日本にレクサスブランドが投入されてからも日本市場では販売されていないレクサスのモデルが存在します。その1つがESです。

今回はアメリカ「Cars.com」によるレクサスES300hの試乗レポートを日本語で紹介します。


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2014年モデルのES300hはありきたりな車であり、硬い乗り心地は期待はずれだ。マルチメディアインターフェイスは優秀とは言いがたく、燃費はライバルに劣っている。

ES300hは2013年モデルで刷新されている。この前輪駆動車はカムリハイブリッドと同じハイブリッドシステムを用い、EPA基準の燃費値は、シティ燃費17.0km/L、ハイウェイ燃費16.6km/L、複合燃費17.0km/Lとされている。2014年モデルからはiPhoneと互換性のあるsiriハンズフリーデバイスが追加装備されている。

ES300hの価格は40,410ドル(910ドルの輸送料を含む)からとなる。
主な装備としては、アルミホイールやプッシュエンジンスターター、フロントパワーシート、電動ガラスルーフ、デュアルゾーンオートエアコンが挙げられる。そのほか、試乗車にはオプションとしてヒーターおよびベンチレーション付フロントシートや、バックカメラ付ナビゲーションシステム、電動チルト・テレスコピック機構付ステアリング、木目トリムが装備されており、試乗車の価格は44,710ドルとなっていた。


レクサスは多くのハイブリッド車に見られた特有の癖を消し去ることができている。停止状態からの加速感覚はスムーズで意のままの加速を見せ、エンジンが途中でかかったことを感じさせない。パフォーマンスはV6エンジンモデルよりも従来の4気筒ガソリンエンジンモデルに近いが、それでも街中での走行では不満を感じるような場面はなく、むしろ十分に速い。


しかし、高速道路ではパワーに余裕があるとは言えない。もっとも、スピードに乗ること自体は容易なのだが、いかんせん踏んだ以上にエンジンが唸ってしまう。


エンジン始動時に僅かな振動や騒音が感じられることを除けばこの車が「ハイブリッドカー」であることを最も感じさせるのはブレーキペダルの感覚だ。ハイブリッドカーには運動エネルギーを回生してバッテリーに電気をチャージする機構があるが、ESのブレーキは贔屓目に言えばリニアであり、実際のところは驚くほど制動が急激に効いてしまう。この回生ブレーキはちょっとペダルを踏んだだけで強い制動を発揮してしまう。普通の車のブレーキとは違いこの車にはブレーキペダルに遊びの部分がほとんどない。


ESの最も期待はずれな部分は乗り心地だった。ちょっとした凸凹を踏んだだけで車は大きく揺れてしまう。その感覚はまるでスポーツカーのようだが、残念ながらハンドリングがスポーツカーのようであるかといえば全くそんなこともない。どうもレクサスはこの車をスポーティに見せかけようとしているようだが、実際の顧客はむしろ快適性を求めているだろうし、この車にはそれが欠けている。


ハイブリッドシステムにはエコ、ノーマル、スポーツ、EVの4つの走行モードがある。デフォルトではノーマルモードだったが、私はこのときのアクセルレスポンスが好きだ。エコモードではアクセルの反応が極端に鈍くなったのですぐに飽きてノーマルに戻してしまった。スポーツモードにするとインパネのハイブリッドのパワーメーターがタコメーターに変化しステアリングが少し重くなる。EVモードでは少しの時間低速でモーターのみでの走行が可能となる。


ES300hの燃費(シティ/ハイウェイ/複合で17.0km/L/16.6km/L/17.0km/L)はリンカーン・MKZハイブリッドの燃費(20.1km/L/20.1km/L/20.1km/L)に劣っており実燃費はカタログ燃費よりも25%ほど悪化しているようだった。トリップメーターによると今回の試乗では174kmを平均車速30.6km/hで走行したが平均燃費は12.7km/Lであった。


ただ、今回の試乗は平均車速が低かったこともさることながら、外気温がおよそ-10℃以下と非常に寒かった。寒さは燃費を悪化させる。特にそれはハイブリッド車で顕著であり、今回の試乗では実際本来ならばモーター走行をしてしかるべきな低速の渋滞路も含めて、ESはほとんどモーターのみでの走行を行うことはなかった。今回の試乗ではラッシュアワーの都市部の道路以外に高速道路から郊外の快走路まで、あらゆる道を走行している。


極寒の気温は特に渋滞した道路において、ハイブリッドのスムーズな走りの妨げにもなった。ストップアンドゴーの多い道ではちょっと進むためにアクセルをわずかに踏んだだけでもエンジンがかかることがあった。



内装

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ESのインテリアデザインは水平基調で車幅の広さを強調している。試乗車にオプションで付けられていたプレミアムパッケージには明色の木目トリムが含まれており黒い内装と対比してなかなかに素晴らしく感じられた。


ただ、ドア周りのデザインはあまり褒められたものではない。一応肘掛けには柔らかい素材があてがわれているようだが、いざ肘をかけてみればこれが硬いこと。高級車なんだから、ここはもう少しなんとかして欲しい。


フロントシートは大きくて快適だ。私がこの車に乗った日はとても寒かったのでオプションのシートヒーターもとてもありがたかった。シートヒーターの効きはとてもよかったのだが、センターコンソールの調節ダイヤルは手袋をしながらだと操作がしづらかった。私がしていたのは薄手のフリースの手袋なのだが、それでも、だ。


リアシートもミドルクラスの車にしては良い。もっと上のクラスのような快適さが確保されていた。リアシートは前席同様快適で、背が高い人にも十分なレッグルームがある。リアシートの中央部分は左右に比べて少し高くなっており、またクッションも少し固いが、フロアにはセンタートンネルが無いため、後ろに3人掛けたとしても足元には余裕がある。



試乗車にはレクサスの「リモートタッチインターフェイス」が装備されていた。センターコンソールにあるマウスのような操作デバイスでまさしくパソコンのマウスのようにダッシュボードのモニターのカーソルを操作することができるシステムだ。


しかし、このインターフェイスは走行中に操作するには到底適していない。どう調節してもカーソルは意図せず動きまわり運転中には操作しない方がいいと思わせるほどに気が散って仕方がない。このような問題はダイヤル式を採用するBMWのiDriveやメルセデスのCommandには無いのだが…。


Bluetooth接続システムは標準装備ではない。これは40,000ドル以上の車としては首を傾げるところだ。試乗車にはBluetooth接続が装備されており私のiPhoneとは簡単に繋がった。iPhoneの電話帳はスムーズにデータが移行され、Bluetoothを介してちゃんと音楽を楽しむこともできた。



荷室

ES300hのトランクルームは343Lの容量がありこれはガソリンエンジンモデルのES350よりも85L少ない。トランク開口部は広く荷室の形もいいが、ES300hはES350のようなトランクスルー機構を備えていないため、長尺物を簡単に積むことはできない。


グローブボックスは小さくマニュアルを入れればほとんどいっぱいになってしまう。センターコンソール内のボックスは標準的な大きさで、ドアポケットも普通のサイズだ。



安全性

ES300hはNHTSAの衝突テストで5つ星の評価を受けている。


安全装備としては、死角警告システムや、リアの横切り警報、車線逸脱警報、プリテンションシートベルトなどが装備されている。



2014 Lexus ES 300h Review