15.5秒(144km/h)だった。それ以外の数値も同様に悪くなっていた。100km/hからの停止距離は35.1mとなり、スキッドパッド試験の結果は平均0.85Gまで落ち込んだ。8の字コースでも予想通り苦戦し、27.3秒を平均0.63Gで記録した。
MKZはスポーツセダンとは称されていないものの、他のモデルとパフォーマンスを比較してみる価値はある。実際のところ、我々が行ったテストの数値は同クラスのモデルと比べるとかなり劣っており、ミシュランのスーパースポーツを履いたモデルの数値で比較しても多くのモデルに劣る。
最近のテストを見れば、アキュラ TSXのV6モデルだけがスキッドパッド試験の数値で劣っており、0-100km/h加速や0-400m加速でこの車に劣っている車といえば、すでに廃止されたインフィニティ G25(日本名: V36型日産 スカイライン 250GT)くらいだ。もう販売されていない先代レクサス IS250も0-100km/h加速ではMKZに劣り、0-400km/h加速も0.1秒遅かった。
アキュラ TSX V6やインフィニティ G25、それにボルボ S60 T-5は0-100km/hからの停止距離でMKZに負けた。いずれにしろ、MKZはアウディ A4クワトロの2.0LターボやBMW 328i、ビュイック・リーガルGS、キャデラック ATS 2.0Lターボのいずれにも性能で劣っていた。また、現行レクサス IS250の加速タイムは旧型モデルとほとんど一緒なので今回は省略し、またインフィニティ Q50(日本名: スカイライン)には2L級のモデルが米国仕様から廃止されたため、比較は行っていない。4気筒のアキュラ TSXにだけはコーナリング性能やブレーキ性能で勝ってはいるものの、それでも加速では劣っている。
MKZの他のモデルの数値は良さそうだ。最高出力304PS、最大トルク38.3kgf·mを発揮するオプションの3.7L V6エンジンを搭載する4WDモデルの加速タイムはなかなかいい。0-100km/h加速は6.4秒で、0-400m加速は14.7秒かかり、154km/hでゴールした。100km/hからの停止距離は2.0Lモデルと同じく3.5秒だったが、スキッドパッドと8の字コースの結果は2.0Lモデルに劣り、前者の結果は平均で0.83G、後者の結果は27.4秒で、平均は0.63Gだった。
V6エンジンはわずか1,230ドルの追加で選択できるので、直線加速を愛するのならばこれを払う価値は十分にあるだろう。言うまでもないかもしれないが、それでも同クラスのBMW 328iを含め、ATSやS60、その他様々な同クラスのV6モデルにはいまだに劣っている。レクサス ES350は、加速ではMKZに勝るものの、ブレーキ性能やスキッドパッド試験、8の字コースでの結果はMKZに劣っている。それだけだ。

もう1台、言及していない車がある。フォード・フュージョンだ。同じ2.0Lターボエンジンを搭載した4WD車で、MKZよりも100kg以上軽く、0-100km/h加速は6.8秒で、0-400m加速は15.1秒で、147km/hでゴールしている。停止距離はわずかに長く、35.7mとなり、スキッドパッドの結果はあまり変わらず平均0.84Gだった。8の字コースではMKZに勝り、平均0.64Gで27.2秒を記録した。
MKZが輝けるカテゴリーがあるとすれば、それはハイブリッドだ。言うまでもなく、これはほとんどライバルがいないからだ。MKZハイブリッドは最高出力143PS、最大トルク17.8kgf·mを発揮する4気筒2.0Lエンジンにモーターが組み合わせられ、システム合計出力は191PSとなっている。0-100km/h加速は8.8秒、0-400m加速は16.7秒で、137km/hでゴールしている。ハイブリッドモデルは前輪のみで駆動し、トランスミッションはCVTだ。停止距離は36.3mと少し長く、ハンドリングはほとんど変わらず、スキッドパッド試験では平均0.84Gを記録し、8の字コースでは平均0.60Gで27.6秒を記録している。
直接的なライバルはレクサス ES300hだが、直線ではMKZに圧勝し、0-100km/h加速では1秒以上、0-400m加速でも同じくらいの差をつけている。ただ、ブレーキ性能やコーナリング性能はMKZのほうが勝っている。それに、EPA基準の燃費ではMKZのほうが優れており、2km/Lはリードしている。フルハイブリッドのライバルでは他にインフィニティ Q50がある(マイルドハイブリッドのビュイック・リーガルは除外する)がこれはV6エンジンを搭載しており、燃費以外のあらゆる面でMKZを圧倒している。とはいえ、これは公平な比較だろう。
では、フュージョンハイブリッドとは公平な比較ができるだろうか。それはその通りだろう。フュージョンハイブリッドはMKZよりも速く、ブレーキ性能も高く、それに燃費性能もいい。ただ、MKZは優れたグリップ性能によってコーナリング性能ではフュージョンハイブリッドに勝っている。
これまで言及しなかったが、決定的な比較すべき数値がある。価格だ。MKZは4気筒ターボおよびハイブリッドモデルが36,820ドルからの価格設定となり、4WDモデルとなると38,710ドルからになる。また、V6エンジン搭載モデルは1,230ドル高くなる。フュージョンは、言うまでもないだろうがこれよりも安い。また、今回ライバルとして挙げたインフィニティ Q50やレクサス ES300hもMKZよりも数百ドルから数千ドル程度安い。
となると、MKZを選ぶ理由というものが見つからない。個人的には、別にこの車が悪い車だと言っているわけではない。実際、走りもいいし、ハイブリッド以外は室内は静かだ。ハイブリッドはエンジンが始動するとエンジンノイズが他のモデルよりもうるさい。また、V6搭載の4WDモデルでも110km/h以上でノイズが聞こえてきたが、これは試乗車固有のものかもしれない。ハイブリッド以外の体感加速はそれなりによく、街中では十分だし、高速道路でストレスを感じることもない。

フロントシートのスペースは十二分にある。一方でリアシートは、オプションで設定される巨大なサンルーフが装備されていなくても私の平均的な175cmの身長でも天井に髪がついてしまう。この巨大なサンルーフは全開にするとただでさえ小さかったリアガラスが半分隠れてしまい、後方視界が犠牲になってしまう。
ナビゲーションシステムのMyLincolnはMyFordに薄皮をかぶせただけのものだが、ちゃんと使える。ハイブリッドモデルの計器類はフュージョンハイブリッドのものと共通で、特別感が削がれてしまう。センタークラスターに配される押しボタン式の変速システムはセンターコンソールにスペースの余裕を許しており、これと同じことをしているメーカーは他にはアストンマーチンしかない。アストンマーチンと同じなんて凄いじゃないか。
全体的に、MKZは悪い車ではない。特に、祖父母が街中で使うだけの車として検討しているのならばなんの問題もない。静かだし、フロントシートは快適だし、燃費もいいし、ハンドリングもいい。ただ、問題はライバルに比べて競争力が無いということだ。また、この車はいい車ではあるが素晴らしい車とはいえない。
First Test: 2013 Lincoln MKZ Full Line
