オーストラリア製の車と言われても、ピンとくる方はほとんどいないと思います。
オーストラリアでしのぎを削っている2大メーカーといえば、ゼネラル・モーターズ傘下のホールデンとフォード・オーストラリアの2社でした。ところが、販売不振によってフォード・オーストラリアは2016年に、ホールデンは2017年にオーストラリアでの現地生産を終了することが既に決定しています。
そんな2社のかつてのロングセラーモデルであり、オーストラリアで熾烈な競争を繰り広げた2台が、大型FRセダンのホールデン・コモドアとフォード・ファルコンです。このうち、フォード・ファルコンは現地生産終了の決定よりも後に、高性能モデルのXR8を発表しています。
今回は、オーストラリア「Top Gear」 による、フォード・ファルコンXR8の試乗レポートを日本語で紹介します。

オーストラリア・フォードのV8が復活した。それも、素晴らしい車として。
フォードは「FG」型のマイナーチェンジモデルとして、ファルコン最後のモデルである「FG X」型ファルコンを発表した。そしてそのトップモデルが「XR8」だ。
我々は今週1週間で先日発売されたばかりの新型ファルコンの全モデルの試乗を行った。今回の試乗を通して、我々はV8スーパーチャージドエンジンを搭載したこのXR8がオーストラリア最後のマッスルカーとして生まれてきたことに感謝している。
ファルコンXR8はMTモデルが52,490豪ドル、ATモデルが54,690豪ドルと安い車ではないが、この車のえも言われぬパワーを考えれば実にお買い得だ。
この車は、言ってしまえば「猛獣」だ。
我々は幸運なことにもテストトラックと公道の両方でこの車を試乗することができた。そしてテストトラックでは邪魔なトラクションコントロールをオフにして走ることができた。
XR8には旧型の「FPV GT」に搭載されるものと同じスーパーチャージャー付きのV8 5.0Lエンジンが搭載され、最高出力455PS、最大トルク58.1kgf·mを発揮する。これは367PSのホールデン・コモドアSSのMTモデル(ATモデルは353PS)を圧倒する。
ただ待って欲しい。それだけじゃない。1速以外では(公式にはそう発表されているが、リバースギアも違うだろう)スーパーチャージャーのオーバーブーストを一時的に働かせることができる。この時、エンジンは実に510PSを発揮するのだ。なんとも愉快ではないか。いつでも好きなときに一面をタイヤスモークにまみれさせることができるのだ。
我々Top GearはXR8の試乗でテストトラックをタイヤ跡だらけにしてしまった。馬鹿みたいなことをしたが、実に楽しかった。
直線では、3速でちょっとハンドル操作やアクセル操作を誤ったりすれば車は路側へとそれてしまう。わずかに膨らんだボンネットの下に収まった凶暴なエンジンは、誰も彼もを走り屋へと変えてしまう。
また、既に廃止されたFPVの「GT RSPECシャシパッケージ」がこのモデルにも装備できる。このパッケージには、より硬くなったサスペンションや専用チューニングのダンパー、ボディ強化、ワイドリアタイヤが含まれる。
これにより、XR8のハンドリングは標準モデルのXR8や従来のFPV GTよりもシャープになっている。あまり舗装の良くない路面では特に低速で乗り心地が悪くなってしまうが、とはいえこの車を田舎道をのんびりと走るために買う人もいないだろう。そんな乗り心地と引き換えに手に入るのは、シャープなハンドリングと改善されたターンイン性能、そしてロールの改善だ。
また、19インチホイールに装着されたダンロップのタイヤはグリップ性もよく、特にウェット路面でその実力を発揮する。また、6ピストンのブレンボ製ブレーキも装備される。
スーパーチャージャーから響く唸るような音、そしてエグゾーストから響く轟くような音は素晴らしく、ドライバーを疼かせる。
6速MTは大きい上に垢抜けず、その上クラッチは重いが、純粋に運転を楽しみたい人はそれでもこちらを選ぶだろう。ただ、多くの人にとっては変速スピードの速いATモデルの方を選ぶだろう。ただ残念ながらパドルシフトはついていない。
前後のデザインは新型フュージョンや次期型モンデオと共通イメージとなっている(フォードは会社全体としてデザインを揃える方針のようだ)。ただ、このデザインは慣れるには少し時間がかかりそうだ。大口を開けた魚のようなフロントグリルはどこかぎこちないが、W型のLEDデイライトと相まって、後ろから迫ってくれば相当な威圧感がありそうだ。
インテリアは従来のモデルからシートやスクリーンなどが少し変更されたくらいで、ほとんどは旧態依然であり、すっきりとはしているが古臭さを感じてしまう。ヘッドアップディスプレイやブラインドスポットウォーニング、電動パワステなどの先進設備を望む人もいるだろうが、それがなかったところでどうということはないだろう。
XR8は究極の暴れん坊だ。2016年にフォードがオーストラリアの工場を閉鎖してしまうよりも前にこの車を欲しがっている全ての人達にこの車が届くことを信じている。
ところで、XR8のおかげで他のファルコンの影が薄くなってしまっているが、こちらも新型となってちゃんと改良されている。新しいエクステリアデザインの他に様々な変更が行われ、価格もお買い得だ。この変更には、サスペンションやトランスミッションの改良や、デジタル放送を受信できるデュアルアンテナの装備、新しいインフォメーション&エンターテイメントシステムの装備、雨滴感知式ワイパーの装備、燃費性能の向上などが含まれる。
もしXR8を買うだけの余裕がなければ、XR6ターボもしくはG6Eターボの購入を検討するべきだろう。こちらにはジーロング工場製の4.0Lの直6ターボエンジンが搭載され、最高出力367PS、最大トルク54.4kgf·mを発揮する。XR6ターボは42,990豪ドル、G6Eターボは46,550豪ドルと性能を考えればお買い得であり、フォードの工場が閉鎖される前に欲しい人はぜひ購入することをおすすめする。
2015 Ford Falcon XR8
オーストラリアでしのぎを削っている2大メーカーといえば、ゼネラル・モーターズ傘下のホールデンとフォード・オーストラリアの2社でした。ところが、販売不振によってフォード・オーストラリアは2016年に、ホールデンは2017年にオーストラリアでの現地生産を終了することが既に決定しています。
そんな2社のかつてのロングセラーモデルであり、オーストラリアで熾烈な競争を繰り広げた2台が、大型FRセダンのホールデン・コモドアとフォード・ファルコンです。このうち、フォード・ファルコンは現地生産終了の決定よりも後に、高性能モデルのXR8を発表しています。
今回は、オーストラリア「Top Gear」 による、フォード・ファルコンXR8の試乗レポートを日本語で紹介します。

オーストラリア・フォードのV8が復活した。それも、素晴らしい車として。
フォードは「FG」型のマイナーチェンジモデルとして、ファルコン最後のモデルである「FG X」型ファルコンを発表した。そしてそのトップモデルが「XR8」だ。
我々は今週1週間で先日発売されたばかりの新型ファルコンの全モデルの試乗を行った。今回の試乗を通して、我々はV8スーパーチャージドエンジンを搭載したこのXR8がオーストラリア最後のマッスルカーとして生まれてきたことに感謝している。
ファルコンXR8はMTモデルが52,490豪ドル、ATモデルが54,690豪ドルと安い車ではないが、この車のえも言われぬパワーを考えれば実にお買い得だ。
この車は、言ってしまえば「猛獣」だ。
我々は幸運なことにもテストトラックと公道の両方でこの車を試乗することができた。そしてテストトラックでは邪魔なトラクションコントロールをオフにして走ることができた。
XR8には旧型の「FPV GT」に搭載されるものと同じスーパーチャージャー付きのV8 5.0Lエンジンが搭載され、最高出力455PS、最大トルク58.1kgf·mを発揮する。これは367PSのホールデン・コモドアSSのMTモデル(ATモデルは353PS)を圧倒する。
ただ待って欲しい。それだけじゃない。1速以外では(公式にはそう発表されているが、リバースギアも違うだろう)スーパーチャージャーのオーバーブーストを一時的に働かせることができる。この時、エンジンは実に510PSを発揮するのだ。なんとも愉快ではないか。いつでも好きなときに一面をタイヤスモークにまみれさせることができるのだ。
我々Top GearはXR8の試乗でテストトラックをタイヤ跡だらけにしてしまった。馬鹿みたいなことをしたが、実に楽しかった。
直線では、3速でちょっとハンドル操作やアクセル操作を誤ったりすれば車は路側へとそれてしまう。わずかに膨らんだボンネットの下に収まった凶暴なエンジンは、誰も彼もを走り屋へと変えてしまう。
また、既に廃止されたFPVの「GT RSPECシャシパッケージ」がこのモデルにも装備できる。このパッケージには、より硬くなったサスペンションや専用チューニングのダンパー、ボディ強化、ワイドリアタイヤが含まれる。
これにより、XR8のハンドリングは標準モデルのXR8や従来のFPV GTよりもシャープになっている。あまり舗装の良くない路面では特に低速で乗り心地が悪くなってしまうが、とはいえこの車を田舎道をのんびりと走るために買う人もいないだろう。そんな乗り心地と引き換えに手に入るのは、シャープなハンドリングと改善されたターンイン性能、そしてロールの改善だ。
また、19インチホイールに装着されたダンロップのタイヤはグリップ性もよく、特にウェット路面でその実力を発揮する。また、6ピストンのブレンボ製ブレーキも装備される。
スーパーチャージャーから響く唸るような音、そしてエグゾーストから響く轟くような音は素晴らしく、ドライバーを疼かせる。
6速MTは大きい上に垢抜けず、その上クラッチは重いが、純粋に運転を楽しみたい人はそれでもこちらを選ぶだろう。ただ、多くの人にとっては変速スピードの速いATモデルの方を選ぶだろう。ただ残念ながらパドルシフトはついていない。
前後のデザインは新型フュージョンや次期型モンデオと共通イメージとなっている(フォードは会社全体としてデザインを揃える方針のようだ)。ただ、このデザインは慣れるには少し時間がかかりそうだ。大口を開けた魚のようなフロントグリルはどこかぎこちないが、W型のLEDデイライトと相まって、後ろから迫ってくれば相当な威圧感がありそうだ。
インテリアは従来のモデルからシートやスクリーンなどが少し変更されたくらいで、ほとんどは旧態依然であり、すっきりとはしているが古臭さを感じてしまう。ヘッドアップディスプレイやブラインドスポットウォーニング、電動パワステなどの先進設備を望む人もいるだろうが、それがなかったところでどうということはないだろう。
XR8は究極の暴れん坊だ。2016年にフォードがオーストラリアの工場を閉鎖してしまうよりも前にこの車を欲しがっている全ての人達にこの車が届くことを信じている。
ところで、XR8のおかげで他のファルコンの影が薄くなってしまっているが、こちらも新型となってちゃんと改良されている。新しいエクステリアデザインの他に様々な変更が行われ、価格もお買い得だ。この変更には、サスペンションやトランスミッションの改良や、デジタル放送を受信できるデュアルアンテナの装備、新しいインフォメーション&エンターテイメントシステムの装備、雨滴感知式ワイパーの装備、燃費性能の向上などが含まれる。
もしXR8を買うだけの余裕がなければ、XR6ターボもしくはG6Eターボの購入を検討するべきだろう。こちらにはジーロング工場製の4.0Lの直6ターボエンジンが搭載され、最高出力367PS、最大トルク54.4kgf·mを発揮する。XR6ターボは42,990豪ドル、G6Eターボは46,550豪ドルと性能を考えればお買い得であり、フォードの工場が閉鎖される前に欲しい人はぜひ購入することをおすすめする。
2015 Ford Falcon XR8