トヨタ・ヴィッツは欧州ではヤリスという名前で販売されていますが、欧州仕様にはアクアと共通のハイブリッドシステムを載せたヤリスハイブリッドがラインアップされています。

今回は、英国「Auto Express」によるヤリスハイブリッドの試乗レポートを日本語で紹介します。


YarisHyb


ヤリスはトヨタ車の中では長らくヨーロッパで最も売れているモデルであり続けている。この車はフォード・フィエスタやフォルクスワーゲン・ポロと競合する。そんなヤリスが、100億円以上の金額と57万6,000M/H(マンアワー)をかけ、パーツが1,000点刷新される大掛かりなマイナーチェンジを行った。

これほど大掛かりなマイナーチェンジなので、全く新しいモデルと考えても差し支えはないかもしれない。もっとも分かりやすい変更がアイゴにも似た特徴的なX字型の新しいフロントフェイスだ。ヘッドランプの形状も変更され、LEDデイライトも追加装備されたほか、リアバンパーも変更されている。

内装も大幅に変更されている。内装に使われる材質はよりソフトで上質なものに変更されている。ただし、センターコンソールにはまだ硬くて安っぽいプラスティック部品も使われている。また、ダッシュボードには最新の7インチタッチスクリーンディスプレイが装備される。これは他のライバルのシステムに比べると直感的な操作ができるのだが、ナビゲーションシステムは650ポンドのオプションとなる。

ヤリスハイブリッドはCO2排出量が79g/kmから75g/kmまで改善し、これによってロンドンの渋滞税が免除される。今回はこのハイブリッドモデルを試乗した。

従来のモデルと同様に、パワートレインは1.5Lエンジンと電気モーターが組み合わせられ、システム合計で101PSを発揮する。ボディ構造やサスペンションの設計が大幅に変更されているので運転ももっと楽しくなって然るべきなのだが、残念ながらそんなことはなかった。

アクセルを軽く踏むとEVモードでの走行が可能だ。エンジンがついてもとても静かではあるのだが、パワーは弱々しい。エンジニアは騒音や振動をいかに抑え込んだかと長々話していたのだが、アクセルを踏めば結構なエンジンノイズが車内に侵入してくる。特にその傾向はアップダウンのある道で顕著だった。これに比べると、ポロは随分と快適で静かな車だといえる。

ステアリングは改良されており、軽いながらも正確なのだが、ボディが貧弱なので台無しになってしまっていた。特に高速コーナーでは強度不足が露見した。ドライバビリティの高さに関してはフィエスタの方がよっぽどいい。

カタログスペックでは燃費は36.4km/Lだが、街中から高速からあらゆる道を走った今回の140kmの試乗コースでは、実燃費はわずか23.4km/Lだった。

室内は広々としており、後部座席に大人が2人快適に乗れる(ただし3人乗ると窮屈だ)。荷室は286Lでクラスでもトップレベルだ。ただ、走行性能や快適性ではフォルクスワーゲンやフォードのライバルには到底敵わない。


New Toyota Yaris Hybrid 2014 review