ダチア・サンデロをご存知でしょうか。そもそもダチアとは、ルノーグループに属するルーマニアの自動車メーカーですが、自動車好きでも知っている人はあまりいないと思います。

では、なぜそんな会社の車を挙げたのかといえば、世界的な自動車番組であり、日本においてもBSフジにおいて字幕付きで放送されている英国の「Top Gear」という番組において、このモデルがネタ扱いされておりまして、これをご存じの方もいるでしょう。

さて、不幸にもネタ扱いされてしまったサンデロの実力はいかほどのものなのか。というわけで、今回は英国「Top Gear」 によるダチア・サンデロの試乗レポートを日本語で紹介します。


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6,000ポンドで買えるまともな車がある。まったくもって高級感は備えていないが、使い勝手はよく、信頼性も高い車だ。英国においては2013年1月に販売が始まったダチア・サンデロは、イギリスでも最も安い車だ。しかも、その安さは他を圧倒し、スズキ・アルトや日産・ピクソよりも1,000ポンドは安い上に車格も上で、サンデロの大きさはフォルクスワーゲン・ゴルフにも迫るほどだ。

75PSの1.2Lエンジンを搭載するベースグレードである「Access」の価格は発売記念特別価格で5,995ポンドであり、このプライスタグを見てしまえばどんな批判も一度は飲み込んでしまうだろう。ただ、残念ながらこのモデルは試乗できなかった。今回ダチアが我々に貸してくれたのは0.9Lターボエンジンを搭載する上級グレードの「Laureate」だった。このグレードは8,795ポンドとなる。このグレードには、カーナビゲーションシステムやBluetooth、アルミホイール、パワーウインドウなども装備されている。一方、ベースグレードはオーディオ部分に後付設置用の配線が付けられているだけで、ウインドウも手動式だ。

ただ、ちょっとした追加装備を除けば上級グレードもエントリーグレードも同じだ。言うまでもなく消費者はどこでコストが節約されているかを見るだろう。ざらざらしたプラスティックや薄っぺらい金属、尖ったドアパーツ、シンプルなデザイン、華奢なサスペンションなど、安っぽい部分はいろいろある。ただ、この車はただのつまらない箱ではない。誠実さがあり、また少しだが魅力も存在する。そして、購入を検討するのをやめようと思わせるほどの欠陥も存在しない。とはいえ、大きな欠陥が1つある。

ステアリングはシートのまっすぐ前にあり、運転操作も問題なくできる。コーナーで恐怖を感じるようなこともなければ、高速でうるさすぎるということもない。問題があるのはトランスミッションだ。これは酷いものだが、ただ、それでも購入の検討をすぐにやめてしまうほどではないだろう。

最大の問題はユーロNCAPで3つ星(※最高評価は5つ星)をとると予想されていることだ。 ダチアはこれを大した問題ではないと言っているが、安全性に妥協をするべきではないだろう。フォーエアバッグとスタビリティコントロールが標準装備でも、大して頑丈でもないであろうサンデロのボディには不十分だろう。

車重は962kgとはいえ、898ccの3気筒ターボは少々やかましく、スロットルレスポンスもあまりよくない。ただこれもご愛嬌だ。この車が激安であることを忘れてはならない。ただ、多くの消費者は1.5Lのディーゼルモデルを求めるだろうが、このモデルはさらに1,000ポンド高くなってしまう。

ちなみに、英国仕様のサンデロはインドで製造される。ダチアによると、サンデロの右ハンドル仕様の需要のほとんどはインドにあると想定されており、英国での販売は20,000台未満を予定しているという。

ダチアは既に英国で1,700台の事前注文を受けており、149のルノーのディーラーもダチア車を販売する予定だが、ルノーはこれがルノー車の販売減少に対する緊急措置でもあるということを否定していない。いずれにしろ、イギリスでもダチアが発売されたことは喜ぶべきことだろう。


Dacia Sandero Laureate 90 Driven