日本においては軽自動車を主力車種とし、インドなど海外においても小型車を開発することに強みを持っている自動車メーカー、それがスズキです。しかし、そんなスズキが高級セダン、キザシを開発しました。そのブランドイメージから販売台数も全くと言っていいほど伸びず、日本の道路で見ることはめったにないキザシ。
今回は、そんなキザシの、Top Gear Australiaによる試乗レポートを日本語で紹介します。

時折、自動車メーカーというものは合理性に裏付けされた経営方針から外れた車を作ってしまうことがある。開発にあたってはその車がちゃんと利益を生み出すか審査が行われるわけだが、社長がこんな車を作りたいと言えばその審査を簡単にすり抜けてしまったりもする。
ブガッティ・ヴェイロンもそんな車の1つだ。ブガッティは、到底利益を生み出すとは思えないそんな化け物じみた性能を持つ車に大量の資金をつぎ込んでしまったのだ。そして今回試乗するのはまさしくスズキの「ヴェイロン」だ。
もっとも、キザシはヴェイロンとは似ても似つかない。ただ、キザシもスズキの財務部を激怒させているはずだ。スズキはこの車をまるで何かに取り憑かれでもしたかのように開発したため、普通の新型モデルを開発する倍に近い開発資金と倍に近い人材が投資されている。この車は6年間ほどしか製造されないと想定されているが、スズキ自身、開発資金を回収するには10年はかかると認めている。
ところが、キザシのライバルといえば、世界でも売れ筋の車が並んでいる。トヨタ・カムリ、ホンダ・アコード、フォード・モンデオ…。こんな車たちに挑もうとするキザシは、まるで個人経営の店が世界のマクドナルドやケンタッキーフライドチキンに噛み付いているかのようだ。
とはいえ、それは悪いことじゃないし、この車はそれなりにいい車だ。
この車に搭載されるのはグランドビターラ(日本名: エスクード)に搭載されているのと同じ4気筒の2.4Lエンジンだが、グランドビターラのものよりもわずかにエンジンの音が低音なようだ。音は十分静かで、騒音をあげるようなこともなく、CVTもうまく働いてくれる。このCVTにはパドルシフトもしくはギアレバーで操作できる6速のマニュアルモードもある。内装の材質は平均以上で、うまく使われている。
では、どこが駄目か。このクラスの他の車と比べると、リアが暴れ気味だ。スピードメーターのデザインもごちゃごちゃしている。CVTは低速ではぎくしゃくする。それに、この車はライバルに比べてそれほど安くない。
そうはいっても、外見はちゃんと威厳があるし、ハンドリングもかなりいい。フォルクスワーゲンのエンブレムをつけてもそれらしく見えるし、隣近所の人にヨーロッパ車だと言っても疑問に思われることはないだろう。
ゆえにキザシはミッドサイズセダンを買おうとしている人にとって検討する価値のある車だ。ただ、果たしてスズキのバッジが付いた車に30,000~40,000豪ドルを支払うという人がどれだけいるのだろうか。
Driven: Suzuki Kizashi
今回は、そんなキザシの、Top Gear Australiaによる試乗レポートを日本語で紹介します。

時折、自動車メーカーというものは合理性に裏付けされた経営方針から外れた車を作ってしまうことがある。開発にあたってはその車がちゃんと利益を生み出すか審査が行われるわけだが、社長がこんな車を作りたいと言えばその審査を簡単にすり抜けてしまったりもする。
ブガッティ・ヴェイロンもそんな車の1つだ。ブガッティは、到底利益を生み出すとは思えないそんな化け物じみた性能を持つ車に大量の資金をつぎ込んでしまったのだ。そして今回試乗するのはまさしくスズキの「ヴェイロン」だ。
もっとも、キザシはヴェイロンとは似ても似つかない。ただ、キザシもスズキの財務部を激怒させているはずだ。スズキはこの車をまるで何かに取り憑かれでもしたかのように開発したため、普通の新型モデルを開発する倍に近い開発資金と倍に近い人材が投資されている。この車は6年間ほどしか製造されないと想定されているが、スズキ自身、開発資金を回収するには10年はかかると認めている。
ところが、キザシのライバルといえば、世界でも売れ筋の車が並んでいる。トヨタ・カムリ、ホンダ・アコード、フォード・モンデオ…。こんな車たちに挑もうとするキザシは、まるで個人経営の店が世界のマクドナルドやケンタッキーフライドチキンに噛み付いているかのようだ。
とはいえ、それは悪いことじゃないし、この車はそれなりにいい車だ。
この車に搭載されるのはグランドビターラ(日本名: エスクード)に搭載されているのと同じ4気筒の2.4Lエンジンだが、グランドビターラのものよりもわずかにエンジンの音が低音なようだ。音は十分静かで、騒音をあげるようなこともなく、CVTもうまく働いてくれる。このCVTにはパドルシフトもしくはギアレバーで操作できる6速のマニュアルモードもある。内装の材質は平均以上で、うまく使われている。
では、どこが駄目か。このクラスの他の車と比べると、リアが暴れ気味だ。スピードメーターのデザインもごちゃごちゃしている。CVTは低速ではぎくしゃくする。それに、この車はライバルに比べてそれほど安くない。
そうはいっても、外見はちゃんと威厳があるし、ハンドリングもかなりいい。フォルクスワーゲンのエンブレムをつけてもそれらしく見えるし、隣近所の人にヨーロッパ車だと言っても疑問に思われることはないだろう。
ゆえにキザシはミッドサイズセダンを買おうとしている人にとって検討する価値のある車だ。ただ、果たしてスズキのバッジが付いた車に30,000~40,000豪ドルを支払うという人がどれだけいるのだろうか。
Driven: Suzuki Kizashi