英国「Auto Express」によるアウディ TT 2.0 YFSI quattroの試乗レポートを日本語で紹介します。


TT

恐らく多くのオーナーはTTを街中で乗り回すのだろうが、今回のTTの試乗会場は、ブリテン諸島の道の中でも特に車のポテンシャルが試されるスコットランド高地だ。アウディはクワトロを搭載するこの車の真価を我々に試させるため、試乗日にわざわざ豪雨の日を選んだようだ。

我々が試乗したのは、ガソリンエンジンを搭載する2.0 TFSIで、トランスミッションはSトロニックでクワトロ4WDのモデルだ。TTにはフォルクスワーゲン・ゴルフのMQBプラットフォームが用いられており、ゴルフGTIに搭載される2.0Lターボエンジンを搭載する。この車は、6速デュアルクラッチトランスミッションで4WDという、230PSのパワーを路面に伝えるのにはうってつけの方式をとっている。

TTに乗って最初に印象的だったのはその素晴らしいインテリアだ。試乗車は完璧な仕上がりで、ジェットエンジンのようなエアコン吹き出し口やフラットボトムのステアリングのデザインは目を引いた。12.3インチの液晶メーターは斬新で、直感的なデザインというわけではないし、設定を変えるには時間が掛かるが、それでもこれに慣れてしまえば普通の車のダッシュボードが古臭く思えてしまう。

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右ハンドルモデルも悪くない。A4やA5のようにドライビングポジションがしっくりこないようなこともないし、グローブボックスの容量も十分だ。ただ1つこの車に問題があるとすれば、それは値段だ。試乗車は35,335ポンドなのだが、果たしてこれだけの値段でアウディの小型クーペを買う人がどれほどいるだろうか。

この車に乗って気づいたのだが、この車はエントリーレベルのスポーツカーにしては十分に速い。アウディの担当者は今後近いうちにより小さなエンジンを搭載したビギナーに最適なモデルが発売されることをほのめかしていたのだが、この2.0 TFSIは我々が最低限求めるパフォーマンスをいくらか上回るだけのパフォーマンスを持っている。カタログスペックで0-100km/h加速は5.3秒で、最高速度は250km/hだが、追い越し加速はなかなかのもので、たとえ豪雨の中でも、その無機質なエンジン音を響かせながらどんどん加速することができた。

経済的な理由で、燃費が28.6km/L、CO2排出量が110g/kmのディーゼルモデルのTT TDIを購入しようとしている人も安心していい。こちらも十分満足のいく出来だ。標準のサスペンションと18インチホイールはイギリスの舗装の悪い道をものともしない。これは酷い乗り心地だった10年前のアウディを思えば驚くべき進化だ。

ガソリン車の話に戻るが、ドライブモードでEfficiencyやComfortを選択していると、エンジン音は鈍く、アクセルレスポンスも良くない。Sportを選択するとレスポンスは鋭くなり、それに付随するように、どこか人工的ではあるがそれでも官能的なサウンドが響いてくる。

この車に搭載されるSトロニックトランスミッションはアウディの他の上級モデルに用いられる7速ではなく6速なのだが、このエンジンは1,600rpmから4,300rpmという広い回転域で最大トルクを発生することができるため、ストレスを感じるようなことはない。マニュアルモードにしてダイレクトなシフトや心地よいエグゾーストサウンドを楽しむこともできるし、オートモードで洗練された走りを楽しむこともできる。

今回の試乗車はSラインのモデルで19インチホイールを履いており、タイヤノイズはかなり感じられたし、標準モデルよりも随分と硬かった。とはいえ、この代償と引き換えに高いコーナリング性能が手に入り、他のアウディならばアンダーステアが生じるようなところでもしっかりと曲がってくれる。新型はプラットフォームを変更したことにより100kgほど軽量化されている。ただ、ステアリングはキックバックに欠けており、道路に吸い付くような感覚もない。


新型TTの質感は素晴らしく、内装はアウディでもトップクラスの出来だ。それにエンジンやクワトロシステム、トランスミッションの組み合わせは絶妙で、パワフルな運転が楽しめる。車との一体感を求めるなら他のスポーツカーを選んだほうがいいだろうが、オールラウンドにいつでもちゃんと走れるスポーツカーとしてはTTの右に出るものはいないだろう。ただ、エクステリアはもう少し劇的な変化があればよかったのだが…。


Audi TT 2.0 TFSI quattro 2015 review