次期型ホンダ・シビックタイプRは2015年にイギリスでの発売が予定されていますが、すでにプロトタイプモデルが一部メディアによりテストされています。

今回は、英国「Auto Express」によるシビックタイプRのプロトタイプモデルの試乗レポートを日本語で紹介します。


CivicTypeR

次期シビックタイプRは、これまでの高回転型自然吸気エンジンを搭載してきたシビックタイプRとは方針転換している。次期モデルではターボエンジンが搭載され、201PSだった従来モデルよりも少なくとも40%出力を向上するようだ。今回はそんな次期シビックタイプRを試乗する機会に恵まれた。

ホンダいわく、2.0Lの直噴ターボエンジンは少なくとも280PSは発揮するという。また、ホンダ社内の人間がほのめかすところによると、トルクは先代モデルを大幅に上回り、20.0kgf·mから40.8kgf·mとなり、また発生回転数も2,300rpmまで下げられているという。つまり、次期型は従来モデルよりも燃費もよく、そして速くなることだろ。ホンダによると、目標のパフォーマンスと環境性能を達成したとのことだが、具体的な目標値がどうだったかは明かされなかった。

しかし一方で、これは車のキャラクターが完全に変わってしまったことを意味する。従来のモデルでは5,000rpm以上までアクセルを踏み込むことでその真価が発揮された。このエンジンは、特定の環境下ではまるでツーリングカー選手権の車両のような金属的な音を轟かせ、非常に楽しいエンジンだった。

一方、次期型のエンジンのスイートスポットは中回転域だ。2,000rpmからおよそ5,000rpmまで実にパワフルに加速していく。パワーがありすぎて変速時に前輪が暴れるようなこともあった。喜ばしいことにターボとなってもエンジン音は十分元気がいいが、エンジン音はより低い音質になっている。アクセルを踏み込むとわずかにターボラグが感知されるが、問題というほどでもない。

ホンダはニュルブルクリンクでの市販FF車最速のラップタイム達成を目標としており、サスペンションにステアリング、ブレーキのどれをとっても十分な改良が施されている。今回我々は、栃木県の高速テストコースで2周することしか許されなかったため、この車のすべてを知ることは到底できなかったが、それでも、この車の重いステアリングはフィードバックに富み、コーナーではフラットで、今回のテストで規定された最高速度の200km/hでも実に安定し、そしてブレーキ性能も高いということは理解できた。乗り心地の評価に関してはいずれイギリスで試乗できる日まで預けておくが、それでも明らかに硬いだろうということは言える。

フロントホイールアーチエクステンションやリアウイング、リアの大きなホイールアーチ(これはリアドアと干渉してしまっていた)、それに種々のごちゃごちゃしたエアロパーツが装着されており、次期型は従来型よりも随分とアグレッシブなデザインになっている。それに加えて今回の試乗車は19インチホイールを装着し、ボディカラーはマットブラックだった。また、内装に関しては、シート、ギアレバー、ドア周辺のトリムなどがベースモデルから変更されているが、エクステリアデザインほど派手なわけではない。

結局、なぜ2015年まで待つ必要があるのだろうか。実はホンダはこの車よりもシビックツアラーの製造を優先しているようだ。社内でもこれに疑問を呈する人間はいるようだが…。


ホンダはほとんどレーシングエンジンと言ってもいいような環境性能の低いエンジンが現代に合わないと判断したようだ。そして次期型ではデザインがアグレッシブになっている。ゴルフGTIほどの扱いやすさはないが、それでも従来型よりは使いやすい車となっているようだ。


Honda Civic Type R 2015 review