北米仕様のオデッセイは、日本仕様とは別設計で1回り以上大きく、かつては日本で「ラグレイト」の名称で販売されたこともありました。
今回は、カナダ「Driving」による、北米仕様オデッセイの試乗レポートを日本語で紹介します。

ホッケープレイヤーや週末にキャンプをする家族にとって最適なピープル・ムーバーとはどういうものだろうか。たくさんの子供達をサッカーに送り迎えしたり、祖父母を休日のディナーに連れて行ったり、新しく買った60インチの大画面テレビを運ぶためには、どんな車を使えばいいだろうか。
完璧なその回答は、大きくて、乗り降りがしやすく、そして燃費がいい車だ。さらに言えば、乗用車のように運転でき、バンのように荷物を運び、高級車のような室内であればなお良い。それに、ロングドライブには最高のエンターテイメントシステムも必要だし、多くの安全装備に守られている必要もある。そしてこの条件をほとんど完璧に満たした車こそ、ホンダ・オデッセイだ。
残念なことに、今やミニバンに対する世間の評価は最悪だ。私は何度となく新しく買う車を何にすればいいか問われることがある。そんな時の典型的なリクエストは、「たくさん物が積める実用的な車がいい」なのだが、「ミニバンは絶対にナシで」と付け加えられるのだ。
ミニバンに対して、車の機能しか考えていないサッカーママのための機能的でつまらない車だというステレオタイプが蔓延っているのは実に残念だ。私の知る限り、女性を「サッカーママ」と呼称するのは相当な侮辱で、子供に対し、甘やかされマナーもなっていないと評するよりも屈辱だろう。
2014年モデルとなり、ホンダ・オデッセイには素晴らしい改良が加えられた。一番大きなトピックはそれまで最上級グレードにしか設定されなかった6速ATが全グレードに標準装備されたことだ。エクステリアデザインは判別が難しいほどに変わっていないが、その裏では、スチールのエンジンフードとフロントフェンダーが軽量なアルミ製に変更されている。また、荷室スペースの左側にはホンダいわく「世界初」の車載掃除機が搭載されている。ただ、たしかに世界初なのかもしれないが、例えばロールス・ロイスの一部モデルのドアに格納される車載傘などと比べると、あまり魅力的には思えない。

実用性においては、ミニバンの例に漏れず、オデッセイも人気のSUVを圧倒する。フロアやシートの位置はSUVよりも低く、そして車幅も広く、パワースライドドアは乗り降りのしやすさに貢献している(特に、子どもやお年寄りなどにはありがたいだろう)。スライドドアはスーパーの狭い駐車場などでも活躍するだろうし、室内高が高いことにより荷物をたくさん載せることができ、マウンテンバイクや家具などもやすやす載せることができるだろう。
今回の試乗車は最上級グレードの「Touring」で、あらゆる装備が満載だった。いくつか例を挙げれば、カーナビに16.2インチの後部座席用DVDスクリーン、650Wの12スピーカーオーディオ、パノラミックルーフ、ブラインドスポットシステム、バックカメラなどが装備される。安全装備としては、衝突警報や車線逸脱警報なども標準装備される。
ボディサイズは大きいが、運転は楽だ。シボレー・タホやフォード・フレックスなどといったフルサイズSUVとほとんど変わらない全長でありながら、視界は全方位にわたってよく、それにブラインドスポットウォーニングシステムがしっかりと作動してくれる。全車に標準装備されるバックモニターは明るくて大きなディスプレイに表示され、駐車警報システムも装備されているため、駐車場でもこれだけ大きな車を取り回すのにそれほど苦労することはない。
最近運転したSUVと比べても、トラック的なSUVよりもオデッセイのほうが日常運転するには適している。キーレスエントリーやリモートスイッチ付パワースライドドアは買い物の荷物で手がふさがっている時に便利だ。
3列目もアクセスしやすく、レッグルームも驚くほど良い。パワーテールゲートも装備されているし、3列目シートはストラップを引っ張るだけで分割可倒となり、フルフラットな荷室スペースができあがる。
搭載される3.5L V6エンジンは実用的ないいエンジンだ。スムーズだし、停止時からの加速もいいし、パワーも十分だ。251PSのV6エンジンはホンダらしく中回転域(4,800rpmでトルクピークを迎える)で最も輝き、エンジンを回すほどに車も活き活きとしてくる。このエンジンには可変シリンダーシステム (VCM) が採用されており、気筒休止により燃費が節約できる。カタログ燃費はダッジ・グランドキャラバンやキア・セドナ、日産・クエスト(日本名: エルグランド)、トヨタ・シエナなどといったV6エンジンを搭載するライバルよりも優れており、シティ燃費9.2km/L、ハイウェイ燃費14.1km/Lとなかなかいい。
これだけ大きなオデッセイでも、運転がしやすく、運転感覚は乗用車ライクなのだが、せっかくならステアフィールももっと良くして欲しい。また、この車はしっかりしており、安定感もあるが、ホンダらしいスポーティなDNAは感じられない。

運転席の使い勝手もいい。高さ調節機構付きのアームレストが装備されており、特にロングドライブに活躍する。インパネは大きくて使いやすく、フロントシートの天井には凸面鏡が備え付けられており、フロントシート(恐らく乗るのは父親や母親だろう)から後部座席を監視することもできる。巨大なセンターコンソールにはカメラバッグを置くのにも使える広くて平らなスペースがある。
今回の試乗は極寒の最中に行った。朝の気温は-28℃で、この環境でオデッセイはいくつかの欠点を露呈した。室内が広いため、暖房が効くためには時間がかかり、シートヒーターもあまり有用ではなかった。また、極寒の環境下で氷の上に乗り上げた時は、サスペンションのノイズが想像以上に大きかった。
けれど、私はこのオデッセイを気に入った。ファミリーユースに最適なピープルムーバーだし、ビジネスにも使えそうだ。今回の試乗車は47,990カナダドルと高価な最上級グレードだが、29,900カナダドルから7グレードが設定されているため、予算に合う最適なグレードを選ぶことができる。実にお薦めだ。
Review: 2014 Honda Odyssey Touring
今回は、カナダ「Driving」による、北米仕様オデッセイの試乗レポートを日本語で紹介します。

ホッケープレイヤーや週末にキャンプをする家族にとって最適なピープル・ムーバーとはどういうものだろうか。たくさんの子供達をサッカーに送り迎えしたり、祖父母を休日のディナーに連れて行ったり、新しく買った60インチの大画面テレビを運ぶためには、どんな車を使えばいいだろうか。
完璧なその回答は、大きくて、乗り降りがしやすく、そして燃費がいい車だ。さらに言えば、乗用車のように運転でき、バンのように荷物を運び、高級車のような室内であればなお良い。それに、ロングドライブには最高のエンターテイメントシステムも必要だし、多くの安全装備に守られている必要もある。そしてこの条件をほとんど完璧に満たした車こそ、ホンダ・オデッセイだ。
残念なことに、今やミニバンに対する世間の評価は最悪だ。私は何度となく新しく買う車を何にすればいいか問われることがある。そんな時の典型的なリクエストは、「たくさん物が積める実用的な車がいい」なのだが、「ミニバンは絶対にナシで」と付け加えられるのだ。
ミニバンに対して、車の機能しか考えていないサッカーママのための機能的でつまらない車だというステレオタイプが蔓延っているのは実に残念だ。私の知る限り、女性を「サッカーママ」と呼称するのは相当な侮辱で、子供に対し、甘やかされマナーもなっていないと評するよりも屈辱だろう。
2014年モデルとなり、ホンダ・オデッセイには素晴らしい改良が加えられた。一番大きなトピックはそれまで最上級グレードにしか設定されなかった6速ATが全グレードに標準装備されたことだ。エクステリアデザインは判別が難しいほどに変わっていないが、その裏では、スチールのエンジンフードとフロントフェンダーが軽量なアルミ製に変更されている。また、荷室スペースの左側にはホンダいわく「世界初」の車載掃除機が搭載されている。ただ、たしかに世界初なのかもしれないが、例えばロールス・ロイスの一部モデルのドアに格納される車載傘などと比べると、あまり魅力的には思えない。

実用性においては、ミニバンの例に漏れず、オデッセイも人気のSUVを圧倒する。フロアやシートの位置はSUVよりも低く、そして車幅も広く、パワースライドドアは乗り降りのしやすさに貢献している(特に、子どもやお年寄りなどにはありがたいだろう)。スライドドアはスーパーの狭い駐車場などでも活躍するだろうし、室内高が高いことにより荷物をたくさん載せることができ、マウンテンバイクや家具などもやすやす載せることができるだろう。
今回の試乗車は最上級グレードの「Touring」で、あらゆる装備が満載だった。いくつか例を挙げれば、カーナビに16.2インチの後部座席用DVDスクリーン、650Wの12スピーカーオーディオ、パノラミックルーフ、ブラインドスポットシステム、バックカメラなどが装備される。安全装備としては、衝突警報や車線逸脱警報なども標準装備される。
ボディサイズは大きいが、運転は楽だ。シボレー・タホやフォード・フレックスなどといったフルサイズSUVとほとんど変わらない全長でありながら、視界は全方位にわたってよく、それにブラインドスポットウォーニングシステムがしっかりと作動してくれる。全車に標準装備されるバックモニターは明るくて大きなディスプレイに表示され、駐車警報システムも装備されているため、駐車場でもこれだけ大きな車を取り回すのにそれほど苦労することはない。
最近運転したSUVと比べても、トラック的なSUVよりもオデッセイのほうが日常運転するには適している。キーレスエントリーやリモートスイッチ付パワースライドドアは買い物の荷物で手がふさがっている時に便利だ。
3列目もアクセスしやすく、レッグルームも驚くほど良い。パワーテールゲートも装備されているし、3列目シートはストラップを引っ張るだけで分割可倒となり、フルフラットな荷室スペースができあがる。
搭載される3.5L V6エンジンは実用的ないいエンジンだ。スムーズだし、停止時からの加速もいいし、パワーも十分だ。251PSのV6エンジンはホンダらしく中回転域(4,800rpmでトルクピークを迎える)で最も輝き、エンジンを回すほどに車も活き活きとしてくる。このエンジンには可変シリンダーシステム (VCM) が採用されており、気筒休止により燃費が節約できる。カタログ燃費はダッジ・グランドキャラバンやキア・セドナ、日産・クエスト(日本名: エルグランド)、トヨタ・シエナなどといったV6エンジンを搭載するライバルよりも優れており、シティ燃費9.2km/L、ハイウェイ燃費14.1km/Lとなかなかいい。
これだけ大きなオデッセイでも、運転がしやすく、運転感覚は乗用車ライクなのだが、せっかくならステアフィールももっと良くして欲しい。また、この車はしっかりしており、安定感もあるが、ホンダらしいスポーティなDNAは感じられない。

運転席の使い勝手もいい。高さ調節機構付きのアームレストが装備されており、特にロングドライブに活躍する。インパネは大きくて使いやすく、フロントシートの天井には凸面鏡が備え付けられており、フロントシート(恐らく乗るのは父親や母親だろう)から後部座席を監視することもできる。巨大なセンターコンソールにはカメラバッグを置くのにも使える広くて平らなスペースがある。
今回の試乗は極寒の最中に行った。朝の気温は-28℃で、この環境でオデッセイはいくつかの欠点を露呈した。室内が広いため、暖房が効くためには時間がかかり、シートヒーターもあまり有用ではなかった。また、極寒の環境下で氷の上に乗り上げた時は、サスペンションのノイズが想像以上に大きかった。
けれど、私はこのオデッセイを気に入った。ファミリーユースに最適なピープルムーバーだし、ビジネスにも使えそうだ。今回の試乗車は47,990カナダドルと高価な最上級グレードだが、29,900カナダドルから7グレードが設定されているため、予算に合う最適なグレードを選ぶことができる。実にお薦めだ。
Review: 2014 Honda Odyssey Touring