米国「AutoTrader」 によるアキュラ TLXの試乗レポートを日本語で紹介します。

無個性な内外装
アキュラでも最も人気のあるモデルだったTLはTSXと統合され、それらの後継車種として新型TLXが発売された。今回は長期にわたって行ったTLXの試乗レポートをお送りする。
我々がTLXについてまず衝撃を受けたのはそのデザインだ。 我々ジャーナリストも消費者たちも総じて多くが先代TLのくちばしのような尖ったノーズを嘲っていたわけだが、TLXは全く逆のベクトルのデザインとなっている。精悍で落ち着いたデザインなのだ。ただ、アキュラに共通のLEDヘッドランプやシルバーのフロントグリルといった特徴がなければ、多くの消費者がこの車をライバルの高級車や、あるいはスバル・レガシィやホンダ・アコードといったミドルセダンと簡単には見分けられないだろう。
残念なことに、内装も同様だ。確かに操作部はしっかりとデザインされている。ボタンの配置も形状も何ら問題はないし、TLXのインテリアには失望するような要素はない。ただ、他のライバルに比べて優れている部分も特に見つけられなかった。使い勝手はいいが、ワクワクさせるようなものがないのだ。

無個性な性能
TLXのライバル車は、シャープなハンドリングや強烈な加速性能など、その乗り味に大きな個性を持っている車もあるが、TLXもそうだとは言えない。
穏やかだが整ったエクステリアや、独創性に欠けるが悪くはないインテリアと同様、走りにも目立った欠点はなかった。どんな状況でも十分なパワーがあるし、ステアリングの応答性も十分だ。ただ、TLXの走りには卓越したスポーティさというものがない。それは209PSを発揮する4気筒2.4Lのモデルでも、294PSを発揮するV6 3.5Lのモデルでも同じことが言える。
面白いことに、この車の退屈さはエンジンのスペックに比例しているようなのだ。TLXの4気筒エンジンはクラスでも最もパワーのないエンジンだし、V6エンジンのパワーは BMW 335i やインフィニティ Q50(日本名: スカイライン)、メルセデス・ベンツ C350といったあらゆるライバルに劣っている。実際、TLXはどこか設計に妥協があるように感じられる。乗り心地のためにそこそこのハンドリングにしたり、燃費のためにそれなりのパワーにしたり…ということだ。
長所
幸い、TLXの妥協は乗り心地や燃費の面で功を奏している。TLXは硬くてスポーティなライバルよりもよっぽど乗り心地がいい。アキュラいわく、燃費は2.4Lモデルでシティ燃費/ハイウェイ燃費が10.2km/L/14.9km/L、3.5Lモデルで8.9km/L/14.5km/Lだそうだ。これはインフィニティ・Q50 3.7の8.5km/L/12.8km/L、レクサス・IS350の8.1km/L/11.9km/Lよりも優秀な数字だ。
また、ILXのシンプルなインテリアは最新の他の車と違って使いやすい。創意工夫という面では評価されることはないだろうが、ILXには一見しただけでは操作方法の分からないボタンやダイヤルがなく、直感的に操作できる。
独自の路線
アキュラはTLXを他のライバルとは全く違ったアプローチで設計したようだ。レクサスやインフィニティやBMWがパワーを追い求める一方で、アキュラは燃費を追求した。他のライバルがハンドリング性能を競い合っている脇で、アキュラは乗り心地を極めた。そして他のメーカーが車におもちゃじみたガジェットを装備させることに専念している脇で、アキュラはシンプルさを追求したのだ。
その結果、TLXはドライバーのための車とはいえないが、パワーやハンドリングよりも快適性や便利さを重視する消費者にはぴったりな高級車となった。同様な手法で成功してきたアキュラ・MDXやRDXの手法がこの車にも通じるならば、この車もヒットするのかもしれない。
2015 Acura TLX: First Drive Review

無個性な内外装
アキュラでも最も人気のあるモデルだったTLはTSXと統合され、それらの後継車種として新型TLXが発売された。今回は長期にわたって行ったTLXの試乗レポートをお送りする。
我々がTLXについてまず衝撃を受けたのはそのデザインだ。 我々ジャーナリストも消費者たちも総じて多くが先代TLのくちばしのような尖ったノーズを嘲っていたわけだが、TLXは全く逆のベクトルのデザインとなっている。精悍で落ち着いたデザインなのだ。ただ、アキュラに共通のLEDヘッドランプやシルバーのフロントグリルといった特徴がなければ、多くの消費者がこの車をライバルの高級車や、あるいはスバル・レガシィやホンダ・アコードといったミドルセダンと簡単には見分けられないだろう。
残念なことに、内装も同様だ。確かに操作部はしっかりとデザインされている。ボタンの配置も形状も何ら問題はないし、TLXのインテリアには失望するような要素はない。ただ、他のライバルに比べて優れている部分も特に見つけられなかった。使い勝手はいいが、ワクワクさせるようなものがないのだ。

無個性な性能
TLXのライバル車は、シャープなハンドリングや強烈な加速性能など、その乗り味に大きな個性を持っている車もあるが、TLXもそうだとは言えない。
穏やかだが整ったエクステリアや、独創性に欠けるが悪くはないインテリアと同様、走りにも目立った欠点はなかった。どんな状況でも十分なパワーがあるし、ステアリングの応答性も十分だ。ただ、TLXの走りには卓越したスポーティさというものがない。それは209PSを発揮する4気筒2.4Lのモデルでも、294PSを発揮するV6 3.5Lのモデルでも同じことが言える。
面白いことに、この車の退屈さはエンジンのスペックに比例しているようなのだ。TLXの4気筒エンジンはクラスでも最もパワーのないエンジンだし、V6エンジンのパワーは BMW 335i やインフィニティ Q50(日本名: スカイライン)、メルセデス・ベンツ C350といったあらゆるライバルに劣っている。実際、TLXはどこか設計に妥協があるように感じられる。乗り心地のためにそこそこのハンドリングにしたり、燃費のためにそれなりのパワーにしたり…ということだ。
長所
幸い、TLXの妥協は乗り心地や燃費の面で功を奏している。TLXは硬くてスポーティなライバルよりもよっぽど乗り心地がいい。アキュラいわく、燃費は2.4Lモデルでシティ燃費/ハイウェイ燃費が10.2km/L/14.9km/L、3.5Lモデルで8.9km/L/14.5km/Lだそうだ。これはインフィニティ・Q50 3.7の8.5km/L/12.8km/L、レクサス・IS350の8.1km/L/11.9km/Lよりも優秀な数字だ。
また、ILXのシンプルなインテリアは最新の他の車と違って使いやすい。創意工夫という面では評価されることはないだろうが、ILXには一見しただけでは操作方法の分からないボタンやダイヤルがなく、直感的に操作できる。
独自の路線
アキュラはTLXを他のライバルとは全く違ったアプローチで設計したようだ。レクサスやインフィニティやBMWがパワーを追い求める一方で、アキュラは燃費を追求した。他のライバルがハンドリング性能を競い合っている脇で、アキュラは乗り心地を極めた。そして他のメーカーが車におもちゃじみたガジェットを装備させることに専念している脇で、アキュラはシンプルさを追求したのだ。
その結果、TLXはドライバーのための車とはいえないが、パワーやハンドリングよりも快適性や便利さを重視する消費者にはぴったりな高級車となった。同様な手法で成功してきたアキュラ・MDXやRDXの手法がこの車にも通じるならば、この車もヒットするのかもしれない。
2015 Acura TLX: First Drive Review