日本国内ではかつて日産が大型SUVのサファリを販売していましたが、現在は販売を終了しています。しかし、日本国外では、オーストラリアや中東などにおいて「パトロール」の名称でフルモデルチェンジを行い販売が続けられています。

今回は、オーストラリア「CarsGuide」によるパトロールの試乗レポートを日本語で紹介します。


Patrol

新型パトロールはアラブ首長国連邦を主な市場と位置づけて開発されたモデルだが、右ハンドルモデルも設定され、ここオーストラリアで販売される。いざとなればオフロードも走ることができる高級なピープルムーバーを求める層に向けて開発され、 ガソリンエンジンのみが設定される。というのも、アラブではガソリンが安いため、ガソリンエンジン車のほうが好まれるのだ。

新型パトロールは未開の森の荒れた道を走るだけのポテンシャルを持っているが、日産の最高級4WD車をそんな用途で使う人がいるだろうか。この車は最大牽引重量が3.5tであり、おそらく高級なキャンピングトレーラーやボートの乗ったトレーラーを引っ張るのがこの車の主な仕事ではないだろうか。

舗装道路から外れた森の中を走りたい人向けに、豪州日産は車軸懸架式でターボディーゼルエンジンを搭載する旧Y61型パトロール(日本名: サファリ)の商用モデルをY62型と併売している。

8人の乗客を乗せることができるY62型パトロールは、オフロードとオンロードのどちらでもトップクラスの車となることが目指され、燃費性能、快適性、品質、走行性能のいずれも大幅に向上している。


パワートレイン
新しいV8エンジンは最高出力405PS、最大トルク57.1kgf·mを発揮し、最大トルクの90%を1,600rpmから発生することができる。このパワーは最新の7速ATと最新の電子制御オールモード4x4システムによって路面へと伝えられる。


テクノロジー
主要装備としては、DVDプレーヤー、Bluetoothハンズフリーフォン、2GBミュージックサーバー、6スピーカー、iPod接続、ステアリングスイッチ、バックカメラ、インテリジェントキー、8ウェイ運転席パワーシート、デュアルゾーンエアコン、フロント・サイド・カーテンエアバッグ、アクティブフロントヘッドレスト、前後パーキングセンサーなどが含まれる。

最上級グレードの「Ti-L」にはさらにシートやステアリング、ドアミラーの位置を記憶するドライバーズポジションメモリーシステムやコンソールクールボックス、HDDナビ、13スピーカーBOSEプレミアムオーディオ、フロントシートヘッドレストモニター、アラウンドビューモニター、インテリジェントクルーズコントロール、オートレベライザー&ウォッシャー付キセノンプロジェクターヘッドランプ、バドルランプ、パワーテールゲート、タイヤ空気圧監視システムが追加装備される。

エントリーグレードの「ST-L」以外の「Ti」と「Ti-L」にはサスペンションにハイドリックボディモーションコントロール (HDBC) が装備されており、オフロードにおいても油圧によりロールを制御して乗り心地を向上させる。

サスペンションは前後とも独立懸架となる。デフォルトでは舗装道路に最適化された設定となっているが、センターコンソールのダイヤルでサンド、ロック、スノーの3モードに変えることもできる。 

ボディサイズは他の競合モデルを圧倒する大きさで、全長は5mを超え、全幅は2m近いため、一般的なスーパーの駐車場では歓迎されないだろう。たしかにパーキングセンサーやバックカメラ(上級グレードではアラウンドビューモニター)を使えば駐車自体は簡単にできるかもしれないが、ドアの開口角度は限られて乗り降りは楽ではないし、隣の車にドアをぶつけられるんじゃないかと不安に思いながら買い物に行く羽目になる。


荷室
3列目を使用している状態でも550Lの十分な荷室スペースがあり、大型のクーラーボックスなども載せることができる。また、3列目はストラップを引っ張ることで倒すことができ、そうすることで広大なスペースがあらわれる。

2列目も畳むことができ、それによってほぼフラットな3,100Lもの荷室スペースが生まれる。


経済性
日産によると、シティ・ハイウェイの複合燃費は約6.9km/Lだそうだが、我々が都市部を走った時の燃費は最高でも6.3km/Lであった。

高価な装備が多くつけられているため、最上級グレードの「Ti-L」は113,900豪ドルとなる。これは日産車としては高いが、安くても170,000豪ドルのランドローバー・レンジローバーヴォーグに比べるとバーゲンプライスだ。


ドライビングインプレッション
道路でパトロールを運転してまず印象的なのはその大きさだ。この車は大きく、着座位置も高い。とくに着座位置の高さは視界の良さをもたらしているが、ボディが大きいため、道路を走っていると左右に余裕があまりない。

乗り心地は素晴らしく、凸凹をうまくいなしており、舗装が酷い道でも快適だ。

ハンドリングは乗り心地に次ぐパトロールのいい部分だ。コーナーではしっかりと路面をホールドし、ボディロールも多すぎない。そしてこの車の直進での走りはコーナーでのそれよりもいいことは言うまでもない。

以前に、ブリスベン郊外のドライバートレーニングセンターで、パトロールを運転して本格的なオフロードを体験したことがある。 こんなに大きな車だが、驚くべきことに、滑りやすい路面や岩が露出したような路面、轍だらけのテストトラックをしっかりと走り抜けた。


New Nissan Patrol Review