日本では、新型レジェンドが2015年1月に発売される予定となっていますが、それに先立ってアメリカではレジェンドの輸出版モデルであるアキュラ・RLXが2012年に発表されています。また、SH-AWDシステムを搭載する日本仕様のレジェンドに相当する4WDモデルも、日本よりも早い2014年9月にアメリカでは既に発売されています。
 

新しいハイブリッド4WDを採用するレジェンドの実力が如何程のものであるか、日本に上陸するよりも前に知りたい方のために、カナダ「Wheels.ca」による、北米仕様アキュラ・RLX スポーツハイブリッド SH-AWDの試乗レポートを日本語で紹介します。
 


キャプチャ


アキュラは、フラッグシップモデルであるRLXがアキュラ史上最もパワフルなセダンであるとアナウンスしている。

3.5Lエンジンと3つのモーター、そしてリチウムイオンバッテリーにより、RLXは信号からのゼロスタートで他の車を簡単に引き離す加速力がある。

RLXのハイブリッドシステムはリニアで、アクセルを踏み込むと乗客をシートに押し付けるような加速をしていく。RLXを運転すれば、誰でもステアリングを介してその強大なトルクを感じることができるだろう。一度試してみれば、きっと驚くはずだ。
 

アキュラは、日本語の「昂ぶり」と「意のまま」という2つのゴールを到達目標として設定した。RLX スポーツハイブリッド SH-AWDは、V8エンジンと同等のパフォーマンス(「昂ぶり」)と、「意のまま」のドライブフィールを、4気筒エンジンと同等の燃費で達成することが目指された。
 

果たしてアキュラはそれを達成できたのだろうか。
 

RLXは3.5LのV6直噴エンジンをフロントに搭載し、モーターと7速DCTが組み合わせられている。エンジンは単体で314PSの出力と37.7kgf·mのトルクを発揮する。55PS/14.9kgf·mを発揮するモーターを合わせると、システム全体で382PS/47.1kgf·mを発揮する。
 

2015年基準の5サイクル法による燃費値は、シティ燃費、ハイウェイ燃費、複合燃費がそれぞれ12.5km/L、13.3km/L、13.0km/Lとなっている。これはずっと下のクラスのハイブリッドカーよりも良い数値だ。
 

停止状態から発進すると、まず後ろの2つのモーターが後輪を駆動し、加速するに従ってエンジンがかかり、エンジンと3つ目のモーターが前輪を駆動する。ハイブリッドドライブシステムはエンジンの作動状況や回生エネルギーをモニタリングし、効率的な走行を行う。

そして、いざアクセルを踏み込めば、エンジンと3つのモーターが全て稼働し、強烈なパワーを発揮する。

高速走行時は、リアのモーターが駆動をやめ、エンジンのみで走行するようになる。これは他の大部分のハイブリッドカーと同様だ。
 

RLXが他の車と異なるのは、SH-AWDシステムの後部モーターが左右の駆動力を変えることで旋回力を生み出し、実質的にトルクベクタリングとして働いてトラクションを確保するという点だ。つまり、コーナーではエンジンとフロントモーターが車を前へと引っ張り、コーナー外側のリアモーターはプラスのトルクを、内側のリアモーターはマイナスのトルクを発生することで、車をよりきれいに、より安定して曲げる、ということだ。このシステムは複雑なように聞こえるが、実際に乗ってみるとしっかりと働く。

同様のシステムは後に発売される予定のアキュラ・NSXにも搭載される予定だが、こちらは前後が逆転し、フロントに2つのモーターが、リアに1つのモーターが搭載されるようだ。
 

ダッシュボードには様々な情報を表示するヘッドアップディスプレイが装備される。これは見ていて楽しいものだが、しかし運転中に見ると少し気が散ってしまう。
 

バッテリーやモーターの配置は上手く考えられており、容量328Lのトランクはゴルフバックを4つ積載可能で、さらにトランク床下にも収納スペースがある。

リアのニールームは985mmであり、アキュラいわくクラス最大だという。また、4WDといえど後輪を駆動するのはモーターなので、エンジンから後輪までをつなぐシャフトが存在せず、このためセンタートンネルの大きさは最小限にとどまっている。
 

RLXハイブリッドは、アキュラのフラッグシップモデルとして、最新の安全装備を多数装備している。例えば、前部衝突防止警報や車線逸脱警報、レーンキーピングアシスト、アダプティブクルーズコントロールなどが装備される。

オンタリオ州のコリングウッドからミーフォードまでの高速道路の湿った路面で、レーンキーピングアシストを試してみた。車線が消えかかったような路面ではカメラが車線を上手く認識できなかったことも幾度かあったが、高速道路では車線逸脱が感知され、丁寧に正しいラインまで車がハンドルを切った。
 

価格は69,990ドルと高く感じるかもしれないが、55,200ドルのレクサスGS450や、79,150ドルのBMW アクティブハイブリッド5と競合できるだろう。RLXの唯一の問題は、アキュラというブランドが、それほどの値段を払うにふさわしいとは言いがたいブランドイメージしか持たないという点だ。



2015 Acura RLX Sport Hybrid Review